表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/14

第6話  加速領域

 第6話  加速領域


 アリスと機械人形の戦いは-さらなる段階へと移行した。

 互いに魔力を解放し、魔法を発動しだした。

「魔法?なんで・・・・・・アルカナの世界では使えない

はずなのに・・・・・・。いや、でも、この領域では

問題なく、使えるのか?」

 と、僕は(つぶや)いた。

 すると、僕の周囲に結界が形成された。

 それはアリスの魔力によるモノだった。

「アリス?」

 その僕の(つぶや)きにはアリスは答えず、一瞬、こちらに目を

向けただけで再び戦いに身を投じた。


それからアリスは-さらに大量の魔弾を放った。

 それに対し、機械人形は-腕の部分を変形させ、銃を形成した。

 もはや、何でも-ありだった。

 そして、機関銃から銃弾が乱射され、アリスの魔弾と衝突し

爆発していった。

 アリスは黒い魔力で(かま)を形成し、機械人形に襲いかかった。

 一方で、機械人形は-機械の銃剣(じゅうけん)を作り出し、

それを(ふせ)いだ。

 アリスはトリッキーな動きで、次々と(かま)を振るも、機械人形は-

それを冷静に(はじ)いていった。

 すると、機械人形はアリスの脳天に銃剣を向けた。

 アリスは-とっさに首を(かたむ)けると、次の瞬間には、銃弾が

その耳元を通り過ぎていった。

「ッ!」 

 そして、アリスは思いきり、(かま)を振るった。

 機械人形は-それを銃剣で(ふせ)ぐも、衝撃までは殺せず、

そのまま吹き飛ばされていった。

 しかし、機械人形は姿勢制御を行って、綺麗(きれい)に着地をした。

 機械人形の重みからか、地面には陥没(かんぼつ)した足跡(あしあと)

残った。

 

そして、気づけば、アリスと機械人形は高速で移動しながら、

魔弾と銃弾を撃ち合っていた。

「このッ!正気に戻りなさいよッ!この馬鹿ッ!」

 と、叫び、アリスは追尾型の魔弾を放った。

 機械人形は追ってくる魔弾を次々とかわし、さらに

銃剣で撃ち抜いた。

 さらに、そのままアリスに向かい、機械人形は銃弾を

放ってきた。

 それをアリスは(かま)(はじ)いていった。

(なんて、反応速度だ。どうして、あんな事が出来るんだ?

僕なんか目ですら追えないのに・・・・・・)

 と、僕は遠くから体を震わせながら思うのだった。

 

