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プロローグ
或る日、私は常時の如く何気なく友人の元を訪ねた。
彼は非常に面倒臭そうな表情をし、嫌味の一つ二つこぼしこそしたが、私を拒絶する事なく、なぜここにきたのかと、寧ろ話を促した。
しかし、残念な事に、私がその友人の元を訪れるのは全くの気まぐれであり、特にこれといった用事もなければ、話したい要件などもない。
ただ少し、ふらりと寄っただけである。
ありのままそう告げると、彼は口をへの字に曲げてしまって、たいそう不機嫌そうに溜息を吐くのだ。
そうして、彼は語り出す。
何の用も無いのなら、自分の話でも聞けと言わんばかりに、唐突に、何の前触れもなく、語り出すのだ。