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語部探偵事務所  作者: 天村真
少女の影
11/15

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「その格好で推理を外すと、本当に滑稽ですね。 金田一耕助が何も出来ずに帰ってくみたいです」


 菊助はクスリと笑うと、機械的に歩くだけの加多利の袖を引っ張って事務所に案内する。


「菊君。 何で分かったんだい」


「ああ、それは簡単な事ですよ。 富野さん、ストーカーにしても色々知りすぎなんですよ。 まるで本人から直接話を聞いているかのように。 それなのに、兄の話だけ食い違っていた。 そこが引っ掛かったんですよ。 だから、昨日電話して、会いに行ったんです」


「そんな近場だったのかい?」


「いいえ、だから駅前の(・・・)肉屋に行ったんでしょう」


「ああ」


 加多利はようやく納得がいったというように頷くと、そのまま糸の切れた操り人形(マリオネット)のようにソファに崩れた。


「君は本当に優秀だね」


 菊助は自慢気に、ニッと微笑む。


「そうじゃなきゃ、先生の隣に並んでられないでしょ」


 倒れた加多利に菊助は手近な毛布をかけながら言った。


「先生は無能だから、優秀な僕が居ないとダメなんですよ」


 加多利は苦虫を噛みつぶしたような顔をしながら頷く。


「本当に、困ったものだよ」


 夕日を反射し、溶けた黄金のように色を変える菊助の艶やかな髪を眺めがなら、加多利は呟いた。

 そして、雪の様に白いその肌が、輪郭が溶けてしまわぬ様に、そっと瞼の裏に映し出し、眠るのだ。




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