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第6話 魔力を理解して『氷の弾丸』を生成せよ! そして現れた動く死体

 ――翌朝。


 木の上では横になることが出来なかった。

 座った姿勢で眠っていたので体が痛い。


 ろくに寝た気がしない。

 睡眠の質が著しく悪い。

 ヒールの魔法で疲れはとれているはずだが。


 体感では6時間ほど経ったろうか。

 まだ辺りが暗い。

 暗い中での移動は危険だ。

 明るくなるまで待とう。


 ――夜明けを待ちながら考える。


 昨日の巨大蛇との遭遇戦は危なかった。

 飛び掛かられた場所が違ったら大怪我していた可能性もある。

 アイテムボックスの射程範囲は狭い。

 近づかれる前に攻撃する手段が必要だ。


 キャンプファイヤーと水道をイメージしながら、火と水の魔法に成功した。

 そういえば水は飲んでも腹痛にはならなかったな、飲んでも問題ないようだ。


 そういえばキャンプファイヤーの後に、一瞬だけ空気の密度が薄くなった感覚があった。

 大気中に魔力があって、それを使って魔法を発現しているのだろうか?


 遠距離からの攻撃手段か。


 まず思い浮かぶのはファイアーボールだが、木の上で試すのは危険だな。

 燃え移るし、敵に自分から位置を知らせるようなもんだ。


 水なら……ウォーターボールとかかな。

 水の玉をぶつけても大した威力にならない気がする。


 水が出来たなら氷もできるはずだよな。

 よし、アイスボールなんて良さそうだ。


 目を閉じて大気中の魔力を意識してみる。

 大気の密度が濃い感じがする、この感覚だ。


 周囲に魔力が充満しているイメージを膨らませる。

 大気中の魔力を氷に変換するイメージだ。


 目を開くと2センチほどの小さな氷が出現している。

 出来たぞ。

 昨日と違って製氷機などのイメージをリアルに固めなくても魔法を発動できる。

 大気中の魔力を変換することを意識したら、スムーズに魔法を発動できたんだ。


 もっと氷を大きくしてみよう。


 魔力を氷に変換して野球ボール位まで大きくする。

 目の前にある野球ボール大の氷は微動だにせず宙に浮いている状態だ。


 あとはこの氷を飛ばせるか、だな。

 狙いは上の方にある葉っぱだ。


(飛んで行け!)


 アイスボールが狙いを違わず飛んで行った。


 狙った所に真っすぐ飛ばせるな、まだ速度はイマイチだが。

 次はもっと速く飛ばそう。

 とりあえずプロ野球のピッチャー位で良いか。


 右肩の前にアイスボールを出現させる。

 目視で狙いを定めて意識をそこに向ける。

 速さをイメージする。


(行け!)


 剛速球と化して飛んで行った。

 葉にあたってバスンと良い音がする。


 よし、速度もイメージ通りに出せるな。


 その後も検証と重ねていく。

 氷の形は長さ10センチほどで先っぽが尖った円錐状の形に落ち着いた。

 弾速はエアガン程度だ。

 試しに近くの大木に向けて発射すると深々と突き刺さった。


 俺はこれをアイスバレットと名付けた。


 なるべく音を立てないように上空に向けて練習を重ねる。

 氷弾の形と弾速のイメージは固めてあるので、毎回設定する必要はない。


 空気中の魔力を氷弾へ変換、狙いを定めて発射。

 この動作を西部劇の早撃ちのように繰り返し練習する。


 夜が明ける頃には2秒で速射出来るようになっていた。

 狙いも正確だ。

 20メートル位の距離ならコインを打ち抜けるだろう。


 ――夜が明けた。


 地上に降りて、再び歩き出す。


 水は飲めるようになったが腹が減った。

 もう丸1日以上は何も食べていない。

 今日中に食い物にありつけなければ、昨日手に入れた蛇肉の丸焼きにチャレンジするしかない。


 周囲を警戒しながら慎重に進む。

 前方の障害物をアイテムボックスで排除しながら歩いていく。


 歩き始めて1時間ほど経った頃、人間の姿を見つけた。

 30メートルほど前方で、横を向いて立ち竦んでいる。


 ――現地人か?


