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角待ちショットガンは文化

 JK以外が脱落し、モニターに表示されるJKを応援するしか出来なくなった。


 『一戦目で様子見して、相手の練度で戦い方変えて狩り尽くすってか。あの連携具合だとランダムでマッチングしたんじゃなくて最初から5人でパーティー組んで参加したんだろうな』


 男の人の声が、左右にあるスピーカーから聞こえて来る。


 『JKでも流石にきついんじゃないか?向こうはバッチリ連携取ってる4人だぜ?』


 諦めムード漂う中、モニターの中のJKは私と遊んでる時と変わらずニコニコと笑顔で、周囲を警戒していた。


 「JK笑ってる……追い込まれてるのに凄い……」


 JKは静かに移動し、物置小屋らしき部屋の一角に隠れ、包囲網を狭めてきた相手チームの一人が慎重に入ってきたところを扉越しにショットガンをお見舞いし即死させる。


 『うわあ角待ちショットガン……えっぐう』

 『まあショットガンと言ったらあれでしょ』


 発砲音と仲間のキルログからおおよその位置を把握した残り3人は、一気に三方向からJKを追い詰めるべく室内を駆け回る。


 『角待ちだけで終わらせるか?』

 『やり方バレたら警戒されるし、1人が囮になって2人で押し切られたらさすがにショットガンじゃ対応しきれないし、そううまくはいかないと思うけど』


 男の人二人の予想を裏切るように、JKは扉の利用し、部屋の隅へよじ登り完全に相手の死角に入ると、やってきた残りの内1人の脚を撃ち抜き跪かせた盾にして、ほんの数歩後ろから来ていた2人の銃弾を凌ぎながらショットガンをお見舞いし、1人を撃破。


 通路の壁に退避した一人を後回しに、縦にした一人胴に銃口を押し当てゼロ距離で退場させる。


 『まじかよ……あと一人だぜ?』


 モニターで中継されるJKの立ち回りに呆然とする私たちを他所に、JKはリロードするために反対側の窓へ退避して、距離を取る。

 チャンスと見た最後の一人が、サブマシンガンを乱射しながら牽制し接近する。


 『それは不味いんじゃないか、人数有利をひっくり返されて焦るのは分かるが……』


 最後の一人の取った行動に、共感と憐れみを込めた声が聞こえた。


 「あ」


 接近した敵にリロードを終え、万全の態勢で待ち構えていたJKは、地を這うような姿勢から肉薄し懐に飛び込むと、顎に銃口を突きつけトリガーを引き綺麗な赤いエフェクトを撒き散らした。


 ド派手な花火のエフェクトとwinnerと表示され初期位置に戻された。


 「いえーい!勝ったよ!フラウ!」

 「う、うん。そう……だね」


 両手でハイタッチを促してくるJKに合わせて、小さく手を広げると痛いくらいに手を打ち合わせてきた。


 「いやーやっぱ噂通りだったわ、PKJK……ペケジェイは。ほんじゃまたどっかであったらよろー」

 「そっちのちいさいのは、もうこのモードすんなよ?マジで」


 悪態をついた二人はメニューを操作し、何処かへと移動していく。


 「あ、あの空気悪くなっちゃったけど、私も殆ど初めてだったので分からない事多いし、足引っ張ってたけど、全然気にしてないので!その、またどこかでマッチングしたりしたら、その時はよろしくお願いします!それじゃ!」


 最後に残った女の人は、頭に被った迷彩柄のキャップを取って、お辞儀すると移動していった。


 「ごめん、JK」

 「ん、何が?」

 「私、新しいモードやるの楽しみでウキウキで走っていって即死したり、リロード忘れて後ろ取ってたのに逆に倒されちゃったりして――」

 「そんなの気にしてたの?どーでもいいっしょそんなの、あの男連中の言う事も確かに分かるよ?勝つためにはどう動くか、仲間との連携はどうするべきか。そういうのも大事だし、楽しいよ?でもね――」


 JKは背の低い私に目線を合わせて、少し前かがみになって笑った。


 「所詮ゲームなんだからやりたいように思いっきりやればいいんだよ。初めてのモードだ!見た事ないフィールドだ!うっひょおお!ってなったんでしょ?そういう新しい物を見て、触ってテンション上がらないわけないんだからさ。いちいち周りの様子伺いながらやってたってつまんないでしょ?」

 「うん……うん。そう、だね……ありがとう、JK」


 私は、胸のつっかえが取れた気がして、対戦中俯いていた顔をしっかりと上げて、JKに向かって笑って見せた。

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