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再戦

 高レベルのクランメンバーとのクエストを終えて、ため込んだストレスをぬいぐるみに叩き込み続けることでどうにか発散してふて寝した次の日。

 いつも通り目立たずどこにでもいるただの普通の女子高生を演じ、学校を終えてログインすると昨日受注しクリアしたままで報告していない事に気づいて報告に行き報酬を受け取る。


「……なんて実感の無い嬉しくない報酬なんだろう。 なんかまたイライラしてきたなぁ、一人でもう一回受注してチャレンジしよっと」


 フラウは報酬を受け取るだけで中身を確認もせず、すぐさま同じクエストを受注して出発し、数分後ものの数分で終わってしまった牛型ナイトメアとの再会を果たしたのだった。


「よーし、とにかく観察観察」


 攻撃は一切せず、相手の動作パターンを覚える事に集中した立ち回りをして、突進や咆哮などの予備動作など細かく頭に叩き込んでいく。時には攻撃がヒットするギリギリのところまで近づき、どこまでが安全地帯、略して安地なのかまでひたすらに目と身体で覚えていく。

 それから数分後、ようやくフラウは肩に下げたマシンガンを手に取り構え攻撃を開始する。


「よぉしとりあえず基本的な動作は覚えたよっ! 次は体力ゲージが減ってきた時の動作の変化をチェックさせてね!」


 敵ナイトメアに呼びかけつつ、横に走りながらマシンガンを胴体にフルオートで叩き込んでいく。もちろん返事などするわけもなく牛は唸り声を上げ、ダメージを与えられた事に腹を立てたようにフラウを睨みつけ突進してくる。


「それはもう見切ったよっ!」


 突進してくる牛と衝突寸前まで接近し、足元の隙間にスライディングで滑り込みそのまま目の前に見える牛の腹目掛けて斉射し、ダメージを稼ぐ。


「よしよし、滑り込みの感じもバッチリ。 次はどれが来る?」


 牛の体力バーはまだは三分の一ほどしか減っておらず、攻撃パターンに変化はまだ入りそうにない。次の攻撃は自ずと予想が立てられる。

 そして、フラウの予想通り再び突進攻撃をしかけてきた牛に先ほどと同じように、スライディングで滑り込んで腹へしこたま銃弾を叩き込んでいく。


「グアルルルルルァァァ!!」


 二回連続で自分の攻撃を躱された挙句に好き勝手銃弾を撃ち込まれ、イラついて来たのか先ほどよりも息が荒く、攻撃モーションに入るまでの時間も若干短くなったナイトメアはフラウを睨んだまま咆哮した。


「怒り状態入ったか。 この状態からのモーションはどうかな?」


 自分の数倍はある大きさの怪物が、怒り狂って襲い掛かってくる事への恐怖心も一撃でも食らったら即死になり、拠点で死に戻るしかない初期装備という状況もどこ吹く風で、ひたすらニコニコと好奇心を溢れさせながら次の攻撃を待ち構えているこの感覚が私は大好きだ。


 心からこのゲームを楽しんでいるそんな気がするから。


 「昨日のあの人たちに愛想笑い浮かべてる時とは、全然違うじゃん私」


 私はグリップを握り直した。

不定期更新になっちゃいました。ごめんなさい、ブクマ登録感謝です!

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