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第8話 戦利品は『激臭』装備!? 異世界サバイバルの過酷な現実

 ――歩きながら考える。


 既に巨大蛇と3体分の人間と持ち物が入っている。

 どういう仕組みか知らんが、アイテムボックスはかなりの容量がありそうだ。


 帽子の男は、川に出てから下流へ進むとグリムがあると言っていた。

 グリムってのは村か町の名前だろうか。


 だが俺は馬鹿正直に川には向かわなかった。

 仲間のいる方に俺を誘導しようとしたとも限らないからな。

 川辺に奴らの仲間がいるかも知れない。


 周囲を警戒しながら、森の中を川の下流方向へと進んでいく。


 時々後ろを振り返ってみる。

 突然サッと茂みに隠れて息を潜めて辺りの様子を伺う。

 何かに尾行されているような気配はしない。

 どうやらあの場にいたのは始末した3人組で全員だったようだ。


 もう大分離れたかというところで、近くの木に背を預けて休む。


 朝から歩き通しだが、体はそれほど疲れていない。

 この世界に来てから体の調子が良い。

 このハードな2日で腹も大分へっこんだしな。


 だが精神的には疲れている。

 緊張の糸が少し緩むと、それを一層自覚する。

 2日前まで会社でパソコン仕事していたんだからな。

 それがいきなり森の中で殺し合いをさせられている。

 さもありなんだ。

 夢なら早く覚めて欲しい。


 とにかく腹が減った。

 アイテムボックスから戦利品を取り出して物色する。


 男たちの持っていた巾着袋を空けてみる。

 何かの肉を干したビーフジャーキーのようなものと皮で出来た水筒がある。


 だが、凄く臭い。

 巾着袋もジャーキーも水筒も全部くっせえ。

 長年風呂に入っていないような酸っぱい匂いがする。

 なんだこれ、洗ってないのか?


 とても清潔とは思えない。

 だが、ようやく手に入れた食糧だ。

 食わない訳にはいかない。


 蛇肉の丸焼きにチャレンジするよりは、ずっとマシのはずだ。

 ……マシだよな?


 まあいい。

 魔法で水を出してビーフジャーキーをしごく様によく洗う。

 鼻をつまんでジャーキーを口に放り込む。

 何の肉だか分からないが不味い。

 味付けも薄い。


 とにかく腹に入れば良いんだ。

 口で息をしながら肉を咀嚼して胃に放り込んでいく作業を繰り返す。


 皮の水筒の紐を緩めて口を空ける。

 ほのかにワインの香りが漂った。

 だが、それよりも酸っぱい匂いがキツイ。

 それに今は酒を飲んでいる場合ではない。


 ふう、とにかく腹は膨れた。

 後で食あたりにならないと良いが。

 アイテムボックスに巾着袋と水筒を放り込む。


 食後の一休みをしながら、さっきの状況を反芻する。


 あそこにいたのは人間だった。

 3人とも剣で武装していた。


 この世界では、ああいう奴らを相手にしていくんだ。

 あの程度でビビってたら、ここで生きてなんていけない。


 俺も荒くれ者になったつもりでいかないとな。


 男たちは有色人種だった。

 最初に頭を撃ち抜いた奴は分からないが、あとの2人の顔は浅黒かった。


 日本人が日に焼けた感じではない。

 南国の人間のような印象だった。

 身長は1人が俺と同じ位、もう一人は俺より高い。

 体格は普通って感じだ。


 ここは色んな肌の人種が入り混じっているのだろうか。

 俺のような日本人顔した人種もいるだろうか。


 しかし平気で他人を殺そうとするなんてな。

 物騒な世界に飛ばされてしまったもんだ。


 僅かな欲望のために、簡単に他人の命を奪う。


 ……いや、地球も同じか。日本が平和なだけだ。


 人心地ついた所でアイテムボックスから服を取り出す。

 現代日本のビジネスカジュアルでは目立ち過ぎるからな。

 現地人の格好に着替えなければ。


 服は片手剣の男が着ていたものだ。

 黄土色の上下。

 膝上まで長さのある上着にズボンとベルト。

 下着は履いていなかった。


 ベルトには皮の財布がぶら下げられるようになっている。

 片手剣も皮の剣帯に納刀してベルトに取り付けられる。


 財布にはいくつかのコインが入っている。

 とりあえず貨幣制度はありそうだな。

 3人分の財布なんだ。

 それなりの金額であることを期待したい。


 これに着替えて装備を付ければ良いか。

 恰好だけは現地人のように見えそうだ。


 だが、とにかく臭い。

 何もかもが臭すぎる。

 あいつら鼻詰まってんのか?

 ズボンに鼻を近づけて嗅いでみる。


 オエッ! くっせえ!


 酸っぱい体臭と、何とも言えない獣臭さが鼻をつく。

 微かに排泄物の匂いもするぞ。


 正直、触るのも憚られる不潔さだ。

 触った手も気持ち悪い。


 一体どんな生活してればこんな風になるんだよ。

 あいつらマジでふざけんなよ。

 俺にはこのまま着るなんてとてもできない。

 敏感肌だし。


 魔法の水を出して、繰り返し水洗いをする。

 服と巾着袋、財布もベルトも、全部ゴシゴシよく洗う。

 本当は中性洗剤が欲しいが、無いものは仕方ない。


 触った感じの手触りでは汚れは落ちたと思うが、匂いが取り切れない。

 それでも大分マシにはなったとは思うが。


 今日はもう遅い。

 木の枝にかけて乾かしながら寝ることにするか。


 今日も今日とて木に登る。

 適当な枝に自分を括り付けて一夜を明かすことにする。

 アイテムボックスシールドで下の方を防御する。

 これは下からの目隠しも兼ねている。


 明日のことを考える。


 本当は荷物を全部アイテムボックスに入れてしまいたいが仕方ない。

 荷物を持ってなければ怪しまれる。

 武器を持ってなければ舐められるしな。


 当面の目標は、現地人の振りをして、さり気なく民衆の生活に溶け込むことだ。


 俺の力は、この異世界でも普通ではないのかも知れない。

 あの3人組は魔法を使ってこなかった。

 体格も地球の人類と同じように見えた。


 ファンタジーの剣術スキルとかあるのだろうか?

 だが何か特殊な力があるなら死ぬ前に使ってくるはずだ。


 どちらにしても能力を見せびらかすのは得策ではない。

 この世界のことを俺は何も知らない。

 誰にも悟られないよう俺の力は秘密にすべきだな。


 さて、グリムという所が部外者に排他的なコミュニティでなければ良いな。

 そんなことを考えながら、俺は異世界の2日目を終えるのだった。


【読者の皆様へ】


本作を読んでいただきありがとうございます。


執筆のモチベーションになりますので、もし「続きが気になる!」「面白い!」と思っていただけたら、ページ下部の【★★★★★】から評価をいただけると嬉しいです!

ブックマーク登録もぜひお願いします。


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※【重要】本作の「R18版(完全版)」について


本作は「ノクターンノベルズ(なろうの大人版)」にて、過激な描写を解禁した

【R18完全版】

を連載中です。


ここではカットされた「リューイチとエルフたちの濃厚な夜」や「より容赦のない展開」は、そちらでお楽しみください。


★探し方★

ノクターンノベルズのサイト内で、

『おっさん異世界物語 ~物理魔法と「鉄の理」。愛欲と硝煙にまみれた男が、やがて神を殺すに至る覇道戦記~』

と検索すると出てきます。

(※作者名:「眠れる森のおっさん」でも検索可能です)

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