154話 連絡と違和感
夏休みの中盤。わたしはお盆を挟んだ一週間をおばあちゃんの家で過ごして、お家に帰って来た。おばあちゃんの家も自然が豊かで落ち着く感じだったけど、やっぱり生まれ育ったこの街とお家が一番安心するし、落ち着く。
けっこうな時間を車で移動して疲れたから、今日は早めに寝よう。そう思って、お風呂に入って就寝の準備をしていると、スマホに着信があった。
見ると、高井さんからメッセージが届いている。
『カラオケのことだけど、時間はお昼の2時からにしようと思ってるんだけど、それでいい?』
『うん。わたしはいいけど、てれすにも確認してみるね』
前回、てれすの予定を聞かずにカラオケの日程を決めてしまったので、今回はその反省を踏まえておく。
『わかった。高千穂さんから返事があったら連絡して? それと、場所はどこがいいとかってある?』
『前にてれすと一緒に行ったところがあるんだけど、そこはどうかな』
文字を送ってから、てれすと一緒に行ったカラオケ店の場所が示された地図を貼る。
高井さんと赤川さんの家がどのあたりにあるのかわからないけど、ここならわたしはもちろんだけど、てれすにとってもわかりやすいと思うから、迷うことなく来ることができるだろう。
ただ、高井さんたちのお家の場所によっては遠出をさせてしまうことになるかもしれないので、申し訳ない。そのときはどこかインターネットで場所を調べて、わたしたちとちょうど中間くらいになるカラオケ屋さんを探すとしよう。
『おっけー、ここね。駅が近くていいと思う』
『いいの?』
『うん。赤川にも連絡しとくね』
『わかった。わたしもてれすに連絡しとく。てれすから時間について返事があったら、また連絡するね』
『よろしく』
てれすとのトーク画面に移動する。
『てれす、カラオケのことなんだけど、時間と場所が決まったから伝えるね』
……。
メッセージを送って、数秒待つ。
「あれ?」
わたしは画面を見つめて首をかしげた。
いつもは夜にメッセージを送ったら、すぐに既読をつけてくれるのに、今日は待っても既読の文字がつかない。
お風呂でも入っているのだろうか。もしくは、もう寝ちゃったとか?
それからちょっと待ってみたけど、やっぱり既読はつかない。待っているのもあれだし、疲れて眠たかったので、わたしは必要なことを送信して、寝ることにした。
返事はきっと、明日には来ているだろう。
次の日。
朝起きてスマホを確認すると、てれすから返事が来ていた。
『わかったわ』
端的な返事は、とてもてれすらしい。……だけど、昨日のこともあってなんだか冷たく感じてしまう。まるで、4月のときみたいだと思った。
「……さすがに考えすぎかな」
おばあちゃんの家に行く前に電話こそしたけど、半月ほどてれすと会えていないからそう感じてしまっているだけかもしれない。
それに、もう3日待てばカラオケで会えるんだから。
そう思って、わたしはてれすからの返事を高井さんに伝える。
『高井さん、おはよう。てれすだけど、時間おっけーだって』
すぐに既読がついた。
たぶん、朝から部活があるから、高井さんは起きていたんだと思う。
『了解。それじゃ、3日後ね』
『うん』
スマホの電源を切って、わたしがお朝ごはんを食べるために、自分の部屋から一階に下りた。




