光の世界2
少年はただ街中を歩きつづけていた。行くあても無かったので適当に歩いているしかない。
どこを見回してもみんな笑顔だ。自分の思うように生きて暮らせる。犯罪などは別として。でも本当にこれでみんな幸せなのか?自分で何の努力もせずに望むことはほぼ叶えられる。こんな世界で何が楽しいんだ?少年はいつもこのようなことを考えて毎日を過ごしている。けれど何もできない。犯罪なんか起こしてしまったら殺されてしまうかもしれない。
「なぁなぁ聞いたか?とんでもないことをたくらんでいる奴らがいるって。」
ふと噂が聞こえてきた。少年は気になって近くにあった本屋で本を眺めながらこっそりその話を聞くことにした。
「一体どんなことだよ?」
もう一人が聞き返した。
「なんでもそいつら、この世界を変えてやるとか言う手紙を政府あてに送ったっていう噂だぜ。」
「おいっ、それ本当かよ。馬鹿な事する奴もいるもんだな。でもよく手紙を出せたな。そいつらどうなるか分からないぞ。」
話をしていた二人は笑いながら去っていった。
少年はそれを眺めながら考えた。
本当にこの噂が本当だったらとんでもないことだ。だがもう噂まで流れているってことはきっとそいつらは消されているに違いない。この世界で犯罪を起こすなんて不可能なのだから。この世界には監視者がいる。監視者ってのは日々この世界を監視しているらしい。何か不穏な動きでもあったらすぐに対処する。どんな小さなことでもだ。それにしてもこの世界を変えるってどういう事だ?俺と同じ考えの奴でもいるっていうのか。
「今日は暇にならなくて済むかもな。」
少年は今見ていた本を置いて、雑誌を見た。
「載ってるわけ無いか。さっきの奴らに聞くのもあれだしな。」
手にした雑誌を元の場所へと戻した。
「図書館にでも行って調べてみるか」
そう言って少年は、その場所へと向かっていった。図書館に行けばいろんな資料があり、一番最新の情報も置いてある。調べるとしたらそこへ行くのが一番なのだ。
この世界を変えるって事は、俺と同じ考えなのか?もしそうならそいつらに会ってみたい。俺もただじゃすまなそうだけど。でも手紙を送ることができたなんてすごいな。いつもならそんなことは無いはずなのに。こんなこと初めてのことなんじゃないのか。まだ監視者に消されてなければいいんだけどな。‥‥‥これが単なる噂だったら最悪だな。
そんなことを思っているうちに少年は図書館に着いた。
「着いたな。」
そして少年は中へと入っていった。期待を膨らませながら。