珍例
俺の目にはある男が写っていた。だだっ広い公園の広場のど真ん中、その男は唖然としてスーツの女の話を聞いている。
探知機が反応したから来てみたものの、もう既に俺の出番はなさそうだ。
「珍しいケースだな……」
男は今初めて、ゲットリッダーに変身したようだった。つまり、選抜試験すら受けず能力を得たということだ。
それで良いのだろうか。この男はこれから人を守るために怪物と戦い続け、称賛されるかも分からずに命をかけなくてはいけない。見たところ確固たる意志も感じられない。
こいつにはきっと、自分の選択を後悔するときが来る
「ま、俺には関係ないことだ」
そうだ。俺には関係ない。誰がどんな理由でゲットリッダーになろうが、俺には関係ない。俺は俺の目的を果たすまでだ。
俺はバイクに乗り、また走り出した。驚くほど何もない、空っぽな部屋に向かって。
平凡な人生を送っていた大翔に突然の転機が降りかかる。謎の過去を持つ女子中学生、灰東愛生と、謎の企業「正陰コーポレーション」。そして姿を現した謎の人物。彼はこの物語にどう絡んでいくのか。
次回、大翔の身に試練が降りかかる!? ご期待ください!