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第25話 ニーアと買い物デート! 手料理と異世界の『暦』事情

 ニーアに連れられて、服飾店へやってきた。

 庶民が買える服飾店といえばグリム市にはこの店だけらしい。

 女の店員が接客してくれる。


「いらっしゃいませ。何をお探しですか?」

「ああ、こいつの服を買いに来た。

 一緒に見てやってくれるか?」

「分かりました」

「ニーア。好きな服をいくつか選んで来い」

「ご主人様、私なら1着あれば十分ですが」

「そうか。まぁ物は試しだ。

 気に入ったのを何着か持って来い」

「はい」


 しばらく店内を見回って時間を潰す。

 ニーアが真剣な顔で、あれでもない、これでもないとやっている。


 しばらくすると服を3セット持って戻ってきた。

 ブラウスとスカートが2セット、あとワンピースみたいなのだな。


「ご主人様。この中でお好きな服はありますか?」

「ああ、どれも良さそうだな。

 お前によく似合いそうだ。

 店員さん、全部でいくらだ?」

「3着で金貨1枚と銀貨8枚になります」

「じゃあ、それは全部買おう。

 ニーア、あと必要なものはないか?」

「ご主人様っ、3着もなんて贅沢過ぎます。

 私なんかが……」

「構わない。

 だが洗濯や何かはお前に頼むぞ」

「それは……はい、そうですけど……」


 この分だと遠慮して必要なものを持ってきてないかも知れない。


「ニーア。あと何か必要なものはないか?

