表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ありすとてれす  作者: 春乃
11/259

11話 てれすとテニス

 球技大会。

 学年が上がり新しいクラスになったので親睦を目的に、毎年この学校ではこの時期、4月の終わりに球技大会が行われている。

 

 各競技、クラスで練習の時間をとるために種目決めは早目にあるのだ。

 たしか、競技はテニス、バスケ、バレーの3つだったはず。

 去年はバレーで、こてんぱんにされたんだよなぁ……。


「それ、わたしもやらなきゃいけないの?」


「うん、全員参加だから」


 露骨に嫌そうな顔をするてれす。ですよねー。

 その反応はわかっていた。

 そんなに眉とか歪めると美人が台無しだよ?


 でもやっぱりここはクラス委員。

 上手いこと参加へと誘導する。


「人数とかあわなくなったら、その、あれだし……」


 なんだあれって……。

 我ながら非常に力弱い。


「それに、わたしはてれすとなにかやりたいし……」


 弱々しくも説得するわたしに、てれすはため息をつく。


「わかった、参加はするわ。すればいいんでしょう?」


 だけど、とてれすは続ける。


「その3つだと、わたしはテニスしかできないのだけど」


 へぇ~、テニスはできるんだ。

 去年もテニスだったのかな?

 あれ? ちょっと待って。てれす、球技大会があること知らなかったよね? てことは去年……。

 とにかく、訊いてみよう。


「ね、ねぇ、てれす? 去年はなにをしたの?」


「去年? さぁ、覚えてないわ」


 サボったんですね。わかります。


 そういえば、去年の記憶、球技大会に限らずだけど、てれすの姿をわたしは一度も見ていない気がする。

 去年はクラスが違った。が、それにしても、である。


 うーん。今こうしておしゃべりをしているのは、とてもすごいことなのかもしれない。

  わたしが記憶を辿っていると、ふいにてれすが、あっ、と声をあげる。


「テニスって、ダブルスよね?」


「え? うん、そうだよ」


 協力的なことで、親睦が目的だから、シングルスはない。

 するとてれすは深刻そうに顔をうつむける。


「……わたし、組んでくれる人がいないわ」


 



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