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ありすとてれす  作者: 春乃
153/259

153話 夏休み残りの予定

 高井さんからカラオケを行う日の日程を聞いたので、わたしはてれすに伝えるために、MINEのトーク画面を高井さんからてれすに移動する。


 20日にしようって、その場の感じで言っちゃったけど、てれすは予定大丈夫だろうか。ちゃんとてれすに確認してから、カラオケの予定を決めたほうが良かったかもしれない。

 もしもてれすに予定があったら、そのときは高井さんに相談しよう。そう思いながら、ポチポチと文字を打ち込む。


『やっほー、てれす。今、大丈夫?』


 すると、すぐに既読の文字がついた。返信もすぐさま返って来る。


『問題ないわ。どうしたの?』


『えっと、カラオケのことなんだけどね』


 高井さんから連絡があった日程を、そのまま伝えればいいだけだ。でも、それだけだと、なんだか寂しい感じがして、わたしは文字を打ち込んでいた指の動きを止める。

 せっかくてれすと今、時間を共有できているのに、もったいないというか、正直言うと、ここ最近はてれすに会うどころか声すら来ていないので、声を聞きたくなってしまった。

 普通なら、文字で伝えればそれで終わりなんだけど、それじゃあ嫌だな……。


 だから、わたしは日程を文字にするのではなく、他の文章をメッセージとして送った。


『あの、今、電話してもいいかな?』


『今? ええ、いいけれど』


『ありがと』


 てれすの許可も出たので、すぐに通話ボタンを押す。

 すぐにてれすが電話口に出た。


『もしもし、てれす?』


『ええ、ありす』


『ごめんね、電話なんかしちゃって。ちょっと声を聞きたいなって』


『……わたしも、そう思ってたから嬉しいわ』


『そっか、よかった』


『ええ』


『あ、そうだ。カラオケのことで連絡したんだけど』


『ああ、そうだったわね。高井さんと赤川さんと、終業式の日に話していたことよね?』


 てれすもちゃんと覚えてくれていたらしい。

 その言葉を首肯して、高井さんからお願いされたカラオケの日程を伝える。


『そうそう。さっき、高井さんから連絡があってね。20日にやろうかって、ことになったんだけど、てれす大丈夫?』


『ええ、問題ないわ』


『よかったぁ。あ、まだ日程だけで場所とかは決まってないから、決まったらまた連絡するね』


『わかったわ。お願いね』


 よし、とりあえずは伝えるべきことは全て伝えたと思う。頭の中で、忘れていることはないかを確認して、わたしはうなずく。

 あんまり長電話しても迷惑だろうから、今日はこの辺にしておこう。もっとてれすと話したいけど、それは我慢だ。


『それじゃ、また――』


『あ、ありす』


『どうしたの?』


 またね、おやすみ、と言おうとしたとき、てれすが慌てたように言ったので、首をかしげる。てれすのほうにも、何か言いたいことがあったのかもしれない。


『その、また夏休みのうちに遊べないかしら』


『へ? うん。もちろんいいよ』


『本当?』


『うん。嘘言わないよ』


『そ、そうね。えっと、それなら、今週の土曜日とかって、どうかしら』


『今週か……』


 うーん、とほっぺたを掻く。

 ついさっきご飯のときお母さんから、お盆の周辺は予定を入れるなと言われてしまっていた。土曜日は、ちょうどお盆の始まりくらいで、おばあちゃんの家に行く日か、もしくはすでにおばあちゃんの家にいる日だ。


 申し訳ないけど、断るしかない。


『ごめん。今週の土曜日はちょっと無理なの。というか、その辺りからおばあちゃんの家に行くから、しばらく会えないかも……』


『え……、そ、そう』


『うん。ごめんね』


『いえ、それなら仕方ない、わよ』


『ほんとごめんね、てれす。カラオケの後とか、その辺りの日なら大丈夫だから』


『え、ええ。あ、そろそろご飯だから、切るわね。おやすみなさい』


『え? う、うん。おやすみ』


 わたしの「おやすみ」の声が聞こえたかどうか、わからない微妙なくらいのタイミングで、通話が切れた。

 胸の辺りがモヤモヤする感じになってしまったけど、夏休み中に遊ぶ約束はたぶんできたし、大丈夫、だよね?


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