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第1話  失踪

 第1話  失踪(しっそう)


挿絵(By みてみん)


 《左・サユリ、右・カイ》



 日差(ひざ)しの照りつける公園で、僕と姉さんは砂場で遊んで

いた。

 その周りでは親子連れの人達が休日の(いとま)を、安らかに

過ごしていた。

 ある父親は、僕と同じ(とし)くらいの子を高い高いしてた。

 ある母親は、子供達と一緒にお弁当を楽しそうに食べて

居た。

 その(さま)はあまりに幸せそうで、それでいて触れてはいけない

神聖(しんせい)さを感じさせた。

 

僕と姉さんの(そば)には、誰も居なかった。

それに気づいてしまった僕は、頑張(がんば)って作った宝物のような

砂の城が、急に空虚(くうきょ)(かたまり)に見えてしまった。


「お姉ちゃん」

 と、幼い僕は(たず)ねた。

「なぁに?」

 そう姉さんは優しく答えた。

 しかし、姉さんもきっと僕と同じ気持ちだったんだと

思う。

「お父さんとお母さんは、今、どこに居るの?」

 すると、姉さんは悲しげに僕を見つめた。

「カイ。それは知らなくて良い事よ。

父さんと母さんはカイが産まれて、

すぐに居なくなっちゃったの」


「うん・・・・・・」

「でもね、お姉ちゃんがカイの(そば)にずっと

居るからね。何があっても、ずっと一緒だ

からね。お姉ちゃんが、お父さんやお母さん

の分までカイの(そば)に居るからね」

 そう言い、姉さんは僕をギュッと抱きしめてくれた。

「うん」

 と、僕は色んな気持ちで胸がいっぱいになって、

泣きそうになりながら、答えるのだった。


 ・・・・・・・・・・


僕の名は(にじ)(むら) (かい)。6歳違いの姉の虹村 さゆり

とオンボロ・アパートに二人で暮らしている。

 僕たちに両親は居なかった。

 姉さんの話だと、僕が生まれてすぐに両親は居なくなって

しまったらしい。死んでしまったか失踪(しっそう)してしまった

かは僕は知らない。

 姉さんも詳しい話は教えてくれなかった。

 どちらにせよ、僕に両親が存在していない事には

変わりなかった。

ちなみに、さゆり姉さんは元々、養子だったらしくて、

僕と血が繋がってないらしい。

 

 それで僕が生まれてすぐに、僕と姉さんは伯母(おば)さん夫婦に

引き取られたらしい。

でも、伯母(おば)さん達は、僕と姉さんをあまり(こころよ)く思って

いないようだった。それは幼かった僕ですら分かる程だった。


 伯母(おば)さん夫婦には小次郎(こじろう)という実の息子が居た。

 コジロウは、僕より一つ年上で、やんちゃな奴だ。

 伯母さん達はコジロウを相当に溺愛(できあい)しており、

逆に僕や姉さんに対しては厳しかった。

 別に僕や姉さんは、伯母さん達から虐待(ぎゃくたい)を受けていた

わけでは無い。

 しかし、コジロウと比べると、どうしても扱いの差を

感じざるを得なかった。


 僕がテストで満点をとっても()められる事は無かった。

 一方で、コジロウは平均点を少し()えただけで、

オモチャを買ってもらったりしていた。

 僕は伯母さん夫婦からオモチャを買ってもらった

記憶は数えるくらいしか無い。

 それも小銭(こぜに)で買えるような物だけだった。

 コジロウはそんな僕に対し、高いオモチャを見せ

びらかすようにして遊んでいた。


 でも、姉さんがよくオモチャを手作りしてくれた

から、問題なかった。それはお金では買えない大切

な宝物だった。

 そして、僕と姉さんは伯母(おば)さん一家の庇護下(ひごか)

育つのだった。

 

しかし、僕が11の時、姉さんが伯母さんと大げんか

した。原因は知らない。元々、二人の仲は悪かったけど、

今回の件が決定打となって、姉さんと叔母さんの関係は

修復不能になった。

 とはいえ、伯母さんも僕と姉さんを路上に放り出す

程に非情じゃ無くて、あるアパートに僕達を引っ越さ

せた。

 

このアパートは叔母さん夫婦の所有物であり、

色々と融通(ゆうずう)がきいたみたいだ。

 それから、僕と姉さんは二人で(つつ)ましく暮らして

いた。

 

そして、僕は14歳、中学2年生となっていた。

 この3年間、僕は姉さんに迷惑をかけっぱなしだった。

 姉さんは大学にも行かずに、就職をしてお金を稼ぎ、

僕を私立の中学に行かせてくれた。

 伯母さん夫婦は、最低限の生活費しか送って来て

くれなかったのだった。

 とはいえ送って来てくれるだけ、感謝しなくては

いけないとは思う。

 一方で、姉さんの就職先は大変な所らしく、

姉さんはいつも疲れて帰って来ていた。

 


