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試射会

 コルトと連れ立って受注したクエストはここから一番近い拠点の傍にある荒野に現れるナイトメアを数十匹討伐するクエストで、フラウ一人でもなんとでもなる難易度の物なのだが、ひとりでやるとなると中々の時間がかかるためコルトの参加は正直助かったとホッとするフラウだった。


「そういえば最近。うちのクランに新しい人増えてきたよねぇ。 私昨日インしてなかったんだけどメンバーリスト見たら3人も増えててびっくりしちゃった」


 コルトが指を空中で操作しメニューを開いてフラウにも見えるようにリストを見せながら話す。


「ああ、確かに。 私は軽く挨拶だけで狩りに出かけたからあんま印象無いけど。 他のゲームも結構やりこんでた人っぽくてリーダーとの受け答えもなんか色々と詳しそうだった」

「へえーそうなんだ。 でもあんまり増やされても正直覚えきれないんだよねー」


 コルトは苦笑いを浮かべつつリストを消し転移ゲートに入っていく。 この転移ゲートに入りながら目的地を言えば一瞬で移動できるのだ。

 数秒光に包まれ、視界に現れるのは初期拠点と比べるとだいぶ寂れた哀愁を漂わせる木造の建物が立ち並び街というより村と表現した方が良さそうな拠点だった。だがあくまでゲーム内で拠点扱いされているのは街なのでここは街扱いされていると言う事に対して疑問を持つプレイヤーが後を絶たないのは大体のプレイヤー共通の認識だった。今回フラウが受注したクエスト対象のナイトメアが多く出現するのがこの街の周辺の砂漠地帯なのだ。


「このクエスト簡単なんだけど案外報酬のお金と素材が美味しいから出てるときはついやっちゃうんだよね」

「だねー。 だけどこれ一人でやると後半作業になってきて飽きてくるのがつらいとこ」


 フラウが受注したクエストの旨味に関して話してコルトがクエストのマイナスな面をぼやく。そんな会話をしながら寂れた街を取り囲むように広がる砂漠地帯に足を踏み入れ数分適当に歩いていると目的のナイトメアが数頭がフラウたちの前に現れた。


「とりあえず、にぃしぃろぉやぁ……とお……か」

「まぁ立ち回りの練習とかに丁度いいっしょ」


 フラウが数を数えコルトが励ます。クエスト達成条件は60頭なのでこの数の群れが連続で現れてくれれば6回で済むが、群れの数はランダムなので少ないときは1頭で現れたりするときもあるのであまり希望的観測は出来ない仕様になっていて、これが一人でこのクエストを請けると時間がかかる理由だった。パーティを組んでいる状態でクエストを開始すれば多少のエンカウント率と現れる敵の数が増加するので出来る事ならパーティを組んだ方が効率はいいのである。 特に最大6人まで組んだ時と一人の時の増加率は中々の違いがあったりする。 なのでクランに所属しているのならお互いに誘い合ってパーティーを組んでから挑んだ方が確実に早く終わるので普通ならそのやり方で効率よく討伐数を稼いで手早く終わらせるのが一般的な方向である。


「ふっふっふ。 今回はこの銃を撃ってみまーす!」

「お、マシンガンか。 フルオートで撃ちまくるの気持ちよさそうだよねそれ」

「うん、 私いつもハンドガンだからさ、気分転換に昨日落ちる前に店で買っておいたんだ」

「じゃあさっそく実戦で射撃訓練だ!……撃ち方はじめぇ!」


 フラウはメニューを操作してマシンガンを取り出し装備し構えコルトは軍隊の司令官のように目の前のナイトメアに向かってビシィっと指で合図を出し、フラウに命令を下す。

 そして、引かれるトリガーに反応しフラウのおニューのマシンガンはフルオートで弾丸を射出していき薬莢がポップコーンみたいに飛び出して足元に転がっていく。

 ちなみにフラウもコルトも自分が使っている銃の正式名称など全く覚えておらずハンドガンはハンドガン、マシンガンはマシンガンとしてしか認識しておらず、また弾薬も装填出来るかどうかをショップのメニュー画面で教えてくれるヘルプ機能という物がありプレイし始めてから一か月が経つが今でもそれがないとまともに弾薬補充すら出来ないでいた。

 だが、そんな知識皆無な彼女たちでも楽しく遊べてしまうのがゲームの良いところである。


「うひゃあああ! 気持ちいいいい!」


 フラウは喜々としてナイトメアに鉛玉を御馳走していく。撃たれたナイトメアたちは被弾しクリティカルヒット判定で脳天を撃ち抜かれたのは一瞬で赤い粒子をまき散らし絶命しそうではないものも少なからず体力を削られ慌てて回避行動に出る。


「オラオラオラァ! どうしたクソッタレぇ!」

「……楽しそうだねフラウ」


 呆然とするコルトの事を忘れ去ったかのようにフラウは弾切れになるまでトリガーを引き続けた。ある程度買いこんでいた予備弾倉も使い切りいつものハンドガンに持ち替え立ち回りを変え、コルトと共に砂漠を駆け回りながら目標討伐数を目指すのだった。



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