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ありすとてれす  作者: 春乃
122/259

122話 お泊り会就寝

 それから、わたしとてれすはいい感じに集中して、テスト勉強を行った。黙々と勉強をしているてれすに、少し不安なところがあれば聞くという形で進む。


「てれす、ここは?」


「ここは……こうかしら」


「なるほど。ありがとね」


「いえ」


 そんな何度目かの会話をして、わたしも個人の作業に戻ろうとしたとき、玄関が開く音がして声が聞こえた。

 どうやら、お父さんが帰ってきたらしい。

 てれすにも聞こえたらしく、てれすはわたしに首をかしげる。


「お父さん?」


「うん」


「休日なのに、遅いのね」


「そうかも。でも、てれすのお母さんほどじゃないと思うけど」


「……そうね」


 時計を見ると、思いのほか時間が経過していた。


「そうだ、てれす」


「なにかしら」


「さっきの話なんだけど」


 勉強もちょうどいいところで終わったし、集中力が切れてしまったので、てれすに話かしる。


「てれすは、何かやりたいこととか、ある?」


「いえ、特には。ありすと一緒なら」


「それじゃあ、そのうちで決めようか」


「ええ」


 うなずいて、てれすは「ふあぁ」とあくびをした。口元を右手で隠しているてれすの所作が、なんともお上品に見えた。口元を隠すのはみんなすると思うけど、てれすはすごくお上品で様になっていた。さすてれである。


「てれす、眠たいの?」


「あ、いえ。別に」


「嘘つかなくてもいいよ?」


「……少し」


「いつもは、どのくらいに寝てるの?」


 もしかすると、てれすは就寝時間が早いほうなのかもしれない。そうならば、お泊り会だからと言って勉強していたけど、すぐにてれすに合わせて寝る準備をしたほうがいいだろう。


「一時とか、そのあたり」


「そうなの?」


「ええ。だから、いつもこんな感じではないわ。今日は、その。楽しみで、昨日あまり眠れなかったから……」


「そうなんだ……」


 そんなに楽しみにしてくれていたことに、嬉しくなってしまう。


「ごめんなさい」


「ううん。謝らないでよ。わたしもすごく楽しみだったし。実際楽しかった。少し早いけど、寝る?」


「いいの? 早すぎないかしら」


 まだ10時半くらいで、寝るために歯磨きとかお手洗い、布団の準備をすませたとしても11時を過ぎるかどうかくらいだろう。

 体調不良の時を除けば、こんなに早く寝るのは中学校の修学旅行以来かもしれない。


「そうだなぁ、それじゃあ枕投げでもする?」


「いえ、さすがにそれは……」


 てれすに渋い顔をされてしまい、結局、てれすがもう一度あくびをしたので、寝ることにした。

 一階に下りてやることを終わらせて、わたしの部屋に戻って来る。

 そして布団を敷いて、てれすに尋ねた。


「てれす、上と下どっちがいい?」


「え? わたしが下じゃないの?」


「ううん。別にてれすがわたしのベッドで寝てもいいよ」


「ありすのベッド……」


 こういう会話をすると、初めててれすがうちに遊びに来た時のことを思い出す。緊張していたからか、てれすは最後眠ってしまったのだ。

 少しの間悩んで、てれすは首を振った。


「いえ、いいわ。ありすはありすの布団で寝て?」


「わかった」


 電気を消して、わたしとてれすは就寝することにした。


「おやすみ、てれす」


「ええ、おやすみなさい」


 真っ暗の中、何も見えないけど、すぐ近くにてれすがいると思うと不思議な気分になる。いつも寝る時間よりも早いから、寝られるか心配だったけど、瞼を閉じるとわたしの意識は夢の中に旅立っていった。


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