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ありすとてれす  作者: 春乃
115/259

115話 勉強会……の前に

 勉強会を開始すべく、わたしとてれすはわたしの部屋へと戻ってきた。

 いざ期末テスト対策の勉強……と言いたいところだけど、まずはてれすのお布団を干しておかなければならない。今日は日差しポカポカなので今のうちに干しておけば、夜には気持ちよく眠れると思う。


「てれす、ゆっくりしてて?」


「ええ。あ、わたしも手伝ったほうが」


「ううん、大丈夫だよ」


「そう?」


「うん」


 てれすの手を借りるわけにはいかない。

 わたしは自分の部屋の向かいにある、誰も使っていない部屋に入る。

 普段は物置のように使用されている部屋だけど、綺麗に片付いていた。さっそく布団を引っ張り出そうと、押し入れを開けたそのときだった。


「きゃあ!?」


 中に入っていた色々なものが雪崩を起こして、わたしに覆いかぶさってきた。

 綺麗に片付いているように見えていた部屋だけど、どうやら押し入れに押し込んでいただけだったらしい。


 くっ、お母さんめ。


 わたしの周りに広がっている惨状をみながら、心の中でお母さんに文句を言っていると、物音を聞きつけたのだろう、てれすがすごく焦った顔をしてやって来た。


「ありす!」


 わたしと、わたしを取り巻いている部屋のありさまに、さすがのてれすも驚きをかくせなかったらしい。目を見張っていた。


「ありす、大丈夫?」


「あ、てれす。ごめん、大丈夫だよ。あはは……」


「えっと、これは」


「気にしなくていいから! ノープロブレム!」


「いや、でも」


「大丈夫! さ、てれす、このお布団を干そう!」


 てれすに変な気を遣わせるわけにはいかない。

 なんとか勢いで誤魔化そうと、わたしは布団を持ってこの部屋を出ようとする。


「痛っ!?」


 足下に目をやると、どうやらアルバムの角を踏んでしまったらしい。

 薄っすら涙を浮かべるわたしに、てれすは苦笑いを浮かべていた。


「ありす、落ち着いて……」


「うん」


 布団を手に持っているため、足元はあまり見えないけど、てれすを心配させないためにも気を付けて部屋を出る。


「ごめんね、てれす」


「いえ、大丈夫よ。やっぱり、わたしも手伝うわ」


「うん。お願い」


 始めから、意地を張らずにてれすに手伝ってもらえばよかった。

 てれすに敷布団を預けて、わたしは掛け布団を取りに戻る。


「てれす、毛布いる?」


「いえ、いらないわ」


「そう? 遠慮とかじゃないよね?」


「ええ。大丈夫よ」


 普通に考えると、季節はほぼ夏で暑いけれど、冷え性ならクーラーでも辛いだろう。せっかくのお泊り会なのに、楽しめなくなるのは嫌だ。

 だけど、どうやら遠慮ではなく、本心で言っているみたいなので、毛布は押し入れの中でそのままにしておく。


「じゃ、ベランダはこっちだから」


 てれすをベランダに案内して、二人で布団を干していく。

 万が一、風に飛ばされたり、床に落ちたりしないように大きな洗濯ばさみで留めて、ようやく布団を干すのが終わった。


「いや~、てれすありがとね」


「いえ」


 思いのほか時間がかかってしまって、勉強会を始める前にぐったりしてしまっている。

 これは少し休憩をしなくては。


「てれす」


 わたしが呼ぶと、てれすは首を不思議そうにかしげた。


「おやつタイムにしよう」


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