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16-18話 中略その2

 プルエの疑問にクマは答える。

「ここまで来て魔法剣を手に入れられなかったり、捨てたりした場合の救済措置です」

「……だからこのゲームはクソゲーってプレイヤーから言われるんですよー!」

 マホはプルエに質問した。

「……プルエさん、私たち以外にもこのゲームをやった人がいたんですか?」


「九十九年前ー、発売されて一年の間、いましたよー。そしてすぐにやめていきましたよー。セーブが無い上に途中で中断できないとか、陳腐で数の少ないイベントだとか、誰得なのかわからない作者の独りよがりな食事だとか、そんな事を言ってー、クソゲーと呼んでー、皆やめていきましたよー! クリアした僅かな人だってもう二度とやる事は無くて……この九十八年間、誰一人としてやりませんでしたー」

「そこに私たちがプレイした訳ですか」

「そうですー、だからあなたたちがクリアしてしまったら、このゲームをやめたら、また誰もやらない。何十年も埃をかぶることになってしまうんですー!」


 プルエの言葉にサユは頷いた。

「……なるほど、つまりプルエさんは一人になるのが嫌だったから私達をゲームの中に閉じこめておきたかったんですね。でも大丈夫! また遊びに来ますから!」

 サユはプルエに親指を立てた拳をつきだした。

「嘘言わないでくださいー!」

「嘘じゃありません。本当です! ね、皆!」

「考えとく……」

「……暇な時にでも」

 ミツコとマホはそう言った。

「ま、まぁ大丈夫ですよ、プルエさん! また私と一緒にご飯でも食べましょう!」


「そんな事言ったってー! 今はともかく、いつかは飽きて遊ばなくなるんでしょー!」

「そんな事ありませんよ!」

 サユはそう返したが、ミツコは。

「同じ事の繰り返しなら、そりゃいつかは飽きるだろ?」

「やっぱりー! そう思ってるんですねー!」

「うるせぇな! 飽きられたくなかったら変わる努力でもしろ!」

「そんな事ー! できるわけないじゃないですかー!」

「だったら、あきらめろ! 安心しろ、戻ったら二度とそんな事を考えられないようソフトを粉々に破壊してやっからな!」

「ちょ、ちょっと!? ミツコちゃん! それはひどいよ!」

「ひでえのはこいつの方だ! 私達、死ぬ一歩手前みたいなもんだったろうが!」

 ミツコに続けてマホが言う。

「確かに。一生ゲームの中のはずでしたからね。でも、その話は水に流しましょう。今はゲームをクリアする事の方が重要だと思います」


「クリアなんてさせませんー! たとえあなたたちを倒したとしても!」

 プルエがアクマデクマを背にサユ達の前に立ちはだかる。そして右腕を曲げて、体の左側へと持って行く。

「はあ!? お前戦えないんじゃないのかよ!」

「グランタートルの甲羅を貫いた私の攻撃を食らいなさいー! 『フリーズ! プルエ! ビーーム!』」

 プルエは右手の人差し指を突き立て、ミツコに向けて右腕を伸ばす。すると人差し指から光線が放たれた。



 ゆっくりと歩くような速さで光線が伸びていく。

「おっそっいわ!」

 ミツコはプルエに飛びかかるようにして頭を殴った。

「いたいー、何するんですかー!」

 プルエは光線を出すのをやめて、殴られた所をさする。

「こっちの台詞だ! 普通に攻撃してきてんじゃねーよ!」

「うるさいですねー、私にはもうこれしか無いんですよー」

「だああ! 知るか! 自分が変わろうとしない奴が他人に要求してんじゃねーよ!」

「だから無理だって言ってるじゃないですかー!」

「グオッ!」

「ひゃあー!」

 クマがプルエをはたいた。

「何するんですかー! ……どうして出てきたんですか! どうしてあなたはあっちの味方するんですかー!? 私と同じメタキャラのくせにいつもいつも設定通り動いていたじゃないですかー!」