 女性特有の必需品とかあるだろう」

「あ……それは……」


 ニーアが顔を赤くして俯いてしまう。

 店員に目配せをする。


「店員さん。女性に必要なものを一通り見繕ってやってくれ。

 肌着類も含めてな」

「かしこまりました。

 では、こちらへどうぞ」


 店員に連れられてニーアが奥へ行く。

 しばらくして戻ってきた店員が、色々と包んだものを持ってきた。


「肌着類と必需品を合わせて銀貨5枚になります。

 コルセットはいかがなさいますか?」

「ああ、コルセットか。

 ニーア。コルセットはどうだ?」

「そんな高価なもの……」

「ああ、分かった。

 じゃあコルセットも欲しい。いくらだ?」

「銀貨5枚になります。

 いくつか種類がありますが……」

「ニーア。コルセットを選んで来い」

「……はい」


 ニーアが遠慮するから何かと俺が間に入る羽目になって面倒だ。


 いくつかコルセットを持ってきたので、俺の好みで選ばせておいた。

 靴もボロかったので買わせておく。

 ついでに俺の着替えも上下2セット選んで貰った。

 全部で金貨4枚と銀貨5枚だ。

 ニーア2人分以上の金額だ、そりゃ遠慮するか。


 買い物を終えて服飾店を出る。

 早速ワンピースとコルセットに着替えたニーアが隣を歩いている。

 コルセットが細いウエストを強調している。

 足が長いから丈の長いスカートがよく映える。

 スタイルの良さがより一層引き立っていた。


「ご主人様……こんなに沢山お洋服を買っていただいて……」

「良い。それだけお前には期待しているってことだ。頼むぞ」

「はい、ご主人様のためなら何でも頑張ります!」


 何だかんだ言って、喜んでくれたようだ。

 ニーアは美しいからな。

 お洒落な服を着てると見ている俺も気分が良い。

 買ってやって良かった。


「ニーア。そろそろ昼時だな。

 何を食いたい?」

「ご主人様、お昼なら私が作りますけど……」

「作る? どこで作るんだ?」

「具材を買えば宿屋のキッチンを借りて作れます」

「宿屋のキッチンか。借りれるのか?」

「はい、どの宿屋でも無料で貸してくれます。

 自分で作れば部屋で食べられますので」

「そうだったのか。

 じゃあ作ってくれ。具材を買いに行くか」

「ご主人様は、お部屋で待っていてください。

 私が買ってきますので」

「なら買い物は今度から頼めるか。

 今日は一緒に行くぞ」

「はい。ご主人様」


 ニーアを連れて、というよりニーアに連れられて買い出しに行く。

 俺は何の店がどこにあるのか全く分からない。

 この街には商店街なんてものは無いからな。

 この世界で生きて来たニーアを頼もしく感じる。


 魔法で飲み水は出せるので、食材だけ買っていく。

 酒もいらんしな。

 野菜も肉も地球と同じような物が売っている。

 豚肉もあるし、貴重だが牛肉もある。

 キャベツにレタス、ジャガイモにダイコンやトウモロコシ。

 地球と比べれば、断然品質は劣るのは致し方のないことだ。


 肉は高い。野菜は安い。

 肉は高くても買っていく、タンパク質は必要だからな。

 グリム市民も高くてあまり買えないらしいが。


 手に持てるだけ買い込んで全部で銀貨5枚分だ。

 これでしばらくはニーアが作ってくれるらしい。


 宿に帰ると早速ニーアが食事を作ってくれた。

 彼女が作った料理を皿に乗せて、部屋に運んできてくれる。

 木製の皿とトレーも雑貨屋で買ってきた物だ。

 店を色々と梯子したせいで、遅い時間の昼食になった。


「これは何だ?」

「豚肉とじゃがいもの煮物です。ご主人様」

「これは何だ?」

「お野菜の炒め物ですよ、ご主人様」

「ニーア。どれも美味いぞ。

 宿屋の料理なんかより、ずっと美味いじゃないか」

「それは、ご主人様にお肉も沢山買っていただきましたし」

「いや、それでもだ。ニーアは料理が上手いな」

「……ご主人様」


 俺はニーアの料理に舌鼓を打っていた。

 部屋で寛げる格好に着替えて、テーブルに向かい合って食べている。

 ニーアは嬉しそうに、俺が食べる様子を見守っている。

 とても家庭的な雰囲気だ。


 飯を食い終わったのでニーアと一緒に少し横になる。

 日本でも昼休憩には少しでも昼寝するタイプだったからな。

 だが、ニーアは眠れなかったようだ。

 目を覚ますと、隣で彼女が微笑みながら俺を見つめていた。


 夜。


 彼女にこの世界のことを教えて貰う。

 この世界には神聖歴という共通の暦があるらしい。

 今年は神聖歴1365年ということだった。


 1年は360日で12カ月あり、1カ月は30日。

 今は、たぶん10月じゃないかと言っていた。

 というのも、正確な暦は教会に行かないと分からないのだそうだ。


 日本と同じように四季があり、10月~12月は秋に当たる。

 年を明けて1月になると冬が訪れて寒くなるらしい。

 冬は毎年多くの餓死者が出るということだ。

 冬までに豚を放牧して太らせてからしめて、燻製肉などの保存食にするのだそうだ。


 1日の時間も24時間で地球と同じだった。


 ここまで地球と同じとは、どういうことなんだろうか。

 ジパーン人といい、色々と地球に似ている所が多すぎる。


 あの青白い太陽を見て俺は別の惑星だと直感したが、まさか未来の地球なのだろうか?

 魔物がいるのだから、遥か昔の過去ということも無いはずだ。

 数千年、いや数万年も進んだ未来なのか?

 それとも並行世界なのだろうか?

 異なる進化を遂げた地球なのか?


 今はまだ何も答えは出ない。俺は帰れるのだろうか。


 今日のお勉強はその位にして、早めに就寝することにした。

 就寝する前に、明日からのニーアの仕事を1つ追加する。


「ニーア。明日からな。

 目が覚めたら、俺を起こしてくれ」

「……はい……ご主人様」

「おはようの口づけをして起こしてくれ。

 できるか?」

「できます……やらせて、ください」

「よし。それじゃあ頼むな」

「はい……ご主人様っ」


 何だか、またニーアが顔を赤らめて嬉しそうにしている。

 少しはニーアの心も休まっただろうか。


 湯浴みと歯磨きを終えたら、良い子のニーアにご褒美だ。

 就寝前の口づけをさせてやる。

 彼女が安らいだ表情をしながら、俺の手に額を寄せた。


「……ご主人様……おやすみなさい」

「ああ、おやすみ」

【読者の皆様へ】


本作を読んでいただきありがとうございます。


執筆のモチベーションになりますので、もし「続きが気になる!」「面白い!」と思っていただけたら、ページ下部の【★★★★★】から評価をいただけると嬉しいです!

ブックマーク登録もぜひお願いします。


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※【重要】本作の「R18版(完全版)」について


本作は「ノクターンノベルズ(なろうの大人版)」にて、過激な描写を解禁した

【R18完全版】

を連載中です。


ここではカットされた「リューイチとエルフたちの濃厚な夜」や「より容赦のない展開」は、そちらでお楽しみください。


★探し方★

ノクターンノベルズのサイト内で、

『おっさん異世界物語 ~物理魔法と「鉄の理」。愛欲と硝煙にまみれた男が、やがて神を殺すに至る覇道戦記~』

と検索すると出てきます。

(※作者名:「眠れる森のおっさん」でも検索可能です)

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