 その日、僕と姉さんは、僕の部屋で朝食をとっていた。

 この家にはリビングが無いし、キッチンも狭いので

僕か姉さんの部屋のどちらかを使わないと、他に食べ

れる場所が無いのだった。


「そう言えば、カイ?期末テストの出来はどうだった?」

 と、さゆり姉さんは僕の作ったご飯を食べながら、

(たず)ねてきた。姉さんが頑張って働いているから、

食事は僕の担当だった。

「まぁまぁ、だったよ」

 と答え、僕は返却されたテストを姉さんに見せた。

 それを黙々と見つめ、姉さんは急に顔をほころばせた。


流石(さすが)じゃない、カイ。全教科、90点越()えなんて。

もー、私なんか、学校のテスト、全然-駄目だった

のに。カイは授業を真面目(まじめ)に聞いてるのね。

偉い子、偉い子」

 そう言って、さゆり姉さんは僕を抱きしめてきた。

 その大きな胸が当たって妙に気恥ずかしくなる。

 スーツを着ている姉さんは、ひいき目に見ても、

本当に綺麗(きれい)だった。ただ、スカートが短かすぎて

姉さんの(すわ)具合(ぐあい)によっては中が見えてしまう事

があって、それには困ってしまった。


「姉さん、やめてよ。もう、子供じゃ無いんだから」

 との僕の言葉に、姉さんはフフッと笑った。

「私から見たら、まだまだ子供よ。昔は一緒に

お風呂にも入ったのにね」

 確かに、小学生の低学年までは一緒にお風呂に入っていた

気がする。

「昔の話を()(かえ)さないでよ」

 と、僕は-ぶーたれた。

「はいはい。あ、そうだ。私、明日から出張なの」

「え、そうなの?」

「そうなのよー。あ、でも、一週間で帰ってくるから。

その間、カイ。寂しいと思うけど我慢するのよ」

「うん」

 と、僕は(うつむ)き答えた。

「ずいぶん、()()ないのね。もっと、こう・・・・・・

《お姉ちゃん、行かないでッ!》とか言えないの?」

「え?でも、一週間でしょ?そりゃ、半年とかなったら

寂しいけど」

 との僕の言葉に、姉さんはふてくされた顔をした。

 姉さんはふてくされると、良くほっぺをプクッと

(ふく)らませる。ちなみに、小さい頃、僕も真似(まね)してみたら

必ず姉さんに両手でほっぺを(つぶ)されたものだった。

 

 それと、()()なく返事をしたのには理由がある。

 本当は僕も寂しいのを隠したかったのだ。

 恥ずかしいし・・・・・・。


「まぁ、いいわ。私が居ない間、ちゃんと学校には

行くのよ。もっとも、カイに限って、さぼったりは

しないと思うけど」

「うん」

 今の所、学校は皆勤(かいきん)(しょう)だった。

 姉さんに申しわけなくて、さぼる事なんて出来ない。

「それと、私が居ない間に、女の子を家に連れちゃ

駄目だからね」

 と、ウインクして姉さんは言ってきた。

「そ、それは無いよ。大体、女子に友達-居ないし」

「でも、カイは可愛(かわい)いからねぇ。姉さん心配よ」

 と言って、姉さんは僕の(ほお)を両手で押さえてきた。

 姉さんの手は冷たく、そのひんやりとした感触が、(ほほ)

伝わってくる。

 すると、姉さんは手を離した。

「まぁ、カイにちょっかいを出す女は、塔京湾(トウキョウわん)

沈めるけど・・・・・・」

 という穏やかならぬ言葉が聞こえた気がしたけど、

僕は聞かなかった事にした。

 

 ・・・・・・・・・・

 昼休み、僕は友達の金田(かねだ) (すぐる)

戸口(とぐち) 元春(もとはる)と食事をしていた。

「時にカイ殿(どの)。明日-発売の《アルカナ・ドラグーン》

買うでござるか?グフフ」

 と、スグルは眼鏡(めがね)を光らせて(たず)ねてきた。

 スグルは変わった言葉遣(ことばづか)いをするけど、すごく

面白い奴だ。

「え?いやぁ、オンライン・ゲームでしょ?