「……友達を悲しませるような事はしたくない。あ、クマだけど」

「クマさん……、ありがとう」

 サユがクマに言葉をかけた。

「さあ、勇者サユ。私を倒してこの魔法剣を手に入れるのだ。グオオォ……」

 そう言ってクマは三つの魔法剣を取り出して見せた。

「いや、もうそこはそのまま渡せば良くないか?」

 ミツコはクマに聞く。

「あ、クマなんで、自分」

「えっと……、設定通りに動こうと思ってるんですかね?」

 マホは考え込む。

「クマさん、戦わなくてもいいじゃない!」

 サユはクマに叫ぶ。

「勇者サユ、自分を倒せないようでは魔王を倒せない。あ、クマなんで本気でいきます」

「クマさん……分かりました。私も本気で行きます!」

 サユは背中の大剣タイタネアリを持って両手で構える。

「グオオオ!!」

「クマさーん!!」

 サユとクマはぶつかり合った。




「完成しました。聖なる剣、ジャッジファインです」

「……はい、ありがとうございます」

 サユは神殿の神子から白く輝く剣、ジャッジファインを受け取った。

「これであとは魔王ムーンを倒すだけですね」

 マホが言った。

「その前に、聞いてほしいことがある」

 クマがサユ達に声をかけた。

「……お前倒したよな? なんでいるんだよ?」

 ミツコはクマに聞いた。

「あ、クマなんで。雑魚モンスターは復活するので。それよりも妖精の森にいる長老の話を聞きに行きましょう」

「よし、じゃあ行こうか。皆!」

「では皆さんのご武運をお祈りします」

「あれ? クマさんは来ないんですか?」

「あ、クマなんで。プルエと一緒に残ります」

「うぅ、皆さんー、行かないでくださいー」

 プルエは地面にはいつくばってくやしそうな顔をしていた。

「プルエさん。また会いに来ますから……」

 そう言ってサユ達は妖精の森へと向かった。



 サユ達は妖精の長老から話を聞く。

「聖剣を手に入れたようですな! ならば話をしなくてはいけません。魔王ムーンについて。彼はもともとこの妖精の森の妖精だったのです」

「そうだったんですか」

 サユが相づちを打つ。

「ええ、もともとは気性の穏やかな妖精でした。しかし、ある日、妖精の森で封印されていた闇の剣ブレイドダークネスを手に入れてから彼は変わりました。そして妖精の森を出て魔王ムーンを名乗り始めたのです。全ては闇の剣ブレイドダークネスのせいです。お願いします! ブレイドダークネスを破壊してムーンをお助けください!」

「ブレイドダークネスならニセサユと戦った時、無くなったぞ?」

 ミツコは長老に聞く。

「それはブレイドダークネスの片鱗、いわば分身に過ぎません、本当の力はもっと凄まじいのです」





「そう、真のブレイドダークネスは偽物のものとはまるで違う。魔王の力、見せてやろう!」

 魔王城にたどり着いたサユ達三人の前に黒いマントに身を包んだ人間、魔王ムーンが現れ、黒い剣を振りかざす。

 剣から放たれる黒い波動は大気を震わし、大地を揺るがす。

「こっちにだってジャッジファインがある!」

 サユが白い剣を振りかざすと、辺りは白い光で包まれ、穏やかな風が流れた。

「おのれえぇぇ!! 忌々しい聖剣があああ!」

「よし! このまま一気に倒すぞ!」

「はい!」

 ミツコは全ての楽器を出し、マホは呪文を唱え始めた。


 激しい戦いの末、ブレイドダークネスは粉々に砕け散った。

「ぐあああ!」

 魔王は頭を抱え、雄叫びを上げる。そしてその姿は次第に妖精の姿となっていった。

「やった!」

「これで家に帰れるな!」

「やっとですね!」

 喜びの声を上げるサユ達、そこへ素早い人影が近づき、凶刃がサユの胸を貫いた。

「あれ?」

 ニセサユ、彼女がサユの胸を貫いた。

「サ、サユー!」

 サユは棺桶になった。


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