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Othello  作者: sand
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闇の世界2

「じゃあ行ってくるね。おとなしく寝ていてね、セラ。」

「お姉ちゃんも気をつけてね。」

 そして少女は家を出て行った。いつもと変わらぬ朝だった。荒れ果てたこの街ではただ不気味にカラスが鳴いている。また食べ物を盗んでこなければいけない。そうしなければ私たちは生きてはいけないのだから。セラには心配ばかりかけてしまうがそれも仕方ない。セラは病弱な体なのだから姉の自分が何とかしなくては。

「今日も上手くいくかしら。」

 そして少女は街の方へと歩いていった。



「お姉ちゃん‥‥‥私がこんな体じゃなければ」

 セラはうつむきながら考え込んでいた。姉にばかり負担をかけてしまうことを悔やんでいた。生まれつき体が弱いためになかなか外に出ることもできない。両親をすぐに無くしてしまったために姉に頼って生きていくしかない。こんな情勢の世界では一人で生きていくのもやっとだというのに。これ以上頼ってばかりではいけないとセラも思い始めていた。

「何か私にできることは無いのかしら‥‥‥」

 そして窓の外を眺めていた。何か自分にできることは無いのかと。少しでも協力できればいいと、そう思いながらずっと眺めていた。

 すると、いきなりドアがすごい勢いで開かれる音がした。誰かがこちらの方へやってくる。

 そしてもう自分のそばまでその人は来ていた。

「あなたは誰?」




 寂れた街の中をただ一人少女は歩いていた。今日はどこから食料を調達しようかと。さすがに同じ所でまた盗んでくるわけにもいかない。顔を覚えられてしまうから。だがここ最近はこの辺りばかりで盗みを働いてきた。そろそろ違う場所へ移さなくてはいけないとは思ってきたものの、なかなか盗んでこれる場所が無い。どこも貧乏で盗むのにも気が引けてしまう。まだこの辺にはお金持ちともいえないかもしれないが自分たちよりは裕福な奴らが住んでいる。だからこの辺りばかり狙ってしまうのだ。

「まだ顔が知られていなければいいんだけど‥‥‥」

 少女は周りを少し気にしながら顔を見られないようにうつむいて歩いていた。どこかいい場所はないかと。

(なんか今日はいつもより人が少ない。どうして?まあその方が私のはうれしいけど。)

 もともと外を出歩いたりする人は少ないのだが、今日はいつもにまして人が少ない感じだ。

「今日はここかな。」

 少女はちょっとは裕福そうな家を見つけその場所に決めた。どうやら人の気配は無い。留守のようだ。家の電気も消えている。

(前に盗んだところからたいして離れてないけどだいじょうぶだよね。)

 少女はこっそりと誰にも見られぬようにその家の敷地の中へと入っていった。












 


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