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天使の仮面舞踏会  作者: 橘 伊津姫
プロローグ
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プロローグ

1 プロローグ


 誰にでも、一生のうちに忘れられない光景が、一つや二つはあるもんだ。そして俺も、あの日見た光景を一生忘れる事はないだろう。

 そう。俺の人生を変えた光景を。


**


 あの日、俺は書き上げた原稿を出版社に納め、自宅へ向かってバイクを飛ばしていた。一応のとこ、小説家なんぞをやっている俺は、帰り際の担当者の言葉を思い出していた。

「じゃあ、萌木もえぎさん。次回はちびっとホラーっぽくいきましょうか。あ、ファンタジーの要素も入れてね」

 なぁにが“ちびっと”だ、バカたれが。テメーは注文つけるだけだから楽だろうけど、ネタ考えんのは俺なんだぜぇ……。ぶつぶつ。

 夕陽が朱い。その朱が、白い雲に映えている。まるで朱炎が揺れているようだ。

 メット越しに視線を上げて、俺は息を飲み込んだ。

「え……。あの形は?」

 そこに「天使」が立っていた。夕陽に背を向け、翼を広げて巨大な天使が立っていたのだ。その両腕は下界へ向けて差し伸べられ、 顔はやや俯いている。

 見事な雲の芸術だ。朱く燃える夕陽をまとい降臨した天使。

「緋色の大天使──か」

 ほんの一瞬、俺は雲の天使に気を取られた。ハッとした時には遅すぎた。脇から飛び出してきたダンプの荷台へ向かって、俺のバイクは特攻ぶちかましていたのだ。

 脳天まで突き抜ける衝撃と、身体が吹っ飛ぶ感覚と、ああ、ヤベェ。俺の人生、これでアウトか。案外短い人生だったな……。おあ! バイクのローン──ってな自分の意識。

 そして───ブラック・アウト。



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