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税務~たった1G

実は地下街も危険が多い。

地下で逮捕される危険は少ないが…

命を落とすリスクは低くない。

俺も途中何度か襲われそうになったが、騎士パーシモンがいたので助かった。

税務官カタルパと俺だけだったら、たぶんもう…。


一日も早くケリをつけたいものだ。


マジカヨ家の騎士団内での勢力は深刻なダメージを受けたので、ゼニゲバ家が騎士団をコントロールする力はなくなったと言って言いだろう。


しかしまだ税務と司法を手中に納めている。


俺はまた地下街で情報を集め出した。

マジカヨ家の噂はマジカヨ家の噂というより、横暴な徴税についての話が多かった。


これにはカタルパも驚いていた。

カタルパのアドバイスで、

横暴な徴税の主な手口を調べることから始めた。


まず目立ったのが

●課税対象外の商品への徴税

・布を染めてただけで染料税を取られた。

・治療してただけの薬草師が薬品税を取られた。

・臨時物品税を取られた。

などの報告。


次に

●非課税対象への徴税

・孤児院や寺院までも課税対象


あとは

・ありもしない罰金

・徴税官による押し込み強盗

などだ。


カタルパは

「こんなものはありえないですよ」


と憤っていた。


そこで前回同様に、またビラを貼ることにした。

しかし不正の告発的なビラだと、すぐに剥されるリスクがある。


そこでカタルパが一計を案じた。


<流言注意>

最近、

・布を染めてただけで染料税を取られた。

・治療してただけの薬草師が薬品税を取られた。

・臨時物品税を取られた。

・孤児院や寺院までも課税対象

などという噂がありますが、もちろん嘘です。

まさかそんな非道なことが、この国で許されるわけがありません。

――王国庶民啓発委員会


このビラだと剥がすと、民衆がどういう反応を示すかわからないため

剥がす判断は難しい。

とのこと。


これを王国中に張りまくった。


するとこれが大成功で…

各町で問題となり各地の徴税所に質問があいついだ。

もちろんそんな徴税は嘘だとなる…


つまり…今まで徴税官が嘘をついて徴税していたことが明るみになったのだ。



俺とパーシモンとカタルパは変装し、町の様子を見に行った。

すると徴税官と民衆が揉めている。


内容は1Gの徴税をめぐってだった。


「はぁっはぁっはぁっー。オモシロイこというね。

君…たった1Gだよ?

1Gなんてロクな味のワインも飲めない。

それを頂いたからって、なんだっていうんだ?」


カタルパの肩が小刻みに揺れている。


「黙れ。」


カタルパの…

その声は、低く、震えていた。


「お前が吐いた“たった1G”のために……

老婆が晩飯を抜いた。

子供が布の切れ端を抱えて泣いた。

職人が一晩中、指を震わせて細工を仕上げた。」


「1Gの重さもわからぬ奴に……

徴税官を名乗る資格は――ない!!」


民衆は静まり返る。


誰かが小さく「そうだ…」と呟く。


大きな買い物かごを抱えた30代後半の女性が大きな声で言った。

「1Gで親子3人…

半月の食費をまかなうなんて…

あなたには信じれないでしょうね」


(この瞬間、誰かが拳を強く握る。誰かがうつむいたまま涙をこらえる。

沈黙の民が、静かに“声”を持ち始める)



「1Gを笑った者に、国を任せられるのか?」


その憤りは…

まるでドミノ倒しのように…

この国を覆った。


怒った民衆は…

各地で暴動を起こした。


俺たちは更に徴税官の名前とアホタレ家について調べあげた。


問題を起こした徴税官は皆…

他の徴税官とイザコザを起こしていた。

通常この手の情報は

厳重なプライバシーが守られるはずだが…

そこにプライバシーなどなく

あっさりと情報が集まった。


やはり不正を起こしている徴税官のほとんどが

アホタレ家の縁故だと判明。


しかもアホタレ家の権威を傘にきて

好き放題しているということまでわかった。


今回の事を怒った徴税官が、

プライバシーを無視して情報を流してくれたのだ。


もちろん俺たちは空気を読まずに、

このリストをあちらこちらに貼ることにする。


これで更に炎上。


そして留めに…

アホタレの悪事のリストを王国中に貼ることにした。


・過去の訴訟のもみ消し

・闇賭博の庇護

・貴族への脱税指南

・私兵の違法徴税活動 など


ここに至っては、もはや処罰は不可避だった。


王や他の貴族たちも、「アホタレ家を切り捨てねば、我らも火の粉を浴びる」と判断し、孤立化が決定的になった。


そして最終的に暴徒は…

アホタレ家を強襲しアホタレ家は完全に崩壊した。


騎士団は現場にいったが…

見守るだけで…

なにもしなかった。


もう完全に見捨てられたのだ。


ただ…

マジカヨ家

アホタレ家

ゼニゲバ家の屋台骨3本のうち2本が短期間で折られたのと

俺ら3人がゼニゲバ家から脱出していることで

警戒心が思いっきり高まっていることから、今後は簡単にはいかないかもしれない。

そんな嫌な予感がしていた。


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