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ありすとてれす  作者: 春乃
126/259

126話 朝ごはんと2日目の予定

 ダイニングには、すでにお母さんが用意してくれたご飯が並べられていた。時間的には朝というよりもお昼のほうが近いけど、わたしとてれすにとっては朝ごはんなので、軽めのものだ。


 てれすと隣同士に座って、両手を合わせる。


「いただきます」


 まずはトーストを口に運ぶ。

 じゅわっとハチミツの甘い味わいが口の中に広がって、幸せな気分だ。

 ベーコンエッグやサラダなんかも三角食べでもぐもぐする。


 学校の時と変わらない、お母さんの美味しい朝食に舌鼓を打っていると、キッチンで飲み物を作っていたお母さんがこちらにやって来た。

 マグカップをわたしとてれすに差し出しながら、尋ねる。


「てれすちゃん、どう? 口に合うかしら」


「はい。美味しいです」


 しっかり咀嚼をしてからてれすが答えると、お母さんは安心したように一息ついて、わたしの向かいの席に腰を下ろした。

 お母さんが持ってきてくれたコーヒー牛乳を飲みながら、今日の予定を考えることにした。さて、どうしようか。

 思案しながら、二人の会話に耳を傾ける。


「よかった」


「その、あんまり、こういうご飯食べないので……」


「そう。いつでもうちに来てくれていいからね」


「……ありがとうございます」


 てれすがお礼を口にすると、お母さんは「さて」とつぶやいて、わたしのほうに改めて顔を向けた。なんだろう。


「それにしても、あなたたちって、仲いいわよね」


「え?」


 急にそんなことを言われたものだから、思わず聞き返してしまった。

 わたしとてれすの仲はもちろんいいけど、どうしたのだろうか。疑問が浮かび上がる。

 質問したお母さんの顔は、なぜかニコニコ――というより、ニヤニヤしていた。


「うん。いいと思うけど」


「いや~、今朝ちょっと様子を見に行ったら、一緒に寝ているんだもの」


「――ッ!?」


「びっくりしたわ~。うふふ」


「な、なななななんで!?」


 動揺を隠せなかった。

 いや、だって、だって。

 まさか、あれをお母さんに見られてただなんて。しかも、てれすがわたしを起こしているときじゃなく、わたしもてれすもぐっすり寝てるとき。

 これは言い訳のしようがない。


「なんでって、いつもなら起きてる時間に、あなたがいなかったから。心配になって様子を見に行ったのよ。ごめんなさいね?」


「それは、わたしもごめん。二度寝しちゃって……」


「まぁ、たまにはいいんじゃない? 仲が良いのも、もちろんいいことだと思うわ」


 そのままの流れで、お母さんはてれすに同意を求める。


「ね、てれすちゃん?」


「は、はい」


「ありすと一緒でちゃんと寝られた?」


「はい。それは大丈夫です。よく寝られました」


「そう、それならよかったわ」


「はい」とてれすは短く返して、ご飯を食べ進めていく。しかし、その途中。もぐもぐしながら首をかしげた。


「でも、どうしてありすが、わたしの隣で寝ていたのかしら。不思議だわ」


「たしかに、それもそうね。下の布団に落っこちたから、結果的に一緒に寝てたなら、わかるけど」


 てれすとお母さんの視線が向けられる。

 

「い、いや~、なんでだろうねぇ。不思議だなぁ~。あはは」


「ありすは、ちゃんと眠れた?」


「うん。ちゃんと眠れたよ、てれす」


「そう。それなら、よかったわ。わたしのせいで眠れていないのかと思ったわ」


「それはないよ。大丈夫。あっそうだ」


「どうかしたの?」


「お昼から、どうしようかなって」


 もちろん、昨日の夕方みたいに勉強をしてもいいけど、昨日かなりの範囲はできてしまったから、そこまで詰め込んで行う必要はない。

 それに、勉強ばっかりしても、てれすがつまらないんじゃないかって思った。


 とはいっても、特にいいアイディアが浮かんだわけでもない。

 頭を悩ませていると、てれすが心配そうに言う。


「勉強、じゃないの?」


「うーん、やっぱりそうなるかなぁ」


 どうしたものかと考えていると、お母さんが口を開いた。


「特にやることがないのなら、おつかい頼まれてくれない?」


「おつかい?」


「うん。牛乳が残り少なくて」


 ということは、近くのスーパーに買い物ということになるだろう。てれすと体育祭の打ち上げで、焼肉パーティーのときにも使ったお店だ。


「うん。てれすは、どう?」


「わたしはもちろんいいわよ。あのスーパーに行くの?」


「そうなるね」


 てれすも路湯称してくれたので、二人でおつかいに行くことになった。

 一旦部屋に戻って、出かける準備をしてから、リビングに向かうと、お母さんから買うものリストが書かれたメモ用紙を受け取った。

 

「よーし、行こうか、てれす」


「ええ」


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