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いずれ紙屑になるもの

作者: 暇庭宅男

今年も隣町の花火が上がる。


夜空に咲く花は、開くたび地上を照らして、無邪気に喜ぶ見物客の顔を一瞬、浮かび上がらせては消える。


テレビでその様子を観ながら、私は漫然とレンジで温めた白米と、冷やした茄子の漬物を交互に口に運ぶ。


花火はあまり好きではない。声に出して何者かに主張したことこそないが、とある年の花火大会が恩人との今生の別れになり、またある年の花火大会が結婚まで考えた相手の笑顔をみた最後の日になった。


過去に引きずられすぎていると言うならば、なるほどこんなに惨めなものもない。

はたと思いついて何年も開けていなかったバインダーを押し入れの奥から引っ張り出して開く。

2人分の名前の入った婚姻届。新しい住所の入った車庫証明、なぜ捨てなかったのか自分でもわからない。多分病んだ母の狂乱に巻き込まれて捨てるのを忘れた、その程度のことだ。


情けなくも涙がこみ上げてきて、縁談がご破産になったのはもう4年も前のことだというのに今さらまた泣いた。

隣町では絶えず、花火の開く音がドン……ドン……と響く。

誰かが笑っている。その笑顔のために、花火は作られ、自らを燃やし尽くして消えていく。

花火の外側に丁寧に貼られた包み紙は、時折燃え尽きる事が出来ずに地上へ落ちてくるのだという。

いずれ紙屑になるもの。

生も死も、その後に確かに残るのは写真や書類上の記録だけだ。

涙を拭って窓の外を見る。木立に遮られながらそれでも、花火の光が見える。光だけが見える。その空の何処かにあるはずの、紙屑と化した何かは、私の目には捉えることができなかった。

ここのところ多少精神状態悪く、しかしそれでも何か書こうと思って書いた。

何が書きたかったかは今となってはわからない。なんだかチラシの裏に書きなぐったメモのような変な作品になってしまった。

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