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クランってなんのためにあるの?

 翌日ログインしてメールを確認すると、コルトからだったので返事をして待つことにした。


 「おっす。フラウ」


 いつもの元気がなりを潜めて、暗い表情のままコルトが待ち合わせのガンショップに現れた。


 「ど、どうしたの?暗い顔してさ」


 思わず駆け寄って肩を揺する。


 「あのさ、私あのクラン抜けてきたわ」

 「へ?なんで急に……」


 唐突な脱退報告に戸惑いつつ、とりあえずゲーム内のプレイヤーそれぞれに割り当てられたマイルームにコルトを誘い、詳しい話を聞くことにした。


 「で、なんで抜ける事にしたの?」

 「……気分のいい話じゃないし、嫌な気持ちになるけど……良い?」


 こちらの様子を伺うようにコルトは私を見つめて来る。


 「う、うん。良いよ……極端な下ネタとか、そういうのじゃないんだよね?」

 

 コルトは小さく頷き、小さくか細い声で話し始めた。


 「イベント中インしないつもりでいたんだけどさ、昨日ちょっとだけやりたくなってインして……最後に居たとこが拠点だったから、そこからインしたんだけど……その時にリーダーたちが話してるの聞こえてきちゃって……」


 テーブルに置いていた手をぎゅっと握り直し、悔しそうな顔で言葉を絞り出すように続けた。


 「リーダーと他の上手い人たちでさ、私たちみたいな初心者についての話してて……。私たちはこのゲーム下手だし、プレイヤースキルも正直そんなにない。でも、楽しみたいって気持ちはあるわけで……。ゲームの一つの楽しみとして、チームに入ってワイワイやれたら良いなって思って加入したのにさ」


 コルトが言葉を切り、私の顔をじっと見つめてから深く息を吸った。


 「そのグループの一人がこう言ったの……『弱いけど、見た目可愛いからそれ目当てで上手いプレイヤーが加入してくれるし、一応ログイン時間でチームポイントも入るから、それ要員って考えればお得だよな』って……それ聴いて、リーダーなんて言ったと思う?」

 「……なんて言ったの?」

 「『確かに』って言いながら笑ってたんだ。大笑いしてるところをわざと横切ったら気まずい顔してみんな黙ったけど……あの言葉と光景を見たら、なんかもう……どうでも良いかなって」

 

 ほんの少し瞳を潤ませコルトは天井を見上げて、息を吐いた後、清々しい笑顔で笑った。


 「で、拠点出てすぐ脱退申請出して抜けちゃったってわけ。ごめんねフラウ」

 「教えてくれてありがとう、コルト」


 私はコルトの手を両手で包み込む。


 「よし、私も抜ける」


 私はササっとメニューを開いて脱退申請を出す。

 その操作をする際に『栄光の翼を本当に脱退しますか?』という最終確認をされたが、なんのためらいもなく『はい』を選択した。


 「これからは二人で楽しもう!」

 「……ごめん、しばらくこの沈んだ気持ち戻りそうにないから、当分インしないと思う」


 申し訳なさそうにコルトが頭を下げて謝ってきたので、私は慌てて手をブンブン振って気にしてない事を伝え、私たちはそれぞれ解散した。


 「私はコルトとゲーム出来ればそれで良かったのに、あのチームのせいで……ああ!むしゃくしゃするぅ!」


 頭をガシガシかいてると、JKからのモンスター狩りのお誘いメールが届いたのだった。

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