10話 次の授業は……
わたしがハンバーグに舌鼓を打っていると、てれすがこっちを見ていることに気づく。
「へれふ? ほーひはの? もぐもぐ」
「ごめんなさい、なんて?」
「ははら、ほーひはの?」
「1回飲み込んでもらえる?」
てれすがそういうので、もぐもぐごっくんする。
では、改めて。
「どうしたの? なんか、わたしのこと見てなかった?」
「え? いや、別に大したことは……」
なにやら言い渋るてれす。
そう言われると気になるじゃないかよぉ。
「言ってよぉ、気になるぅ」
「そ、その、ハンバーグが好きなんだなぁ、って……。すごく幸せそうに食べてたから」
なんだ、そんなことか。まぁ、そうだね。ハンバーグを食べることができるこの幸福といったら、最高だよ。
と、てれすの眉がなにかに気づいたようにピクリと動く。
「ちょっと、動かないでね」
? そう言って細い指先をわたしの口元に近づける。
すっ、と一瞬なでたような触れられた感触。
「ほらこれ、お弁当付いてたわ」
てれすが指先のご飯粒を見せてくる。
あまりにハンバーグがおいしいので、全く気づいていなかった。
気を付けないと……………。
てれすがいなきゃ、恥ずかしいことになっていた。
「ありがと」
「どういたしまして。いただきます」
てれすはわたしの感謝の言葉と共にそのご飯粒をぱくっ、と食べた。
それはもう、なんの迷いもなく。
「えっ!?」
思わず出たわたしの声に、どうしたの? という視線を送ってくるてれす。
そうでしたね、てれすさんはこういう子でしたね。
まだ、おしゃべりするようになって半日も経っていないというのに、わたしは、てれすが何となくわかってきた気がした。
てれすのパン、わたしのお弁当どちらも一段落したところで、このタイミングをみて、てれすに声をかける。
「てれす、次の授業も出てね?」
次の授業はちょっと特殊というか、ぜひ出席していただきたい。
わたしが念を押したことが気になったのかてれすが訊ねてくる。
「次、何かあるの?」
「球技大会の種目決め」