ちょっと無理かも」

 と、僕は答えた。

 そのゲームの事は詳しくは知らなかったが、

オンライン・ゲームであることは何故か知って

いた。


 すると、スグルは急に立ち上がり叫んだ。

「ノーーーーンッ!違いますぞ、カイ殿。

《アルカナ・ドラグーン》はただの

オンライン・ゲームではないので

ござる。《VRMMOゲーム》なんで

ござるよ」

「えぇと?」

 聞き慣れない単語に、僕は首をかしげた。


「つまり、体感型のオンライン・ゲームでござる。

普通のゲームではコントローラーを使って、画面の

キャラクターを操作するでござろう?」

「う、うん」

「ところがどっこい。このVRMMOゲームは、

そのゲームの世界に入りこんだかのように、

遊ぶ事が出来るのでござるな」

「え?それって、すごいね」

 と、僕は月並(つきな)みに答えた。

 しかし、どこかで聞いた事があるような(はなし)だ。


 すると、黙々とご飯を食べていたモトハルが口を

挟んできた。

「カイ・・・・・・遅れているぞ」

 とだけ言って、モトハルは再び、ご飯を食べ出した。

 どうやら、これは常識だったらしい。

 (うち)にはテレビが無いから分からなかった。

「脳に干渉する事で、疑似空間を実世界のように

認識させる事が出来るのでござる」

 と、スグルは説明してくれた。

「へぇ・・・・・・」

「うーむ。カイ殿。頭に機械を()っけて遊ぶタイプの

ゲームを本当に見た事がござらんか?」

 と、スグルは(たず)ねてきた。

「あ、分かった。付けると寝ちゃう奴でしょ」

That`s(ザッツ) right(ライト)

 と、モトハルは親指を立ててきた。

「なる程。アニメで昔、見た事がある気がするよ」

 と、僕は思い出していた。

 そう、ゲームの世界に閉じこめられて、出れなくなるとか

いうヤツだった気がする。ただ、幼稚園の時に見たやつだから、

記憶が(さだ)かじゃないけど。


「というか、カイ殿・・・・・・。本当に知らなかったので

ござるか?とっくに実用化されてるんでござるよ」

「え?いやいや、嘘ばっかり。昔、姉さんに-そんなの

あるワケ無いって、言われたよ」

 結構、昔の話だけど。

「・・・・・・カイ。シスコンは良くない」

 と、モトハルはボソッと言った。

「い、いやいや、シスコンとかじゃなくて」

 と、僕は(あわ)てた。

 確かに僕は姉さんと仲が良いが、シスコンでは

無いと思う。無いと思いたい・・・・・・。


「しかし、本当にVR(ヴァーチャル・リアリティ)技術を知らないとは」

 そう言って、スグルは首をかしげた。

「で、でもさ、それってすごく高いんじゃないの?

僕たちじゃ到底、買えないくらい」

 と、僕は素朴(そぼく)な疑問をスグルに(たず)ねた。

「いやいや、技術革新で、一個、数万円で買える

でござるよ」

 それなら中学生でもギリギリ買える範囲だ。

「俺とスグルは、既に一つずつ持っている」

 と、モトハルは少し(ほこ)らしげに言った。

「へぇ・・・・・・。どんな感じ?」

「付けて起動すると、自動的に魂が仮想世界に送られる

感じでござる」

「その間、リアルの体は動かせないんでしょ」

 と、僕は根本の所を聞いた。

「そうでござる。でも、外から強い刺激を受けると、

自動的に目が覚めるから安心でござる」

 とのスグルの説明に、僕は疑問を覚えた。


「でも、それって頭に()せるだけ?