 この世界にも人間がいるのかと安堵しかけるが、すぐに違和感を覚える。

 俺は立ち止まって様子を伺う。


 服がボロボロだな、何も持っていない。

 横を見ている、何を見てるんだ。

 様子がおかしい、体が揺れている。


 すると、フラついていた体が突然ピタッと止まった。

 機敏な動作でこちらを振り向いた。


 顔面の皮膚がただれ落ちている。

 目玉が片方無い。

 顔面中に深い裂傷が刻まれている。


 ――ゾンビか!


 あれで立っていられるはずがない。

 俺を見つけるや否やゾンビが走り出した。速い。

 だが既に俺の右肩の前には氷弾が浮かんでいる。


「アイスバレット!」


 バシュッという音とともに氷弾が空気を切り裂いて飛んでいく。


 その直後、バガッと大きな音を立ててゾンビの頭部が弾け飛んだ。

 ゾンビは衝撃で後ろに倒れこんだ。


 やったか?


 ゾンビは20メートルほど離れた所に倒れている。

 俺はまだ近づかない。

 他にもいるかも知れないゾンビに警戒しながら、次弾を準備して様子を伺う。


 倒れこんだゾンビが立ち上がろうともがいている。

 頭を無くしても死なないらしい。


 遠距離から行動力を奪っていくことにする。

 ゾンビの体液に触れたらゾンビ化してしまうかも知れないからな。


 アイスバレットで右足の太ももから下を吹き飛ばす。

 次弾で左膝を吹き飛ばす。

 両足を失っても匍匐前進になって近づいてくる。

 右肩を吹き飛ばすと、流石に片腕だけでは進めなくなったようだ。


 ようやく無力化できた事を確認して、ゾンビに近づいていく。


(オエ……)


 近くで見ると紛れもなく人間の体だった。

 人間の男がゾンビ化したようだ。


 赤黒い断面から骨が覗いている。

 強烈な異臭がキツイ。

 色々吹き飛ばしたもんだから、余計に臭いが立ち込めている。

 胃から込み上げてくるものを飲み込む。


 吹き飛ばした手足は動いていない。

 だが胴体は片腕だけになっても動いている。

 このゾンビは胴体にエネルギーがあるようだ。


 心臓の辺りにアイスバレットを打ち込んでみる。

 胴体の動きが完全に止まった。

 心臓が弱点のようだな。

 次からは胴体を打ち抜いて心臓を破壊すれば良いか。


 ふう、胃がムカムカする。

 大きなストレスを感じているのが分かる。


 ゾンビとは言え元々人間だった者だ。

 死んだ姿は人間そのものだ。


 殺人……同族殺しか。


 だが出来なければ死ぬだけだ、やるしかない。

 こんなものは慣れだ。慣れ。


 俺は自分が生きるために他人を殺した。

 これからも殺す。

 生きている人間だって容赦しない。


 俺はゾンビの死体をじっと見つめていた。

 口で息をしながら。

【読者の皆様へ】


本作を読んでいただきありがとうございます。


執筆のモチベーションになりますので、もし「続きが気になる!」「面白い!」と思っていただけたら、ページ下部の【★★★★★】から評価をいただけると嬉しいです!

ブックマーク登録もぜひお願いします。


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※【重要】本作の「R18版(完全版)」について


本作は「ノクターンノベルズ(なろうの大人版)」にて、過激な描写を解禁した

【R18完全版】

を連載中です。


ここではカットされた「リューイチとエルフたちの濃厚な夜」や「より容赦のない展開」は、そちらでお楽しみください。


★探し方★

ノクターンノベルズのサイト内で、

『おっさん異世界物語 ~物理魔法と「鉄の理」。愛欲と硝煙にまみれた男が、やがて神を殺すに至る覇道戦記~』

と検索すると出てきます。

(※作者名:「眠れる森のおっさん」でも検索可能です)

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