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フレンド申請

 PK宣言してきたチームを運よく返り討ちにして、経験値が入った事で一気にレベルが上がったフラウだったが、連中が落としたイベントアイテムをどうするかストレージを表示させながら迷っていた。


 「これどうしよっかな。これで交換出来るのってなにあるんだっけ?」


 メニューを操作しあれこれ確認していると、一つだけ目に止まった物があった。


 「お、これかっこいいじゃん。これに欲しいなぁ……必要ポイントは、おお!あいつらが落とした分と元々私が稼いだ分で結構貯まってるから、あともう少しで交換できる!」


 フラウはニマニマ笑いながら、下山し特に目的地は決めずにフィールドを探索する事にした。


 「といってもやっぱりそこら中で狩りしてるし……次湧くのいつかわかんないしなぁ……どうしよ。あいつらみたいにPKするのもなぁ……」


 ストレージから双眼鏡を取り出し周囲を索敵すると、やはりイベント期間中ということもあり、あちこちで戦闘が発生しておりどこに向かっても巻き込まれるのは間違いなかった。


 「うーん……ん?」


 ふと、自分の胸元に赤色のポインターが付いている事に気づき咄嗟に真横に転がると、ボスっ!と小口径ながらも明らかな着弾音が、自分の鼓膜を刺激した。


 「ちょ!?なになになに?私、あいつら以外に喧嘩売られた事も売った事もないんですけどぉ!?」


 とりあえず近くの岩陰に隠れ辺りを見渡すが、狙撃手も近くに自分を狙っているプレイヤーを視認できずに居ると、一通のメールの着信通知が視界に入った。


 「反応早いね、キミ。私と遊ばない?……えー……何なのこの人」


 正体不明の相手からのメールに不信感を募らせるが、先ほど大立ち回りを演じてきたばかりで、気持ちが昂っているせいか、メールに書かれていた座標に向かって走り出した。



 「えっと……ここ……だよね……?」


 指定された場所は、使われなくなってかなりの年数が経過して廃墟のようになっている坑道だった。


 「うわあ、いかにも罠って感じ……」


 表示されているマップ情報を見ると、少し進めばホール状に広がった空間があるだけで行き止まりになっているようで、ひとまずハンドガンを構え慎重に入っていく。


 「もしもーし、メール受け取った者ですけどー」


 恐る恐る暗い通路を進んで、照明が点いているホール状になっている所までたどり着く手前で立ち止まり、左右を確認しながらゆっくりと顔を出す。


 「いいねいいね、あの反応にその慎重さ」

 「ひっ!?」


 頭上から声が聞こえ思わず悲鳴をあげつつ、後ずさりしつつ視線を上げると逆さになって顔を出しているロングヘア―の顔立ちの整った女の子が、こちらを見下ろしていた。


 「よっと……初めまして、私はJK」

 「え、えっとフラウ……です」


 着地した後、近づいてきてグローブを嵌めた手を差し出してきたJKと名乗った女の子は、いかにも学生です!と言わんばかりのセーラー服に少し巻いたスカートで太ももを晒しつつ、足元はゴツイブーツで固めているようだった。


 「そんな怯えてないで明るい所でちょっと話そ?」

 「え、あ、はい」


 転がっていた金属タンクを椅子代わりにして、向かい合わせに座って改めてJKに見た時、目を見開いて固まってしまった。


 「ん?どうしたの?」

 「い、いやなんでも……」


 逆光で見えなかったJKの顔は、とても綺麗で目鼻立ちがスッキリしていて美しく見惚れてしまったのだった。


 「急に呼び出してごめんね?びっくりしたでしょ?」

 「そー……ですね。あの銃撃からのメールで招待とか……」

 「えへへ、実はね君の事前に一度見かけてね?凄いエイム綺麗だなーって思ってみてたの。そしたら、今日たまたまフィールドぶらついてたら、遠くで歩いてるの見かけていたずら仕掛けたくなってさー、そしたらすぐ避けるし!まじか!ってね。あ、ごめんペラペラ私ばっかり」

 「い、いえ。そ、それで?」


 眩しいくらいの笑顔を浮かべ早口気味に話すJKに圧倒されつつ、話しの続きを促す。


 「それでね、凄いなーこの子。もっとこの子の動き見てみたい!って思ってここに呼んでみたの!そしたらズンズン来るかと思いきや、しっかりクリアリングしてくるし!低レベルの初心者の動きじゃないって!って上からチラチラ覗きながらニヤニヤしてたんだー。もう最高!って」

 「あ、アハハ……恐縮です」


 それでね、と話を区切りJKは改めて指を振りメニュー画面を操作する動作を行い、私の視界に再び通知を知らせる表示が来た。


 「良かったら、私とフレンドになってくれない?私、キミみたいな人と遊んでみたいの!」


 手を合わせて拝むようにして、頭を下げるJKの姿に驚き、どうしようか悩んで私は、念のため確認をすることにした。


 「えっと、私がJKさんの好みの立ち回りをして、そこを気に入ってくれたのは素直に嬉しいですが、あくまで私は強い武器とか、レア素材がどーだとかそういうのに積極的になれないし、正直初心者の中の初心者って感じで、足引っ張る事もあるかと思うんですが……」

 「えーそんなの全然いいよ!私は良いなって思った人とだけしかやらないし、声もかけないから!なんならフレンド私、今0人だよ?」

 「え?なんとなくですが、私よりもプレイ歴長いような印象を受けるんですが……それで0ですか?」

 「うん、だって私にフレンド送ってくる人って大体男で私の見た目目的なのが見え見えな人ばかりでさー。鬱陶しいから、私フレンド申請受取オフ設定にしてるくらいだよ」


 ま、まあその見た目じゃあ、確かにそうなるよねー。


 「わかりました、私もまだ始めたばかりで色んな人と遊んでみたいという気持ちはありますので、フレンド受けます」

 「ほんとっ!?やったぁ!ありがと、フラウちゃん!」


 私の手をとってぴょんぴょん跳ねるJKの、はしゃぎぶりはまさにJKというキャラネームにぴったりだと思った。

 そのすぐあと、フレンドのステータス画面に表示されたJKのレベルにひっくり返りそうになったのは、また別のお話。

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