なんか、針とか頭に刺したりしないよね」

「刺したりはしない。載せるだけだ」

 と、モトハルはボソッと言った。

「そっか・・・・・・」

 そして、僕は考え込んだ。

 姉さんが居ない一週間、それで遊べたらすごく楽しいかも

しれない。

 でも、なんか怖くもある。

 頭に装着するだけで、全身の感覚が、仮想世界に送られる

なんて、明らかにおかしい。

でも、現実に存在するなら、おかしいも何も無い。

一見、物理法則に反しているように見えても、実在するなら

きっと僕には分からない理屈が働いてるんだろう。


「そ、それって副作用とか無いの?」

 一応、僕は聞いてみた。

「あるでござるよ」

 と、スグルはグフフと笑いながら言った。

 それに対し、僕はギョッとした。

 本当に大丈夫なんだろうか。

「ど、どんな・・・・・・」

「あまりに熱中しすぎて、テストの点がさんざんだった

でござるッ!」

 と、スグルは頭を抱えるのだった。

 一方で、僕は脱力するのだった。

「そ、そう・・・・・・」

 すると、モトハルが口を開いた。

「カイ。習うより慣れろ、だ。今日、スグルの家で、

やってみないか?」

「え?いいの?」

「そりゃ、カイ殿が良ければ-でござるが。

カイ殿は、いつも夕食の支度(したく)とかで早く

帰ってしまうので・・・・・・」

 とのスグルの言葉に、僕は申しワケなくなった。

 僕も二人と遊びたいのだけど、家事が(いそが)しくて

どうしようも無かったのだ。


「カイは良い旦那(だんな)になるぜ」

 と、モトハルは親指を立てて言った。

 モトハルは冗談めいて、よくフォローしてくれる。

「あ、ありがとう。ただ、姉さんが一週間-居なくて、

しかもお金も(もら)ってるから、今日から一週間は(ひま)なん

だ」

 との言葉に、スグルとモトハルは顔を見交(みか)わし

(うなず)()った。

「それは好都合でござる。是非、是非、せっしゃの家に

招かれるでござるよ」

羽根(はね)を伸ばすのも大事さ」

 との二人に対し、僕は「うん」と答えるのだった。

 そして、僕は放課後がとても待ち遠しくなるの

だった。


 ・・・・・・・・・・

 スグルの家は結構、金持ちらしくて、その家も

高級マンションの最上階にある。

 毎月の管理費も馬鹿にならないんじゃないかと

思う。

 とはいえ、スグルへのお小遣(こづか)いは少ないらしくて、

月末になるといつも金欠で困っていた。

 それで、よくモトハルにお金を借りたりしていた。


 僕たち三人を乗せたエレベーターは、ようやく最上階に

着いた。

 エレベーターを出ると、そこはまるでホテルのような

装飾(そうしょく)(ほどこ)された廊下(ろうか)だった。

「わぁ、すごい所に住んでるんだね、スグル」

「そ、そうでござるか?」

「うん」

 と言うと、スグルは少し嬉しそうにした。

 それから、スグルは生体認証をして、鍵を開けた。

「じゃあ、入ったでござるよ」

 と、自動的に開かれた扉の前で、スグルは僕たちを

招くのだった。



 スグルの家は中もとても広かった。

 僕の住んでいるアパートは2Kで、しかも部屋が

きちんと仕切られていなくて、そして、二つの部屋を

合わせても狭く、実質、1Kとも言えた。

 でも、姉さんと一緒だから問題なかった。

 姉さんと一緒だから十分だった。


「まずは茶でも飲むでござるよ」

 と言って、スグルはリビングに僕たちを案内した。

 すると、そこでは一人の女子中学生がソファーで

寝転びながらゲームをしていた。

「こら、はしたないで-ござるよ、()()

