表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

4/13

近衛騎士団の副団長が3股をかけていたので、空気を読まずに副団長の婚約者に伝えてしまった件

商人からペンと紙を買い…

俺たちはゼニゲバ家のとりまきの連中を整理した

エゲツナ家⇒司法

マジカヨ家⇒近衛騎士団

アホタレ家⇒税務

の3家にゼニゲバ家は支えられている形だ。


ちなみにゼニゲバ家は宰相で、実質この国を陰で支配しているとさえ言われる。


まずは

エゲツナ家

マジカヨ家

アホタレ家

の噂に関して調べることにした。


情報料は質にもよるが…0.5G~1G程度。

割と高めで取引されている。


ただ質の悪いものも多く、ほとんどは使えない情報だった。


ほどなくして。マジカヨ家の長男で近衛騎士団の副団長が、婚約者がおりながら3股をかけている噂が入ってきた。


いつもは冷静な騎士パーシモンはブチギレ

「女を泣かすのが騎士じゃない。女を守るのが騎士なんだ」

と憤慨していた。


どうも副団長のことは大嫌いみたいだ。


俺らはさらにお金を積み、

どこの誰なのか…

いつ会っているか…

すべて調べさせた。


一度変装して、地上に上がったが、3人とも手配書が張られており、何度かヤバイ目にあった。


地上に出て変装していたとはいえ、すれ違った兵士の一人が、ふと振り返った気がした。

背中にじっとりと汗がにじむ。…あれは、俺を見たのか?


夜間ならいいが…

日中はヤバすぎる。


◆ ◆ ◆


俺たちは地下街の人間を使い、婚約者に匿名で手紙を届けた。


ご機嫌麗しゅう、令嬢殿。

誠に僭越ながら、お伝えすべきことがございます。

貴女の婚約者、マジカヨ家の若君は、あなた以外に複数の女性と密会を重ねております。

その中の一人は○○、もう一人は××、いずれも住処・時刻ともに把握済みでございます。

愚かなのは、浮気ではなく、それを隠し通せると思っていたことにございます。

どうぞ、あなた様の正義におかれまして、裁きを。

――匿名の友人より


と…


あの手紙を受け取ったとき、婚約者の令嬢はどんな顔をしたのだろう。

眉をひそめたか、唇をかみしめたか、それとも、静かに頷いたか――

想像するだけで背筋が寒くなったが、それと同時に、何かが少しだけ進んだ気もした。


手紙を受け取った令嬢は、静かに目を伏せたあと、侍女に一言だけ告げたという。

「この婚約、父にお戻ししますわ」――と。


当然こうなると、実際調査はされるもので…

ほどなくして…

3股はバレ

家族間で問題になったようだ。


そこで俺は


副団長3股でフラれる――――騎士団中で話題

「あいつは下半身に脳みそあるからな」

と団員の声~


というビラを地下街の連中に頼んで

貼りまくった。


「副団長、下半身に脳みそ説」

と書かれたビラを手に、地下街の若者たちはクスクスと笑いながら貼っていく。

「へぇ、あの副団長がねぇ…そりゃあ面白ぇや」

――数日もせぬうちに、騎士団の連中の間で、この噂はちょっとした酒場の定番になっていた。


「誤解だ!あれは政略上の付き合いで――」

そんな苦しい言い訳が騎士団の廊下に響いたが、誰も耳を貸さなかった。


◆ ◆ ◆


貴族の結婚というのは、多くは

家の強化を目的に行われるものなわけで…

今回のように、

痴態騒動で家名に泥を塗られたとなると…


逆に敵対勢力が増えるもの。

ましてや今回の結婚は騎士団の中での

マジカヨ家の力を強くしようという

意図があっただけに…

その崩壊っぷりは強烈だったようです。


「あの人に命預けてたかと思うと、寒気がするよ」

「副団長の命令で動いた俺たちが、いちばん割を食ったな」

騎士団の控え室では、静かな罵声が飛び交っていたそうだ。


それは、忠誠という絆が音を立てて崩れていく音だった。


結果的に騎士団内のマジカヨ家の勢力は

完全消滅といえるほど、深刻なダメージを受けた。


副団長は辞任に追い込まれたらしい。いや、追放か。

マジカヨ家の屋敷の前には連日使者が訪れ、剣呑な空気が漂っていた。

地盤沈下の始まり――。だが、俺たちはまだ、外堀を埋めただけにすぎない。


とはいえ、これでまだ1本目だ。

貴族ってのは、思ってるよりもしぶといもんだからな。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