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包帯令嬢の恩返し〜顔面難病の少女を助けたら数年後美少女になって俺に会いに来た件〜【180万PV達成】  作者: 藤白ぺるか
第2章 ルーシー編

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25話 プレゼント選び

 その後、エリーに今は契約しないことを伝えた。


 ただ、エリーはすぐには引き下がらなかった。アーティスト契約をしなくても、曲を作る手伝いはさせてほしいとのことだった。しかもこれまで通り無償で。

 それはこちらとしては願ったり叶ったりの話だった。


 明らかに事務所側にメリットがない話だったので、ちょっと疑った。

 ただ、エリーの話から、もしいつか活動しても良いと思うようになったのなら、教えて欲しいとのことだった。


 これなら断る理由もなくなったが、それでも私は契約はしない方向にした。今はできれば光流のことだけ考えたかったからだ。

 ひとまずこの話は落ち着いた。



 そして、十月二十六日。二曲目である『Only Photo』の動画サイトへのアップ日となった。


 前回と同じく、音源をもらって真空と一緒に聴いたが、今回も真空はとても褒めてくれた。

 『感動じだ〜っ』と言って、少し目に涙を溜めていた。


 私が心を込めて光流への想いを綴った曲だ。一曲目もそうだったけど、二曲目はそれ以上に想いを込めた。


 そして数時間後、再生数を見てみると、既にチャンネル登録者がいたせいか、以前よりも大幅に再生数の上昇が早かった。

 もう再生数を数えるのも面倒になったので、これ以降は気にしないことにした。



 


 ◇ ◇ ◇




 光流の誕生日プレゼントは歌にすると決めた。

 ただ、動画サイトにアップしているものを教えるというだけではプレゼントにならないと感じ、私も光流がバングルをくれたように何か物をあげたいと思った。


 そこで真空とも一緒に考えたが、歌を聴くということでセットの物になるなら、ヘッドホンが良いのではないかという話になった。

 私もブルートゥースイヤホンを持っているので、光流も普通に持っているかもしれない。でもヘッドホンは意外と持っている人は少ないのではないかと考えた。


 私もアンプに接続してギターの音を聴くために買ったが、それまでヘッドホンを買おうとも思わなかった一人だ。

 最近SNSでたまに見る男性ファッションでも、ヘッドホンを身に着けているコーディネートもよく見る。

 ヘッドホンならファッションの一部としても使えるのではないかと思った。


 そこで、次の休日に真空と一緒に家電量販店にヘッドホンを見に行くことにした。



「おはよ〜ルーシーっ」


 元気に真空が手を振って家から出てきた。私の家の車で真空の家に迎えに行き、一緒に家電量販店に向かう。

 しばらく車移動して、ボディガード達と共にお店の中に入り、ヘッドホンが陳列されてある売り場まで歩いた。


 棚にはヘッドホンが複数立ち並んでおり、複数の会社、種類のものがあった。値段もピンキリだ。


 性能などは正直よくわからないので、そこは高い物を選ぼうと思った。なので、色やデザインから決めることにした。


「やっぱ普段使いしてもらうと考えるなら、シンプルな色合いの方良いよね?」

「確かにね。ルーシーの部屋みたいにピンク色のヘッドホン送ったらさすがに光流くんも困るだろうね」

「そこまでピンクじゃないでしょ!」


 もう何度もドラムの練習で家に来ている真空。練習後には私の部屋でお茶したりもする。

 部屋がピンクと言われたが、そこまで主張しすぎるのも好きじゃないので、ワンポイントとして使っているだけだ。真空は誇張し過ぎだ。


「やっぱモノトーン系の色かなぁ」

「いや、意外と青とか赤とかも良いかもよ?」


 原色カラーのヘッドホンを手に取ってみる。確かに悪くはなさそうだ。

 あと気になるのは装着感だ。耳の部分が楕円型と丸型のヘッドホンがあるが、耳の形に合ってなかったり、圧迫感が強すぎるとすぐ耳が痛くなってしまう。


 私も気にせず適当に買った最初のヘッドホンは、すぐに耳が痛くなって買い換えたものだ。


「これ楕円じゃないし、ちょっとキツそう」


 すると自然と絞られてきた。もう白か黒かグレーのヘッドホンしか残っていなかった。


「光流って白いイメージだし、白にしようかな。私は暗い過去があるからギターも黒にしたし」

「いいんじゃない? シンプルで良さそう。でも私はピンクが良いと思うな〜」

「その話はもう終わったでしょっ」


 真空のボケにツッコミを入れつつ、私が手に取ったのはシンプルで高級な白のヘッドホン。

 

(光流、ちゃんとつけてくれるかな。私は毎日、光流からもらったバングルつけてるよ)


 買い物を済ませて、近くのカフェで食事をとり、その後は家でギターとドラム、それぞれの練習をすることになった。


 互いに楽器を始めてから約一ヶ月ほどが経過していた。最初はおぼつかなかった手の動きも少しだけ滑らかになり、好きな曲のメロディをゆっくりと刻めるようになってきた。

 真空の方もスティックの動きがスムーズになってきていた。


「せっかくだし、一緒の曲練習しない?」


 真空が提案してきた。

 今までは自分たちの好きな曲を課題曲として練習を始めていたが、確かにバンドを組むなら一緒の曲をやっていった方が良いかもしれない。


「そうだね。何にする?」

「日本に行くなら日本のメジャーな曲でも良いけど、せっかくだしルーシーの曲は?」


 アレックスからコード譜はもらっていたけど、私は結局自分ではない人の曲を練習していた。


「真空がそれでいいなら私の曲でも良いよ。でも、もしかしたら三曲目のやつが1番良いかも。ロックっぽくする予定だから」


 二曲目の収録が終わってから、こっちにいる間は余裕ある限り作ってみようとアレックスにも言われたので、大体月一ペースで新曲を作ることになった。


 私は全然問題ないが、無償でやってくれるスタッフさんのスケジュールが大丈夫なのか心配になってくる。

 そして、爽快感のあるJPOP、バラードと来て次は、明るいロックにしようと思っていた。


 題名は歌詞を書く前から決めていた。


『包帯ガール!』


 名前の通り、そのまま私のことなのだが、包帯というだけで色々な想いが詰まっているので、いくらでも歌詞が書ける気がしていた。


「でもリリースは四週間後くらいでしょ? それなら今ある二つのうちどっちかは?」

「それなら『星空のような雨』がいいかな」

「……じゃあ、それにしよう!」

「アレックスにドラム譜もらっておくね」


 ということで二人で一緒に練習するのはわたしの記念すべき一曲目となった。


この度は本小説をお読みいただきありがとうございます!

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― 新着の感想 ―
[良い点] いつも楽しく読ませてもらっています。 丁寧な話の展開が好きです。 [気になる点] そろそろ日本に戻る話になると思うけど流石に包帯巻いたまま国際空港セキュリティは超えられないでしょう。アメリ…
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