むしゃくしゃしてる時は暴れるに限る
JKからの誘いを了承し、指定された場所に移動ポータルで移動する。
「フラウー!来た来た!モンスター狩り行こー!」
だいぶ聞き慣れてきた明るい声、あの元気さ。だけど、私の心はその明るさに着いて行けなかった。
「うん……よろしく」
自分でもわかるくらい、声が沈んでいた。 でもJKは何も言わず、ただ笑って手を差し伸べてくれた。
「じゃ、行こっか。今日はのんびりでいいよ」
目的地は緑に覆われた静かなフィールド。 JKの説明では強敵は少ないし、探索や素材集めにはちょうどいいらしい。 今の私には、ちょうどいい場所だった。
二人で並んで歩きながら、時折現れるナイトメアを倒していく。 JKはいつも通り、ショットガンで豪快に仕留める。 私は慎重に距離を取りながら、サブマシンガンで確実に削っていく。
「フラウ、やっぱりその武器似合ってるね」
「……そうかな」
「うん。動きも綺麗だし、初心者にしては上出来すぎるよ」
その言葉に、私は少しだけ顔を上げた。 JKは何も変わらない。いつも通り、私と一緒に狩りをして私と一緒に何かするだけで楽しそうに笑う。 それが、なんだか嬉しくて、でも少しだけ胸が痛かった。
しばらくして、谷の奥に大型ナイトメアが現れた。
「よし、ちょっと本気出すよー!」
JKが突っ込む。私はその背中を追いかける。
JKが注意を引き、私は背後から弱点を狙う。 何度か一緒にプレイしてきたことで、形成されつつあるコンビネーションが、体に染みつき始めていた。
モンスターが倒れ、素材がドロップする。
「やったー!レア素材出た!」
JKがはしゃぐ。私は思わず笑ってしまった。
「……楽しいね」
「でしょ?フラウが笑ってくれると、私も嬉しい」
その言葉に、胸がじんわりと温かくなる。 コルトのこと、コルトのモチベを失わせたクランのこと、まだ消化できていないし、出来る気も今の所しない。 でも、こうして誰かと一緒に笑える時間があるなら、それだけで救われる気がした。
「JK、ありがとう」
「えー、何急に。照れるじゃん」
「……また一緒に狩り、行こうね」
「もちろん!フラウが行きたい時は、いつでも付き合うよ!」
その日、ログアウトする時。 私は、穏やかな笑みを浮かべていた。 画面が暗転する直前、ふと胸の奥で思った。
やっぱりこのゲームが楽しい。いつかコルトが帰ってきたら「おかえり」と声をかけて、また一緒に出来る時が来ると信じて、私は待ち続けよう。
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