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第2話 検証開始! 便利な収納魔法だと思ったら『最強の凶器』だった件

 黒い箱の周りを円を描くように歩き回る。

 上から覗いても下から見上げても同じ感じだ。

 真っ黒、漆黒だ。

 黒い空間の向こう側は全く見えない。


(消えろ)


 無くなるように念じてみると、パッと黒い箱が消滅した。

 俺の意思一つで自由に出したり消したりできるのか。


 試しに収納と念じてみると、さっきと同じものが出現した。

 呼び方は何でも良いのか?

 他にも黒い箱とか四次元ポケットなど念じてみるが、それでも出現するようだ。


 とりあえず呼び方はボックスで良いか。


 このボックスに物体が入るのか?

 うっかり手を入れたら切断されてしまうかもしれない。

 これに手を突っ込むのは相当怖い。


 近くに落ちている1メートル位の長さの木の枝を拾う。

 枝をボックスに突き入れてみる。

 反対側には貫通していない。

 明らかにボックスよりも長い枝を突き入れているのに。

 枝を抜いてみても短くなったりはしていないようだ。


 今度は枝を持った手までボックスに入れてみる。

 枝を離して、手を引き抜く。

 手には枝を持っていない。

 黒い空間の中に枝が入ったようだ。


 もう一度ボックスに手を突っ込んでみる。

 何かに触っている感触がしない。

 枝はどこにあるんだ?

 すると、ふと頭の中にイメージが浮かんで自然と枝を掴めた。

 手を引き抜くと先ほどの枝を握っている。


 なるほど、確かにアイテムボックスだな。


 しかし、ゲームのように木の枝1本とリスト表示される訳ではない。

 アレが欲しいと思うと、有るというイメージが頭に浮かぶ。

 何がどれほど入っているかは、よく分からない感じだな。


 もしかして、食べ物とか武器とか入ってるのか?

 ボックスに手を入れて探してみるが、他には何も入っていない事が自然と理解できる。


 待てよ。

 物体の一部だけボックスに入れる事はできるのか?


 ボックスに枝を半分くらい突っ込んで収納をイメージしてみる。

 ふっと枝が軽くなった。

 手に持った枝の先を見ると、ボックスに突き入れた部分がなくなっている。


 おいおい、マジか。

 物質を部分的に取り込めるのか。

 取り込むか否かは自分の意志次第なのか。


 今度はもう少し長い1.5メートルほどの枝を拾う。


(収納発動!)


 収納をイメージしながらボックスに剣道の面をしてみると、当たった部分が消え去った。

 明らかに50センチほど短くなっている。


 というか、もしかして俺の体も切断されてしまうのか?

 これは試しておかないといけないが、いきなり手を入れて試す訳にはいかない。


 指の爪……伸びてるな。

 白い部分が2ミリほど伸びている。

 慎重に慎重に。

 ボックスに右手の人差し指の爪の白い所だけ当ててみる。

 よし、爪だけ当たっている。


(収納発動!)


 爪はそのままだ。

 切断されていないぞ。


 恐る恐るボックスに人差し指の先端を2ミリほど入れて試すが、やはり切断されない。

 ふう、良かった。

 自分も切断されるとしたら怖くて使えなくなってしまう所だった。


 しかしこのアイテムボックスってやつ……とんでもない性能の凶器だな。

 ラノベと実物を見るとでは全く違う。

 これはもっとボックスの事を知っておく必要があるな。


 これは動かせるのか?


 前方に移動するようイメージすると、少し動いた。

 下、斜め右下と、イメージした所に動かせるな。

 あまり遠くには行けないようだ。


 素早く動かそうと思うと、かなり速く動く。

 凄い速いぞ。

 あそこに動かそうと思うと同時に、気づくと既にそこにあるレベルだ。

 うん、これは目で見て避けることは難しいな。

 少なくとも俺が敵なら絶対に避けられない。

 まさか瞬間移動していないよな?


 近くの樹木を真一文字に横切るように、収納発動しながらボックスを動かしてみる。


 ボックスが通った跡がザックリと削り取られている。

 マジか。凄いぞ、これは。

 金属とかの固いものでも削れるのか?

 そこら辺は追々検証して行こう。

 今は時間が惜しい。


 次は変形だ。

 このボックスは形を変えられるのか?


 棒のように長細くなるようにイメージしてみる。

 イメージは少林寺の棒だ。


 おお、若干だが細長くなった。

 底辺が直径25センチほどの煙突型だ。


 でも今はこれで精一杯だな。

 難しいな、慣れていないというか。

 左手で箸を持って食事するようなもどかしさを感じる。

 訓練すればもっとできそうだな。


 ふう、疲れた。

 少し休もう。

 目覚めた時に寄りかかっていた大木を背にして座り込む。

 2時間位は経過したろうか。

 時計が無いので、正確な時間が分からない。


 だがボックスのお陰で命の危機は大分遠ざかった。

 少なくとも物理的な脅威への対抗手段はできた。


 休みながらボックスを大きく広げてみる。

 しばらく四苦八苦しているとマンホール位の大きさに広がった。

 これはシールドになるな。


 このボックスは消えたり動くように念じなければ、その場に固定されたままのようだ。

 不意に襲われるかもしれない。

 収納発動状態にして目の前に固定しておこう。


 ああ、疲れた。

 そういえば今日は馬車馬のように働いたんだった。

 家に帰りたい。

 祥子と由紀は心配しているだろうか。


 そもそも転移したのは自分だけなのか。

 電車には沢山人が乗っていたはずだが、他の地に飛ばされたんだろうか。

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