 と、スグルはその女子中学生に言った。

 確かに、寝転がってるから、スカートの中が

チラチラと見えた。

 僕とモトハルは、それを見ないように顔をそらすの

だった。

 すると、ルミと呼ばれたその子は、起き上がって、

僕達の方をジーッと見てきた。

「モトハル、久しぶりじゃん」

 と、ルミはジト目をしながら、言った。

「おう」

 どうやら、二人は知り合いらしい。


「それで・・・・・・兄貴、この人は?」

 と、ルミはスグルに聞いた。

「せっしゃの親友のカイでござるよ。

あ、カイ殿。こいつはせっしゃの妹の

ルミでござる」

 と、紹介してくれた。

「あ、あの、どうも」

 と、僕はルミに頭を下げた。

 すると、ルミは値踏(ねぶ)みするかのように僕の顔を

(のぞ)()んだ。

「な、何か・・・・・・?」

 正直、これだけ至近距離に女の子を見るのは

初めてかもしれない。姉さんを除いて。


「合格・・・・・・」

 と、ルミは(つぶや)いた。

「へ?」

「あの、私、ルミって言います。カイさん、ですよね。

すっごく、格好(かっこ)()いですね。あ、どうぞ、どうぞ、

座って下さい」

 と言って、ルミはソファーをポンポンと叩いた。

 しかし、僕はどうしていいか分からず、立ち尽くして

しまった。こういう女の子にどう接すればいいか、僕は

分からなかった。


 その時、モトハルがニヤリとした。

「では、遠慮無く」

 と、モトハルは僕の代わりにソファーに座ろうとした。

 次の瞬間、ルミはモトハルの尻を蹴った。

「痛いッ!」

 モトハルの悲痛な声が響いた。

「あんたは立ってろ。このアホ」

「アホとは何だ。仮にも年上に向かって、

アウチッ!」

 と、モトハルはルミから第二撃を喰らい、悲鳴をあげた。


「さ、どうぞ、どうぞ、カイさん」

 と、ルミは微笑(ほほえ)み言うのだった。

 正直、床で尻を抱えるモトハルを見て、断れるワケも

無く、僕はルミの横に座った。

「スグル・・・・・・。妹の教育はきちんとした方が。

いえ、何でも無いです」

 握り拳を作るルミを見て、モトハルは口をつぐんだ。

 すると、スグルがお茶を運んできた。

 それから、僕たちはしばらく雑談をし、スグルの部屋へと

移動した。


「何でお前が付いてくるんだ?」

 と、モトハルはルミを見て言った。

「うっさい、いいでしょ。私の家なんだから」

 と、ルミはツインテールを()らしながら答えるの

だった。

「お邪魔してます」

 そう僕は言い、ルミに頭を下げた。

「あ、カイさん、お気になさらず。いつでも来て下さい」

 と、ルミはニコニコしながら答えるのだった。

「では、遠慮なく」

 と言うモトハルの脇腹(わきばら)を、ルミの拳が襲った。

「い、今のはクリティカルしたぞ・・・・・・」

 と、モトハルは脇腹を押さえながら言うのだった。

 すごく痛そうだった。


「うっさい、この馬鹿」

「というか、何故、俺には優しくしない?

やはり、あれか?あれなのか?」

「外見は重要なのよ」

 とのルミの言葉にモトハルは天を(あお)ぎながら「ジーザス」

と、(つぶや)くのだった。

 でも、僕からしたら、モトハルの方が僕なんかより

ずっと格好良いように思えるけど。

 

すると、スグルが僕にこっそり耳打ちした。

「ルミはツンデレでござってな。本当は、モトハルの

事をかなり気に入ってるでござるよ」

 それに僕は納得した。

 確かに、モトハルとルミは、ケンカしてるという

よりは、じゃれついている感じにも見えた。


「さて、痴話(ちわ)ゲンカは置いておいて、ゲームを

始めるでござるよ」

 と、スグルは箱をあさりながら言った。

「待て、誰と誰の話だ?おい」

「そうよ、この馬鹿兄貴。とうとう頭、腐った?」

 と、モトハルとルミの二人はスグルに詰め寄った。

「わ、悪かったでござるよ。ともかく、説明させて

欲しいでござる」

 と、スグルは降参のポーズをした。


 それから、スグルは気を取りなおしたように咳払(せきばら)