すると、機械人形は銃剣をもう一つ形成し、二丁で

アリスを狙い撃った。

 アリスも流石(さすが)にたまらず、ガラクタの(かげ)を利用して、

機械人形の死角へと逃げ込んだ。

 すると、機械人形は空中に機械の(ひとみ)を召喚した。

 その瞳は-どんどんと増えていき、そして、羽虫(はむし)のように

ガラクタの(かげ)へと飛んでいった。

 隠れていたアリスを視認した(ひとみ)(たち)は、レーザーを

アリスに向かって放った。

 アリスは-それを次々と(かわ)すも、レーザーの線の攻撃を

避けるのは非常に難度が高かった。

 今、瞳を起点に空中には、レーザーの立体交差が出来上がり、

アリスを斬り裂こうと迫っていた。

 それをアリスは器用に避けて行くも、限界は近づいていた。

『カインッ!絶対に-その結界から出ないでッ!それとッ、

これからの私の姿を見ても、嫌いにならないで』

 とのアリスの声が、僕の脳に直接-響いた。

 次の瞬間、アリスは天に向かい口を開いた。

 そして、アリスの両目から黒い涙が-あふれ(こぼ)れだした。

『ヒッ、ヒィヤァァァィアァァアッッッ!』

 とのアリスの絶叫と共に、黒い波動がアリスから吹き荒れた。

 そして、その波動に触れるや、空中を飛んでいた(ひとみ)(たち)は、

消滅していった。

 結界の中に居る僕は、何とも無かったが、一歩でも外に出れば

大変な事になるのを肌で感じていた。

 これはもはや遊びでは無かった。

 (しん)に心と魂が()かっているのだった。

 そう、僕は(さと)るのだった。


 一方で、機械人形は前方に魔力の壁を展開するも、

黒い波動を(ふせ)ぎきれず、その体は波動に(むしば)まれて-

いった。

機械人形の表面が次々とボロボロと崩れて、(ちり)()した。

 もはや勝敗は時間の問題に見えた。

 その時だった。

 機械人形は顎が外れる程に口を開いた。

 それと共に、共鳴音が響いた。

 さらに、機械人形の頭上には天使の輪が出現し、

光が機械人形の口に凝縮(ぎょうしゅく)していった。

 僕は悪寒(おかん)を感じた。

「アリスッ!避けてッ!」

 僕は思わず、そう叫んだ。

 その言葉に、アリスは一瞬-ハッとした表情を見せた気が

したが遅かった。

 次の瞬間には、機械人形の口から、巨大なレーザーが放たれ、

アリスを飲み込んだ。

 そして、大規模な爆発が起きた。

 

 周囲には静寂(せいじゃく)が満ちた。

 気づけば僕の周囲に張られていた結界は砕け散っていた。

 しかし、その効力か、あれ程の爆発が起きたにも関わらず、

僕は一瞬、意識を失っただけで()んだ。

 (あた)りには煙が充満していた。

「コホッ、コホッ・・・・・・、アリス?どこ?返事をして」

 と、僕は()()みながら、アリスを探した。

 すると、煙に人影が(うつ)った。

「アリスッ!」

 しかし、煙を抜けた先には、機械人形が体を(きし)ませながら

立っていた。

 すると、僕に気づいたのか、機械人形は首を120度近くも

回転させ僕を見据(みす)えた。

「ギ・・・・・・ガ・・・・・・」

 と、機械人形は何かを(つぶや)いたが、僕には理解できなかった。

 その時、僕は怒りが-ふつふつと()いてきた。

 恐怖を怒りが(まさ)った。

「お前ッ!よくも、よくもアリスをッ!

絶対に許さないぞッ!」

 そして、僕は抜剣し、剣に思念を通した。

 段々と僕は-この世界の事を理解してきた。

(全てを斬り裂くイメージを。鉄さえも刃こぼれ一つ

する事なく、(あざ)やかに一刀両断する(するど)さを)

 そう僕は思念した。

 すると、僕の剣は青白く輝きだした。

 それを見て、機械人形は-うなり声をあげた。

 そして、機械人形は僕に襲いかかってきた。

 激しい攻撃が僕に放たれた。

 しかし、それを僕は剣で一つ一つ、(はじ)いていった。

(ほら、ほら、ほら・・・・・・世界が見通(みとお)せる。

世界は凍れるかに遅れていく。見える。

見える。見渡(みわた)せる。

僕の脳は加速していく。

アルファからベータへ、ベータからガンマへ。

その加速領域を移行していく・・・・・・)

 僕は自分とも思えぬ思考を()ていた。

 そして、段々と攻守が逆転していった。

 機械人形が傷つき動きが(にぶ)っていたのもあるが、

僕の剣は動きが最適化されており、鋭さと素早さが

格段(かくだん)に増していたのだ。

 僕は-自身の動きが、光のように最短経路を自動で、

無限の量子(りょうし)世界群(せかいぐん)から選択されるのを-

感じていた。

(散れ・・・・・・)

 僕は-そう思念をこめ、三連(さんれん)の突きを機械人形の胴体に

放った。

 次の瞬間、機械人形は()すすべも無く、吹き飛んで行った。

 それと共に、周囲の空間が砕けていった。

「え・・・・・・?」

 わずかに正気に戻った僕は、床が崩落していくのに()()まれ、

(あらが)いようも無く-闇へと落ちていった。


 ・・・・・・・・・・

 


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