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第一話  初恋

はじめまして。自分が読みたい設定をつめこんでしまいました。よろしかったらのぞいていってください。

それは一目惚れだった。









でたくもない王国創立祭にでて、多少なりとも不機嫌だった私は、お祝いをしにやってきた各国の王族たちが次々と私たちに挨拶するのを横目に何気なく周りを見渡し、ふと同い年ぐらいの男の子に目を留めた。


ただ単に同い年そうだなと思ったことと、とても不機嫌そうな顔を隠しもしていないことに興味をもったからだった。


私はこのとき11歳だったのだが、この年になると、自分の態度が周りにどんな影響が与えるのか自然と分かってくる。だがそんなことを微塵も気にしていない男の子が、妙に羨ましかった。





(私もこの創立祭は面倒っておもってますよ)


今、私と彼は同じ感情を共有しているみたいでくすぐったかった。


今さっきまで不機嫌だったことも忘れ、少しずつわくわくとさえしながら、彼を観察し始めた。


といっても常日頃無表情な私は、不機嫌に思っていようとわくわくしようと、その感情を悟られることはめったにない。唯一家族だけは何気なくわかるらしいのだが。


妹も私と同じようにあまり感情を表に出さないので、よく両親やメイドたちが困った顔をしていた。





彼は、深い蒼色の少々短めな髪をぐしゃぐしゃとしながら隣にいるお付きの人?らしき人に、なにか話しかけているが、お付きの人はニコニコしながら頭をふっている。


イライラとしている男の子をみて、お付きの人は不意に誰かをよんだ。すると男の子はわたわたとして、おつきの人が見ている方向へ走っていく。









そちらに目を向けた瞬間、私は周りの景色がキラキラと輝いているかのように見えた。


さっきまで不機嫌顔だった男の子が、とても、とてもきれいに笑っていた。


弟、なのだろうか。3歳ぐらいの可愛らしい男の子がよたよた歩いてくるのを、満面の笑顔で出迎えている。


表情の鮮やかな変化に思わず目が奪われた。


あんな笑顔をしてみたい。


思わずそんなことを思うほど、その笑顔は魅力的で、引き込まれるようで。


鼓動が早くなるのを感じる。顔が赤くなっていくのを自覚すると同時に、男の子の顔を見ていられなくなって思わず目を伏せてしまった。


どきどきと、胸が高鳴っている。




この現象はついこの間、メイドのアンナに教えてもらった。


ある本を読んでいるときに、その中にかいてあった「恋に落ちる」とはどういうことなのかを聞くと、ア

ンナは満面の笑顔で




「胸がドキドキ高鳴って、その人の顔が忘れられなくなって、その人のことしか考えられなくなるんですよ」




と教えてくれた。どうやらアンナも今恋に落ちてる最中らしい。










この時だけは、私はいつもの無表情が崩れていた自信がある。どうせ、周りはみんな両親のほうに顔を向けているので、だれも気にもしていないだろうが。





少したって気持ちが少し落ち着いてから、横目でまだ同じ場所に男の子がいることを確認し、自分の横で退屈そうにしている叔父様に男の子のことをきく。


すると「ははーん・・・」とニヤニヤされたあとに、隣の国のヴィングリー国の王子だと教えてもらった。




ヴィングリー国。


緑と山に囲まれた国でとても豊かだが、それゆえに付近の国から目を付けられているらしく、それに対抗するために軍の規模も大きいとこの前の授業で習った。


その国の王子なのかとぼんやりと考えているうちに創立祭も終盤となり、次々と貴族や王族たちが

帰っていく。


はっと気がついたときには彼も、付き人も、彼の弟らしき人もいなかった。


あぁ、いってしまった。


その時はとても後悔したのを覚えている。


どうせ話しかける度胸もないくせになにを後悔するというのか。





それから8年。


私は初恋を忘れることもできず、しかし行動を起こすこともなく、たんたんと生活を続けている。


ただ、初めての恋をしたあと、叔父が面白半分で教え始めた護身術に私はすっかりはまってしまい、気が付けば剣と体術で、騎士団の男たちをあしらってしまうほどの実力をつけてしまった。


なにをどう間違ったのか・・・。謎だ。













そして今日、私は嫁ぐ。


初恋の彼のもとへ。





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