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ありすとてれす  作者: 春乃
131/259

131話 夏休みも

 お母さんにお昼ご飯に呼ばれ、わたしとてれすはダイニングへ移動した。時間はお昼にするには少し遅いけど、朝ごはんが遅かったからしかたない。

 テーブルには、トマトとツナの美味しそうな和風パスタが並んでいた。


「美味しそう!」


「さ、てれすちゃんも座って? 食べましょう」


「ありがとうございます」


 わたしがイスに腰を下ろすと、横にてれす、前にお母さんが座ってランチが始まった。

 最近、暑くなってきたからか、あっさりとした和風パスタはすごく美味しい。


「てれすちゃん、美味しい?」


「はい、すごく」


「よかった。それはそうと」


 お母さんはお茶を一口飲んで、話を続ける。


「いつくらいに帰るか決めてる? あ、帰ってほしいとかってわけじゃないのよ? てれすちゃんなら、何日でもいてほしいくらいだから」


「あ、えっと……」


 てれすは困ったように、言葉を詰まらせた。そして、助けを求めるように、わたしに視線を向けた。

 とはいっても、わたしも困惑してしまう。

 そうだよね。明日は学校だし、てれすは家に帰らなくちゃならない。当たり前なことのはずなのに、忘れてしまっていた。


「夕方には帰らないとね」


「……そうね」


 てれすのお母さんが待っているかはわからないけど、明日のために遅くまでいてもらうのは、できない。

 あまり眠れてないと思うし、テスト本番が近いのに体調を崩しちゃったら、せっかくの勉強が元も子もなくなってしまう。


 今日、てれすが帰ってしまっても、また明日学校で会える。それなのに、帰ってしまうと思うと寂しくなってしまう。

 てれすがいつも隣にいてくれるのは、当たり前の光景ではないのだ。


 そんなことを考えていたから、ぼーっとしていた。てれすが心配そうに顔を覗き込んできた。


「……ありす?」


「へ?」


「どうしたの?」


「ううん、なんでもない」


 かぶりを振って、否定する。言及されて正直に答えるは恥ずかしいので、話を変えることにした。


「そういえば、期末テストもそうだけど、夏休みもすぐだよね」


「あぁ、そういえばそうね」


 あと一か月もしないうちに、一学期が終わる。

 4月にてれすと会ってから、もうそんなに日が経ったらしい。一年生のときよりも、時間の流れを早く感じた。


「てれすは、何か予定とかあるの?」


「いえ、今のところはなにも。たぶん、何もないと思うわ」


「夏休みも、お母さん忙しいの?」


「ええ。休みをとれたとしても、わたしに使うんじゃなくて、ゆっくり休んでほしいわ」


「てれす……」


 なんていい子だ。さすがてれす。さすてれだ。


「てれす」


「なにかしら?」


「夏休みも、いっぱい遊ぼうね」


「……ええ。ありがとう」


「お礼なんていいよ。ね、お母さんも、てれすが来てくれたら嬉しいよね?」


 お母さんに尋ねると、すぐにうなずいた。


「もちろんよ。でも、一番嬉しいのはありすでしょう?」


「あはは、バレてた?」


「当たり前じゃない。てれすちゃん?」


「……はい」


「また、いつでも来ていいからね」


「! あの、本当にいいんですか?」


「もちろん、どうして?」


 お母さんが首をかしげると、てれすは遠慮がちに、小さな声で言葉を発した。


「迷惑かけてばかりというか、お世話になってばっかりな気がするので……」


「そんなの、てれすちゃんが全然気にすることじゃないわよ。ありすと仲良くしてくれているんだから」


 お母さんの言葉に、わたしは首肯する。てれすと友達になってから、すごく楽しい日々を送らせてもらっている。

 球技大会も体育祭も、今日もお泊り会も、去年のわたしなら経験できなかったことだ。


「そうだよ。いつもありがとね、てれす」


「いえ、わたしのほうこそ……」


「夏休みも遊べる?」


「ええ、もちろんよ」


「やった」


 小さくガッツポーズをつくると、てれすが「でも」と、注意するようにわたしに言う。


「まずは期末テストよ」


「そうだね」


 てれすと期末テストで1番2番をとる。

 その目標のためにがんばるぞ!


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