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赤髪の番犬の脅威~喉元に突きつけられた双刀の牙

ゼニゲバは動いた。


ついに本拠がバレた。


屋敷に残る最後の資金、手勢――そして、赤髪の番犬。


「すべてを潰せ。根こそぎにだ。あのシーフの小僧と、その仲間どもをな…」


ゼニゲバ家の精鋭を引き連れ、廃工房のアジトへと向かってくる一団の足音は、まるで鋼鉄の塊のように重く、冷たかった。


夜明け前――

俺たちのアジトに轟音が響いた。


「来たな…」


パーシモンは剣を抜き、黙って玄関へ向かう。


「ここは俺と地下街の連中が抑える。お前は…あの“犬”をどうにかしろ」


「言うな。わかってる」


俺が外に出ると、そこにはいた。


赤髪の番犬――

紅い長髪をなびかせ、双剣を肩に担ぎながら、まるで終末をも恐れぬ獣のごとく、静かに佇んでいた。


「来たか、E級」


「また…犬かよ。なあ、いい加減、首輪はずしたらどうだ?」


番犬は何も言わず、双剣を構えた。


瞬間、風が鳴った。


避けたつもりだったが、服の袖が裂ける。

剣筋が見えねぇ。やっぱこいつ強え…


俺はいつものように地の利、足場、陽光の角度、あらゆるものを計算に入れた。

だが、それでも追い詰められる。


ギリギリでかわしても、息が詰まる。

時間稼ぎが目的だったが…持たない。


「さすがだな。王国で三指に入る剣士だ…」


番犬は何も言わない。息すら乱さない。


だが――


ある一瞬。

奴の視線が“横”にそれた。


その目の先にいたのは、ゼニゲバ。


俺が息をついたその瞬間、

番犬は動いた。


いや、違う。

俺じゃなく、ゼニゲバに向けて――動いた。


「……番犬?」


双剣がうなり、空気を切り裂いた。

次の瞬間――


ゼニゲバの首が、空を舞っていた。


「な…ぜ……」

断末魔の声も、残らなかった。


俺は呆然とした。


番犬は、ただ静かに立ち尽くしていた。

剣を地面に落とし、深く、長く息を吐いた。


そしてこちらを見た。


「……犬という動物はな。エサをくれる相手にはしっぽを振る。

だが――命を預けるのは、本当に信用できる主だけだ」


「……」


「オレはお前を主と認める。

……くだらねえシーフのくせに……いい生き方してたな……」


赤髪の番犬は

俺が孤児院に寄付をしたのを知っていた。

彼も俺と同じで

孤児院の出身だったのだ。


◆ ◆ ◆


俺はゼニゲバの落とされた首を…

恐る恐る見た。


敵対したのなら

その最後をちゃんと見届ける義務がある。

意外にも彼は微笑んでいた。


「……ああ。来たのか……マーガレット……」

「……ようやく……会えたな……」

「……子供は……元気に……」


そう呟いたように見えた。


その顔は、まるで子供のように穏やかだった。


そして彼の目は、ひとりでに永遠に閉じられた。


◆ ◆ ◆


赤髪の番犬は…

「主は亡くなられた。

もう忠義を果たす必要はない。

我はこのシーフに忠誠を誓う。

異論がある奴は

俺が相手をする。

前に出てこい」


そう言い放った。


兵士たちは

力が抜けたように

剣をさやに納め帰っていった。


「……うん?あれ剣に紋章がないぞ。

なあ番犬?ゼニゲバの剣に紋章ないんだな」


「紋章?ゼニゲバ家は…剣には紋章は入れない。

そういう金の使い方は…

昔からしないんだ」


「ってことは?ゼニゲバの紋章みたいなのが入った剣って

どこのやつだ?」


「そういえば隣国にゼニゲバ家と似た紋章で…

剣にその紋章を入れている貴族がいたと思う。

うん…たしかにそういうのはある…

間違いない…

それはあの貴族だ」


「……ってことは?仇じゃなかった訳?」


「青い顔して…どうした」とパーシモンに声をかけられた。


「いや…ゼニゲバって親の仇だって思い込んでいたんだけど…

どうも違うっぽくってどうしよってなってんだよ」


「うん?そんなこと関係ないんじゃないか?

お前ほっとけば始末されたんだし

俺らだって…もう…」


「あーそうだよね。

そうだそうだ。そういうことだ。

みんな幸せだしな。

OKOKOK」


俺はなんとなくスッキリしないまま…

忘れることにした

神様ありがとうIQ30引いておいてくれて…



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