をして言葉を続けた。

「さ、カイ殿。これがVR(ヴァーチャル・リアリティ)マシンで

ござる」

 そして、スグルは銀色をしたヘルメットみたいなのを

手にして見せた。

「これを頭に付けるとゲームの世界に?」

 と、僕は(たず)ねた。

「そうでござる。とはいえ、安全上、近くに一人、

見ている人が必要でござるが」

「ええと?」

「つまり、あまりに長時間、ゲームの世界に入ると、

リアルの体に影響が出るから、監視する奴が必要

って事だ」

 と、モトハルが代わりに答えた。

 確かに、リアルの体が無防備になるのはマズイ。


「そうでござる。それで、30分ごとに休憩を挟むのが

良いでござる」

「でも、それじゃゲームとしては短すぎない?」

 確かにゲームは1時間に一回、休憩を入れろ

とは言うけど。オンライン・ゲームでそれは

駄目なのでは、と思えた。

「ゲーム内での体感時間が違うんでござるよ。

大体、10倍の速さで時が進むでござるよ」

 とのスグルの説明に僕は驚いた。

 そんな事が可能なんて。


「時が遅くなるとも言えるが」

 と、モトハルが補足した。

「えぇと、つまり、リアルで30分が経過する間、

ゲームの中では300分が体感できるって事?」

「そうでござる。すごい技術でござろう?」

 と、スグルは誇らしげに言うのだった。

 夢のような(はなし)に、僕は驚きを隠せなかった。


「まぁ、確かにすごいけど、すごすぎて逆に怖いよ」

「大丈夫だ。何も怖がる事は無い」

 とのモトハルの言葉を今は信じる事にしよう。

 そして、僕はスグルからVRマシンを受け取った。

「あれ、でも。そうするとスグルの分のVRマシンは?」

「旧式なら一つあるでござる。でも、これじゃ、

明日-発売の《アルカナ・ドラグーン》には対応

してないでござるよ」

 と言って、少し古びた赤色のVRマシンを出した。


「そっか、じゃあ、これで大丈夫だね」

「ああ。じゃあ、スグル妹よ。見張りを頼むぜ」

 と言って、モトハルは愛用のVRマシンを取り出して

装着しようとすると、ルミに引ったくられた。

「おい・・・・・・まさか・・・・・・」

「モトハル、お留守番(るすばん)よろしく。じゃあ、カイさん。

先に行ってますね。ダイブ」

 と言って、ルミはVRマシンを起動し、横たわった。

 そして、ルミは眠り姫のように動かなくなった。


「本当に寝ちゃった」

「やれやれ、無防備にも程があるな」

 と、モトハルは(あき)れて言った。

「まぁ、家中に監視カメラがあるから大丈夫で

ござるよ、モトハル殿」

「いや、変な事しないからな。断じて言うが」

 と、モトハルは真剣に言うのだった。

「分かってるよ。でも、モトハル、留守番、本当に

いいの?」

「誰かがしなければいけない。

なら、俺はその任を引き受けるまでだ」

 と、モトハルは前髪をかきあげて、言うのだった。

 モトハルは、よく格好付(かっこつ)ける。


「では、モトハル殿。30分よろしくでござる」

「ああ。Enjoy(エンジョイ) it(イット)!カイ」

「ありがとう」

 そして、僕はVRマシンを頭に装着した。

 すると、僕は急に不安になってきた。

「ボタンを押して起動させるだけで大丈夫で

ござる。ともかく、これを頭に-どこかに

横たわって」

 と、座布団(ざぶとん)を渡して来た。

 僕はそれを頭に床に転がった。

「じゃあ、行ってきます」

 と言って、目を閉じ、ボタンを押した。

 次の瞬間、僕の意識は数式の中に埋もれた。


 

気づけば僕は近未来的な部屋に居た。

 そこは光点が次々と移動して行っており、不思議な

調和に満ちていた。

 明らかに、ここは普通の空間では無いのが初心者の

僕でも分かった。

 どちらかと言えば、バグか何かに思えた。

ふと見上げれば空中に、奇妙なヘルメットをかぶった少女が

浮いているのに気づいた。

 さらに、少女は僕をジッと見つめていた。

「・・・・・・まだ、こちらに来るのは早すぎる。

戻りなさい」

 そう言って、その少女は指を鳴らした。

 その時、僕は嫌な予感を覚えた。

 すると、床が音を立てて崩れていった。

 僕は何とか、それを逃れようと走るも、

間に合わず、崩壊に飲まれていった。

そして、僕は悲鳴をあげながら、成すすべも無く

闇へと落ちていった。


 

そして、再び気づけば、人混(ひとご)みの中に僕は居た。

 今のは夢か何かだったのだろうか?

 すると、スグルとルミを見つけた。

 ようやく僕は通常の仮想世界に居る事に気づいた。

「おーい」

 と僕は声を()けた。

 すると、二人は駆けてきた。


「カイ殿ッ!探したでござるよ?一体、何処(どこ)

行っていたでござる?」

「そうですよ。こっちの時間で1時間くらい探して

たんですよ」

 とのスグルとルミの言葉に、僕は首をかしげた。

「え?そんなに・・・・・・。いや、変な部屋で目が覚めて。

そこで・・・・・・ッ」

 すると、頭がひどく痛んで、何も思い出せなかった。

 この妙な現象に僕は背筋がゾッとした。


「部屋?何の事でござる?普通、すぐに、

このサーバーに転送されるハズでござる

よ」

 とのスグルの言葉に、僕は再びぎょっとした。

「え?」

「ともかく、早く遊びましょうよ」

 と無邪気(むじゃき)に言うルミに、僕はぎこちなく(うなず)いた。

 あまり深く考え無い事にしよう。


「じゃあ、どこか適当なゲーム・サーバーに

転移するでござるよ」

「えっと、それはここじゃなくて?」

 と、僕はスグルに(たず)ねた。

「ここはメイン・サーバーでござる。

VRマシンを付けた人は皆、最初ここに

飛ばされてくるでござる。

そして、それぞれのゲームに対応した

サブ・サーバーに、専用のゲートを

利用して、転移するのでござる」

「へぇ、そうなんだ」

 と、僕は納得した。

 どうも、普通のオンライン・ゲームとは違う

感じた。

 もっとも、僕は無料のやつを少しやった事がある

だけだけど。


「そうでござる。中には18禁の体感ゲームも、グフフ」

 すると、ルミがスグルの尻を蹴った。

「このスケベッ!ともかく、簡単なゲームをしましょう」

「なら《ランドシン伝記》が良いでござるな」

 とのスグルの提案にルミは(うなず)いた。

「あれならレベルとか無いから良いかも」

 と、ルミは僕の方を見て言うのだった。

「任せるよ」

「任されたでござる」

 そして、僕はスグルに案内されて、一つの水晶の前に

来た。

「この結晶に触れて、《転移》と念じると、ゲームの世界に

飛ぶでござる」

「念じる?」

 僕は首をかしげた。

 《念じる》とは、ずいぶん抽象的な話だ。


「そうでござる。強く思うだけでござる。まぁ、万一、

上手く出来なくても、そこに(そな)()けてある操作盤に

入力すれば大丈夫でござる」

 と言い、スグルは一つの機械を指さした。

 確かに、水晶の前に、タッチパネルの埋め込まれた操作盤が置いて

あった。これなら僕でも出来そうな気がする。

 しかし、念が操作に影響するなんて、世界は広かった。


「ともかく、やってみてください。大丈夫ですよ。

私も最初から出来ましたし」

 と、ルミはウインクして言った。

「う、うん」

 そして、僕は水晶に手を置いて、《転移》と念じてみた。

 次の瞬間、光に包まれ、僕の意識は別の領域に飛ばされた。


 

気づけば、中世風(ちゅうせいふう)の街に僕は居た。

そして、僕は転移に成功した事に気づいた。

今度は何事もなく()んで良かった。

「わぁ・・・・・・すごい。これって、すごいよッ!

