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登山とカツアゲとPK宣言

 いくつもある未到達エリアのうち、選んだのは山脈エリアだった。運動はそれほど得意じゃないタイプで学校行事で登山などがあるときは、憂鬱な気持ちにさせらた経験から家族旅行などでもどこに行きたいか聞かれても、山以外と答えるようにしていた。


「ゲームの中だったら息切れとかそういうのないから、せめてゲームの中でくらい高い所からの絶景とやらを自分の目で見るのも悪くないよね」


 そうして選ばれた山脈エリアは、生い茂る木々と雑草や倒木などで視界が悪く聴覚に頼る場面が多いフィールドとして認知されていて、生息するモンスターはそれほど強力な物は現れていないので、初心者が向かうには丁度いい難易度設定になっているのは確認済みだ。


「強い奴は居ないと言っても……ちらほら居るなぁ……よぉしレベル上げも兼ねて適度に狩りつつ山頂に行きますか」


 フラウは、ホルスターに収めていたおニューのハンドガンを取り出し、前方を横切っていく子犬サイズの野犬の集団に奇襲を仕掛けた。

 音や耳で気付かれる所だが、どうやら見た目に反して耳も鼻もそれほど良い種族ではないらしい、フラウの奇襲は上手く行き、野犬の群れは瞬く間に消えた。


「イベント期間中だからか、ちょっとだけ増えてるね。素材はイマイチだけど後でショップに持っていけば何か作れるかもしれないし一応ストックしとくか。この銃見た目はいつも使ってるハンドガンとほぼ同じなのに威力が凄くて弾の消費少なくて良いね、けどその分反動が凄いからその分気を使うけど……」


 そうしてフラウは、道中出くわした群れに襲ったり襲われたりしつつ新装備の慣らしをしながら足場の悪い斜面に苦戦しながらも着実に登っていき、木々の数が少なくなり視界が開けてくると、一気にペースを上げ駆け上っていく。


「うおおお!着いたぞぁ!」


 フラウは歓声を上げ、両手を突き上げながら山頂と彫られた石碑の土台に腰掛けると、ストレージを開いて集めた素材の数や種類を改めて確認していく。


「そこまで強い奴は居なかったから、きっと弾薬の素材とかくらいにしかならないかも……コルトも誘えば良かったなぁ……」


 少しばかり寂しそうな顔でフラウは空を見上げながらぼやいていると、山道から集団が登って来ていた。


「ん?なんか来たぞ……」

「なーんだ先客が居たのか、あんたも攻略サイト見てここに来たのか?」


 集団の一人がフラウに質問してくるが、何のことやらさっぱり分からないフラウは首を左右に振りただの観光で来たとだけ伝えると、ほっとした顔で集団は歩み寄ってきた。


「そっか観光か……じゃあちと、ここで死んでくんない? 道中小さい子犬みたいなの出くわしたろ?今回のイベントの隠し要素に必要な素材でさぁ、リポップするまで間隔が凄いらしくてあんたが倒しまくったせいで俺ら全然出会えなくてね。プレイヤーキルしたら普通は所持アイテムはそのままだがその犬の素材だけはストレージから出てしまう仕様なんだよ。だからさ……死んでくんない?経験値も貰えるしな」


 フラウは、一人だと確信した上で横柄な態度で交渉と言うわけでもなく、ただのプレイヤーキル宣言をしてきたリーダー格の男に不快感を露わにしながらフラウは反論する。


「はぁ?イベントアイテムかなんだか知らないけどさ。なんで私が自分で狩って集めたアイテムを初対面のあなたに無抵抗で殺されて奪われなきゃいけないわけ?普通に嫌ですけど?」

「じゃあ俺たち全員を相手に勝てるってか?見た所その装備の感じ、あんた初めて間もないだろ?そんな奴が俺らに勝てるわけないだろ?」


 男は大仰に両手を広げ、自分たちの装備をひけらかすようにニヤニヤと笑いながらフラウとの距離を詰めてきた。


「そうかもしれないけど、せめて分けてくれないかくらいの事言えない訳?どうせやられるんならとことんやってやるわよ?」


 フラウはハンドガンを取り出してリーダー格の男に銃口を突きつけた。


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