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ゲットリッダーズ  作者: 早尾アスカ
第10話 [動物を飼い慣らすって道徳的にどうなんだろうな。]
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僕の無茶 ー炭岡旬ー

ゴォォォン……ゴォォォン……


「ギャァァァァァァァァオォォォォォォン……!」


 消防車のサイレンが鳴り響くなか、体長3メートルにもなる炎を纏ったトカゲのような怪物、「サラマンダーノゲム」が大通りを練り歩く。住民や消防はその場から離れるばかりで、現場にいるのは僕だけだった。

 周辺のビルはサラマンダーノゲムの火が燃え移り、辺りは炎と煙で包まれていた。今のところ被害者はいないようだが、破壊の様子から考えるに、このノゲムの保護判断はないだろう。


 バイクで先回りをした僕は、潮田大翔たちよりも早く現場にいた。今はノゲムの正面20メートルほど離れたところにいる。灼熱の体から発する熱はここでも感じることができ、まだ残っている夏の暑さに追い討ちをかける。

 ノゲムの通った跡にはドロドロになったアスファルトの地面が見える。そろそろ僕の足元のアスファルトも溶けそうな勢いだ。


「get rid」


change(チェンジ) Getrider(ゲットリッダー) Aegis(イージス) Union(ユニオン) Swordshield(ソードシールド)


 僕はゲットリッダー・イージスに変身した。この体は鋼鉄で守られている。今の「ディフェンススタイル」ではある程度の熱は耐えられるが、アタックスタイルになればこの鋼鉄も高い熱で溶け、たちまち戦況は悪化する。

 僕がやれることは一つ。少し情けないが、潮田大翔らの到着を待つことだ。しかし彼らは、今日既にノゲムと戦っている。活動限界が近いことを考慮に入れつつ、戦略を練る必要があった。


 しょうがない、ギリギリまでやってみよう。


attack(アタック) skill(スキル) 発動 Style(スタイル) change(チェンジ)


attack(アタック) skill(スキル) 発動 Shadow(シャドー) bullet(バレット)


 僕はアタックスタイルにチェンジすると、体中のエネルギーを手のひらのシャドーバレットに込めた。闇の弾丸が次第に大きくなっていき、僕の体が崩壊しないギリギリまでを狙う。

 ノゲムは徐々に近づいてくる。


「うわでかっ! ……ってイージスっ! お前ぇ!」


 どうやら到着したようだ後ろからうるさい声がする。


「おまえ!! きょうはぜったいにゆるさないっ!」


 後ろから幼児の声が聞こえ、足音が近づいてくる。

 僕は弾に力を込めながらも、右足を後ろに出した。


「うがぁっ!」


 赤西竜也は僕の蹴りで吹き飛んだ。ちょっとやりすぎたかもしれない。

 バタッと地に落ちた音とともに赤西竜也の呻き声が聞こえたかと思うと、またその声もピタッと止んだ。


「おいお前! 何してんだよ!」


「たぶん気絶してるだけ。そんなことよりも、早くこいつをなんとかするよ」


「お前なぁ……! ふざk」


「大翔さん、今はこのノゲムをなんとかしましょう」


「え……いや、まあそうだけどさぁ……」


「私たちは朝に戦ったばかりです。制限時間も残り僅かですし、彼と一緒に戦う方が先決です」


「そーそ。僕がシャドーバレットでコイツを木っ端微塵にするから、あんたらはチャージまでにコイツを足止めしといて。僕が指示出すからさ」


「なんでお前が指示なんk」


「大翔さん……! やりましょう」


「……うぁぁぁ、もうっ! 分かったよ、やるよ! get rid!」


「get rid!」


 二人のゲットリッダーは僕の横を通り過ぎ、目の前のノゲムに向かって走り出した。


「ノーマ! ファイナルスキルを使って!」


「……ちっ! 分ぁかったよ!」


final(ファイナル)! Shellscissorstrike(シェルシザーストライク)


「おぉぉうらぁぁぁ!!」


ドォォォォォォォォン……


「グゥゥゥゥ……」


 ノーマはファイナルスキルを発動させ、ノゲムへ飛び蹴りを放った後、そのまま距離をとり、着地した。ノーマの体はふらつき、たちまち変身が解除される。


「くそっ……1日に2回はきついか……」


 潮田大翔は僕の目の前にいた。


「邪魔! 早く退かないとノゲムもろとも殺すよっ!?」


「チッ……お前っ……後で覚えとけよ……」


 潮田大翔は悪態を吐きながら、ふらふらと僕の視界から外れてゆく。

 

 ノゲムの歩みはほんの少し遅くなった気がした。もう少しで倒せる。


「撫子! 『フォトシントシス』、『シンビオシス』の二つのスキルを発動させて、僕にエネルギーを送って!」


「分かりましたっ!」


attack(アタック) skill(スキル) 発動 photosynthesis(フォトシントシス)


 “photosynthesis”、所謂光合成だ。

 撫子は体を反らし、それを太陽に向けた。


attack(アタック) skill(スキル) 発動 symbiosis(シンビオシス)


 “symbiosis”、共生。自身のエネルギーを第3者に渡すことができる。


「受け取ってください!」


 撫子は光合成で蓄えたエネルギーを僕に送った。これによって黒い弾丸に、より早く、より多くの力を込めることができる。


「ハァァァァァッ……ハァーッ!!!」


 僕は、サラマンダーノゲムの全長ほどのサイズまで膨れ上がったシャドーバレットを打ち込んだ。


ズゴゴゴゴォォォォォォン……


「グギャァァァァァァァァァ!!!」


 シャドーバレットは建物の外壁、地面のアスファルトを巻き込みながら、一直線にノゲムへ向かって突撃した。途端に紫色の光が僕たちを包み、すぐにノゲムは爆発、四散した。


 紫光は晴れ、もとの艶やかな青い空に戻る。がしかし、まだ一部の建物は燃えていた。戦場を遠くから見ていたのか、消防車が僕たちの近くに寄ってくる。


 さすがに無理をしすぎたか、体中が脱力感に襲われる。今すぐ変身を解かなければ、僕の身体は……


 僕はふらふらになりながらも、歩きはじめた。潮田大翔、舞原七花もゲットリッダーのエネルギーを使い果たし、生身の状態で倒れている。


『ピー、ピー、ピー、ピー』


 途端にまた、おなじみの音が鳴り響いた。


「おいうそだろっ……また、ノゲムかよ……」


 潮田大翔が息を切らしながら呟く。

 僕はスマホを取り出した。画面では一人のゲットリッダーが現場に向かっているのが見える。


「やばい……! ここ、麗華がいるところだっ! 早く……行かな……いと……」


バタッ……


 人が倒れる音が背後から聞こえたが、僕は後ろを見ずに歩き続けた。

 今は“アイツ”に任せよう。僕は早く……変身を解かなきゃ……


 僕は重い足を引きずりながら、ただひたすらに歩き続けた。

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