まるで異世界に来たみたいだ」

 と、僕は思わず(つぶや)いていた。

 すると、後ろから転移の光に包まれて、スグルとルミが

現れた。

「簡単だったでござろう」

「うん。すごいよ、これ。本当にすごい」

 と、僕は興奮気味にスグルに言うのだった。

「喜んでもらえて嬉しいです」

 と、ルミもニッコリとするのだった。

「ところで、このゲームの名前って何だっけ?」

 と、僕は(たず)ねた。

「《ランドシン伝記》というゲームでござる。

獣人と戦うのを目的としたゲームで」

 と、スグルは説明をし出した。

 

その時、僕の脳裏で、歯車のようなモノが()()った。

 そして、音と光景が流れた。


 人々が戦っていた。

 魔族(まぞく)人族(ひとぞく)が戦っていた。

 そんな中、魔族のゴブリンの少女を助けようとしている

人族(ひとぞく)探求者(たんきゅうしゃ)(たち)が居た。

 それを僕は知っていた。

 深く知っていたんだ。


 風景が移り変わった。

 エルフの皇子(おうじ)(さま)が居た。

 僕はその皇子様を誰よりも尊敬していた。

 そして、皇子様とさっきの探求者が共に、白い巨人に対して

それぞれの聖剣を手に戦っていた。

 

亜大陸ランドシンでの、《無名の英雄達》その伝承、伝記。

 すなわち《ランドシン伝記》


  都市国家が分断されていった。

それをさっきの探求者達が必死に駆け回り、救おうと

していた。

 彼らは泥まみれであったが、その姿はあまりに尊く

偉大だった。

 

十字軍。

 

帝国。

 

獣王。

 

異世界。

 

魔王。

 

次々と映像は切り替わっていった。

 そして、アカシック・レコードを()けた最後の戦いが

二人の剣士により繰り広げられた。


 気づけば僕は涙していた。

 全てが(なつ)かしかった。

 叫び出したかった。

 僕はここに居た。ここに居たんだと。

 でも、声は()まって何も言う事は出来ず、ただ、

むせび泣く事しか出来なかった。


「カイ殿?」

「カイさん?大丈夫ですか?」

 とのスグルとルミの心配そうな声に、僕はハッと

我に返った。

 こんな感覚は初めてだった。

 それは既視感(デジャブ)という言葉がふさわしかったかも

知れない。


「ご、ごめん。つい、感動しちゃって・・・・・・」

 と、僕はごまかそうとした。

「カイ殿は感受性(かんじゅせい)(ゆた)かでござるなぁ」

「素敵ですぅ」

 と、ルミは猫なで声を出した。

 それに対し、僕は微笑(ほほえ)み返すのだった。

 

 それから僕たちは《ランドシン伝記》の世界で遊んだ。

 この世界では《剣技》が重要で、いかに《剣技》を念じて

発動するかが鍵となる。

 幸い、僕はそれぞれの《剣技》に対し、同様に既視感(デジャブ)があり、

すぐにゲームに慣れる事が出来た。


「カイさん、すごいです。もう、兄貴より強いんじゃ」

「・・・・・・自信を無くしたでござる。まぁ、せっしゃは

本職は魔導士でござるが」

 と言い、スグルはため息を()いた。

 ちなみに、この世界で魔導士は重要職ではあるが、

戦闘力は低いのであった。

 一方で、僕の戦闘職種は騎士であり、戦闘力だけは

高かった。


 

それから、僕たちはさらに《ランドシン伝記》の世界を

駆け回り、気づけば予定の時間を大幅に超えていた。

 そして、リアルに戻ると、そこでは携帯ゲームで一人

遊んでいるモトハルの姿があった。

 口笛を吹くその姿には、どこか哀愁(あいしゅう)(ただよ)っていた。

 そんなモトハルに僕とスグルは謝るのだった。

 そして、今度はモトハルとルミと3人で、ゲームの世界に

(もぐ)るのだった。今回は、スグルは留守番(るすばん)だ。


 

