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Othello  作者: sand
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闇の世界3

 人気の無い家の中で一人の少女の足跡だけが聞こえる。この家は今留守のようだ。家の中に入ってから少女は安心した。誰か一人でもいたらこんなに静かになるはずは無い。泥棒するのには最適だ。だが何か嫌な予感がする。いつもならこんなことは滅多に無いのに。

「早く盗む物盗んで家に帰らないと。」

 少女は家の台所へと向かった。食べ物さえ手に入ればいい。空腹さえ満たされればいいのだから。

「なんか今日は簡単に行き過ぎて不気味ね。」

 少女は台所で食べられる物を持てるだけ持った。これで当分は大丈夫だろう。あとは誰にも見つからずに自分の家に帰るだけ。そうして出口へ向かおうと思い振り返った。すると、

「残念だったなあ。そう毎回毎回こそ泥にやられてたまるかよ。」

 この家の住人の男が隠れて待ち伏せしていたのだ。盗んだところを捕らえようと。油断しすぎていた。そもそもこんな事をするのは私だけじゃないんだ。そんな中でこんな家を留守にしているわけがない。早くここから逃げなきゃ。

「そう簡単につかまってたまるか。」

 少女は盗んだ物を持って必死で男を振り払い出口へと向かった。

「待て!逃がすもんかっ。」

 後ろから男が追いかけてくる。だが、目の前にはドアが見えてきた。足の速さには自信がある。外に出てさえしまえばそのまま逃げきれる。

「もう少し」

 そして少女はドアノブをつかみドアを開けた。すると、

「え?‥‥‥うそ」

 少女は目を見開いた。少女は今のこの状況を飲み込めないでいる。少女のその目の前には・・・・・

「ハハハ。どうした?逃げないのか?」

 少女の目の前に立っていたのは、昨日少女がパンを盗んで追いかけてきた男だった。・・・そして、もう一人

「っお姉ちゃん」

 妹、セラだ。セラが首元に包丁を向けられ人質とされていた。

「おいっ、どうした?早く逃げればいいだろう?このまま走ってけば逃げ切れるぜぇ。まぁおまえが逃げたらこいつを殺すがなぁ。」

 男は包丁をセラの首に近づけた。

「ハァハァ‥‥間に合ったか?」

 家の住人の男も追いかけてきて家から出てきた。どうやらこの二人はグルだったらしい。逃げようと思えば逃げれるがこの状況じゃ逃げられない。

「どうして?」

 ようやく少女は口を開くことができた。

「俺らだってこのまま小娘ごときに食べ物盗まれてちゃやっていけねぇんだよ。ただでさえこんな世界だ。小娘に何か盗まれたっていったらそこいら中の奴らにやられちまう。だからお前を何とかしなくちゃいけなくてな。それでだ。ただお前を殺すってよりもこういう事をした方がお前に一番効くんじゃないかって思ってなわざわざこんな手の込んだことをやったんだよ。周りへの見せしめにもなるしな。」

 どうやら運が悪かったようだ。嫌な予感が的中してしまった。昨日あいつのところに盗みに行かなければ、今日この家に盗みに入らなければ、今日ずっと妹についていれば。

 少女は後悔した。昨日のこと今日のこと。もし少しでも注意してたらこんな事にはならなかったのかもしれないと。

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