表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ありすとてれす  作者: 春乃
148/259

148話 美月ちゃんと映画

 それから1週間が経過して、美月みつきちゃんと映画を観る日。

 わたしと美月ちゃんの家は、方向こそ反対だけど、最寄り駅は同じ場所だそうなので、一旦そこに集合することになった。


 後輩を待たせるわけにはいかないので、少し早めに出発したので、約束の時刻よりもけっこう早めに到着してしまった。

 土曜日ということもあって、駅の中は多くの人が行きかっている。前にてれすの誕生日会をしたときは平日だったから、その差は歴然だ。

 はたして美月ちゃんと上手く合流できるか、少し心配になってくる、と、わたしを呼ぶ声が聞こえてきた。


最上もがみ先輩!」


 わたしの姿を見つけて走って来たのだろう。やって来た美月ちゃんは息を切らしていた。

 スマホで時間を確認すると、まだ集合時間の10分前だ。


「そんなに急がなくてもよかったのに」


「いえ、あの。先輩をお待たせするわけには」


「気にしなくていいよ。それに、わたしも今来たところだし」


「ほんとですか?」


「ほんとほんと」


 美月ちゃんは微妙に疑うような視線を送って来るけど、最終的には渋々納得してくれた。


「……わかりました」


「それじゃ、行こうか。映画って、ショッピングモールのところでいいの?」


「はい。見られるなら、わたしはどこでも」


 券売機でショッピングモール前までの切符を買って、ちょうどのタイミングで来てくれた電車に乗り込む。駅の中と同じく、電車の中も多くの人がいた。

 電車に揺られながら、わたしは美月ちゃんに尋ねる。


「ねぇ、美月ちゃん」


「はい」


「美月ちゃんって、映画好きなの?」


「え? あ、はい。けっこう好きです」


 やっぱりそうみたいだ。

 前回、映画館で会った時は妹さんと映画を見に来ていたみたいだし、映画好きなお家なのかもしれない。それに、体育祭があって疲れているのに妹さんと一緒に見るってことは、美月ちゃんは良いお姉さんなのだろう。


「そういえば、妹さん、えっと美央ちゃんだったっけ?」


「はい、美央です」


「美月ちゃんに妹がいるって、知らなかったよ。元気してる?」


 わたしの質問に、美月ちゃんは苦笑いで答える。

 

「おかげさまで。元気すぎて大変だけですけど……」


「わたしは一人っ子だから、妹ってちょっと憧れるんだよね」


 これは一人っ子あるあるではないだろうか。

 兄弟姉妹がいる人は、喧嘩ばっかりだよ? とか返事することが多いけど、結局仲良くしているというか大切に思ってるから、すごく羨ましい。

 てれすは妹っぽいところもあるけど、やっぱり友達というか親友というか、ちょっと違う。でも、姉か妹かで言えば、てれすは妹属性じゃないかな、と思う。


 そんな感じで会話していると、やがて目的の駅に到着した。

 駅を出て、ショッピングモールへ向かう。映画館はてれすときたことがあるし、パンケーキを食べにも来たので、迷うことなく映画館まで行くことができた。


「うわぁ、けっこう人いるね」


「ですねぇ」


 さすがは休日。

 ショッピングモールの中は人でごった返していた。たぶんだけど、これが明日、つまり日曜日ならもっとすごいことになっていたに違いない。

 そこは土曜日にさそってくれた美月ちゃんに感謝する。


「美月ちゃん、どれ見るの?」


「えっと、あれです」


 美月ちゃんが指で示した先にあるポスター。そこには綺麗な桜の下にいる男女が描かれていた。


「『あなたの心臓になりたい』……?」


「はい。けっこう話題になっている小説の映画化なんです」


「へぇ! そうなんだ」


 嬉々として話す美月ちゃん。だけど、タイトルからは内容がまったく読み取れないというか、予想できない。二人とも制服姿だから、青春もの、なのかな?

 話題の小説の映画化ということは、おもしろいのは間違いないだろう。

チケットを買って、わたしと美月ちゃんはシアターへ移動した。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