その日、夜遅くなるまで僕たちは、遊び続けた。

でも、いつまでも遊び続けられるわけでは無く、

別れの時間は訪れた。

「すごい楽しかったよ。ありがとう」

 と、僕は心から三人に礼を言った。

「カイ殿に喜んで(いただ)き、せっしゃも光栄でござる」

「また来てくださいね」

 と、スグルとルミは笑顔で答えた。

「うん」

 と、僕も笑顔を返した。

 

そして、モトハルと一緒に、夜道を帰るのだった。

(たか)ぶって僕の心を夜風(よかぜ)は優しく(すず)めてくれた。

「しかし、カイ・・・・・・お前、センスがあるな」

「そ、そうかな?」

 と、僕は照れてしまった。

「ああ。お前ならトップ・プレイヤーも夢じゃ無い。

それは俺が果たせなかった事だ。カイ、俺の夢を

お前に(たく)すぜ」

「はいはい」

 と、僕は適当に受け流した。

 モトハルは大げさで格好(かっこ)()けな所がある。

「じゃあ、俺のホームはこっちだから」

「うん、じゃあ、また明日」

 そして、僕はモトハルとT字路で別れた。

 

 その日、僕は誰も居ない家に帰った。

「やっぱり、少し寂しいな」

 そう言って、帰りにコンビニで買ったお弁当を一人

食べるのだった。

 自分のためとなると、あんまし料理を作る気がしなかった。


 すると、姉さんからメールが来た。

 特に内容があったわけじゃないが、姉さんからメールが

来たこと自体が僕には嬉しかった。

 そこには顔文字が多く、最後に『愛してるわよ、カイ』と

書いてあった。

 それを見て、僕は少し寂しさがまぎれた気がした。

 

ちなみに姉さんは可愛(かわい)いモノが好きで、顔文字の他に

猫の絵文字を良く使う。

 今回のメールにも、最後の方に大量の猫・絵文字が

付けてあり、僕はとても(なご)むのだった。


 それから返信をして、僕は食事を続けるのだが、

すぐに返信が来て、食事が中々、進まないのだった。


 ・・・・・・・・・・

 次の日、スグルとモトハルはため息を()いていた。

 今日、発売予定だった《アルカナ・ドラグーン》のゲームが

突如(とつじょ)、発売延期となったのだった。


「信じられないぜ・・・・・・」

「で、ござる・・・・・・」

 と、二人は落胆を隠せないようだった。

「ま、まぁまぁ。でも、一週間後に発売なんでしょ?

たった一週間、待つだけじゃないか」

 と、僕は二人をなぐさめた。

「そうでござるな。ふむ、しかし、これも運命(ディスティニー)やも

しれんでござる。カイ殿もこの一週間は(ひま)なワケで

ござるし」

「じゃあ、今日も3人で遊ぶか?」

 と、モトハルはニヤリとして言った。

「いいの?」

「当然でござる。(うち)で良ければ、いつでも()いている

でござる」

「ほんと?なら、遊ぼうよ」

 と、僕は言った。

 姉さんが居なくても、これなら一週間、寂しくなさそうだ。


 ・・・・・・・・・・

 それから(またた)く間に一週間が過ぎた。

 僕は《ランドシン伝記》では相当に腕を上げていた。

 下手(へた)すれば、中級プレイヤーにも勝てるかもしれない

くらいだった。

 でも、それはモトハルとスグルとルミが色々と

教えて、一緒に遊んでくれたからだった。

 決して、僕一人の力じゃ無かった。

 この三人と、これからもこうして遊べたらな、

と僕は心から思うのだった。

 姉さんが帰ってきたら、最新のVRマシンを買って

もらえないか聞いて見ようと思った。

 あまりに高かったら無理だけど。

 それでも、三人と《アルカナ・ドラグーン》のゲーム

をして遊びたかった。

 そして、僕は姉さんが帰ってくるのをドキドキしながら

待っていた。

  

そんな僕の高揚(こうよう)した心は、突然、打ち砕かれた。

姉さんが帰ってこなかった。

 毎日、夜になるとメールが来るのに、それも無かった。

 こっちから携帯に、電話やメールをしても(つな)がらなかった。

 しかも、僕は姉さんの仕事先を知らなかった。

 今の僕には待つことしか出来なかった。


 僕はパニックを起こした。

 どうしていいか、分からなかった。

 でも、姉さんは必ず帰ってくると信じて、

情けなく半べそをかきながら、待っていた。

 姉さんが居ないと、狭いはずの家が急に広く

感じられて、僕は寂しさをつのらせていった。

 

 しかし、二日(ふつか)()ち、僕はある事実を認めなくては

ならなかった。

 

そう・・・・・・姉さんは失踪(しっそう)したのだと。


 ・・・・・・・・・・



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