第10話 異世界の街は『臭い』!? 衛生観念ゼロの都市と奴隷市場
大通りの両側を3階建ての木造家屋が立ち並んでいる。
道幅はそんなに広くない。
日本だと2車線分の道路って感じだろう。
あまりキョロキョロしないように気を付けながら歩いていく。
たくさん人が歩いている。
思った通りだ、多様な人種がいる。
白人や黒人、黄色人種もいる。
どちらかというと白人が多いようだ。
これだけ人種が混じっていれば、俺の顔も目立たないだろう。
だがそんなことより、とにかく臭い。
くっせえ! なんだこの街は!
門をくぐる前から匂っていたが、とにかく酷い匂いだ。
俺は街に入ると物凄い臭さに参っていた。
地面は土が踏み固められている。
通りの中央は至る所に糞が落ちている。
あれは馬糞だろうか。
乾燥しているモノもあるし、出来立てのモノもある。
通りの脇は一段高くなっていて、そこが歩道になっている。
だが歩道は歩道で、これまた臭い。
木造家屋の前に腐った生ゴミやら汚物が寄せられている。
壁際にあるのは人間の排泄物じゃないか。
もはや鼻で息はしていないが、それでも臭い。
目に入るだけで胃に来るものがある。
あぶねえっ!
2階の窓から木桶に入った汚水を道路に投げてる奴がいる。
マジか……。
あの3人組がとびきり臭い訳じゃなかったんか。
この調子じゃ、この街の奴ら全員臭いぞ。
俺はこの世界の衛生観念にげんなりしながら歩いていく。
すると道路のゴミ掃除をしている人間が目に付いた。
掃除している奴は、どれも小汚いボロ布を身にまとっている。
掃除は貧乏人の仕事なのか?
他にも道路に穴を掘って工事している奴らがいた。
ほとんど服を着ていない、裸同然の作業者たちだ。
その横で鞭を持った白人の男が指示を出している。
鞭を打たれたであろう傷跡が痛ましい。
作業をしている男たちは奴隷って奴か。
黒人が多いが、黄色人種もいる。
そうか、この世界は奴隷制度があるんだな。
森の中で殺されかけた女も、そういう事情だったんだろうか。
しばらくして門番の言っていた広場に出た。
かなり大きい。
小学校のグランド位はありそうだ。
広場は市場になっていた。
沢山の出店が並んでいる。
色々な野菜や食べ物が売られている。
服や装飾品なんかの出店もある。
広場を取り囲むように大きな建物が並んでいる。
教会っぽい建物もあるな。
何かの形を描いた看板を掲げている建物もある。
歩きながら出店を見て回る。
すると串焼き屋を見つけた。
何かの肉と野菜が刺された串を焼いている。
良い匂いだな。
「これ2つくれないか?」
「毎度どうも! 2本で鉄貨4枚だよ!」
試しに銅貨っぽいコインを出してみる。
「銅貨でも良いかい?」
「鉄貨6枚の釣りだね、ちょっと待ってくれ」
串焼き2本と釣銭を受け取って歩き出す。
あれは銅貨で正解だったようだ。
釣銭の鉄貨も思った通り、鉄っぽいコインだった。
銅貨1枚=鉄貨10枚で確定だな。
串焼きは1本で鉄貨2枚と。
鉄貨1枚の価値は日本円に換算すると100円位だろうか。
とすると銅貨1枚=1000円位か。
一旦その計算で行くか。
串焼きを食いながら歩いていると、気になるものを見つけた。
人が歩いて入れる大きさのテントがあった。
テントの前にはターバンを頭に巻いた男が立っている。
そいつの横で、白人の女が体育座りをして地面を眺めている。
串焼きを食いながら白人女を眺める。
若そうだ、10代だろうか。
まだどこかに幼さを残している。
可愛らしい顔立ちだ。
しばらく遠くから眺めていると、客が来た。
客とターバン男が何かを話している。
ターバン男が手振りをするとテントからスタッフが出てきた。
スタッフが女の服を乱暴に脱がせ、下着姿にさせた。
客に女の身体を見せているようだ。
道の往来でだ。
通行人も横目で見ている。
薄着にされた女は、スタッフに後ろ手を掴まれている。
肌を衆目に晒しながら手で身を隠すことも出来ず、せめてもの抵抗とばかりに顔を斜め下に傾けるのみだ。
ほう、あれが奴隷商人ってやつか。
俺は良くなった視力で、じっくりと観察をする。
あまり日に焼けていない、白い体だ。
瘦せ気味だが、身体つきはそれなりに良い。
全体的に均整がとれていて、ポイントが高い。
その後、客は立ち去った。
女は服を着て座り込み、また虚ろな目をして地面を眺めている。
商談は成立しなかったようだ。
――なるほどな、こういう世界か。
俺は串焼きの串を投げ捨てた。
歩きながら考える。
あの白人女の奴隷、いくらなんだろうか?
ようやく森を抜けてグリムの街に辿り着いた。
無事に街の中へと入ることは出来たが、そこはとんでもなく劣悪な衛生環境だった。
何しろ街中に馬糞やら生ゴミやらが散乱している。
当然ハエもたかっている。
ハエがたかれば蛆も湧く。
衛生のえの字も知らないのかと小一時間問い詰めたい。
この世界では他の街も似たり寄ったりな衛生環境なんだろうか。
街の広場は市場になっていて、多くの出店と客で賑わっていた。
さすがに広場の周りは力を入れて掃除してるようだ。
それでも匂うが。
市場を見ていると、白人女の奴隷が売られている様子を見かけた。
人身売買なんてクソッタレだとは思うが、それだけだ。
だからって奴隷制度を否定したり、ましてや奴隷から解放してやろうなんて義憤には燃えない。
ここは俺の世界じゃないんだからな。
勝手にやればいい。
俺もそれに乗っからせてもらうだけだ。
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※【重要】本作の「R18版(完全版)」について
本作は「ノクターンノベルズ(なろうの大人版)」にて、過激な描写を解禁した
【R18完全版】
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ここではカットされた「リューイチとエルフたちの濃厚な夜」や「より容赦のない展開」は、そちらでお楽しみください。
★探し方★
ノクターンノベルズのサイト内で、
『おっさん異世界物語 ~物理魔法と「鉄の理」。愛欲と硝煙に塗れた男が、やがて神を殺すに至る覇道戦記~』
と検索すると出てきます。
(※作者名:「眠れる森のおっさん」でも検索可能です)
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