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ゲットリッダーズ  作者: 早尾アスカ
第10話 [動物を飼い慣らすって道徳的にどうなんだろうな。]
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チアリーディング ー安城麗華ー

●あらすじ

 2030年現在、相も変わらず日常のなかにはノゲムがいる。そんな日々でも、ゲットリッダーたちは自らの目的のため、誰かを守るために戦っていた。あるものは自らが犯した過去の事件を捜査し、あるものは目の前の脅威に恐れながら戦い、またあるものは命を平等に扱い続けた。そして孤独に戦い続ける男には、10年前とある悲惨な過去があった。


●登場人物

潮田(しおた) 大翔(ひろと) ♂

 ゲットリッダー・ノーマの変身者。大学3年生。才色兼備の彼女はいるが、本人はいたって普通のどこにでもいる大学生。ある日偶然にもゲットリッダーになり、自分の不甲斐なさと葛藤しながらも、ゲットリッダーとして日々ノゲムと戦っている。


安城(あんじょう) 麗華(れいか) ♀️

 大翔と同じく帝頂辺天大学3年生で、大翔の恋人。容姿端麗でみんなの憧れの存在。チアリーディング部に所属しており、次期部長となる予定である。


大空(おおぞら) 心助(しんすけ) ♂

 ゲットリッダー・ロウルフの変身者。35歳。寡黙で、ゲットリッダー同士のつながりを好まないことから、周りからは一匹狼と呼ばれている。10年前、小学校の教師を勤めていた経験があり、当時起こったある事件が彼の戦う理由に影響している。


赤西(あかにし) 竜也(たつや) ♂

 ゲットリッダー・ティラノの変身者。志治乃木幼稚園ばら組の園児、6才。荒々しく、生意気な性格で、他の園児と遊ぶことは少ない。ゲットリッダーであった父親を殺されており、その仇であるイージスを恨んでいる。


炭岡(すみおか) (しゅん)/イージス ♂

 ゲットリッダー・イージスの変身者。中学3年生、15歳。成績優秀で頭が良い。世間では社交性のある、優等生キャラを演じているが、一方でイージスとして正体を隠しながら、大翔たちを翻弄している。探偵事務所サンビレッジに身を置き、探偵助手という立場を使いながらも怪しい行動を繰り返している。


舞原(まいはら) 七花(ななか) ♀️

 ゲットリッダー・撫子の変身者。心優しい性格で、誰に対しても敬語を使う。ノゲムを保護し、ゲットリッダーが使役できるようにする、正陰コーポレーション公式の団体、WANONのメンバーでもある。


二階堂(にかいどう) 剣人(けんと) ♂

 警視庁ノゲム対策課の課長。30歳、警部。冷静な性格で、誰に対しても敬語を使う。

 妻子がいるにも関わらず、未成年と関係を持っていて、それをネタに旬に脅されている。


神戸(かんべ) 史織(しおり) ♀

 麗華が幼稚園児だった頃の友達。臆病な性格。

「はぁぁ~~! 疲れたぁぁ~!」


 私たちのパフォーマンスが今終わった。練習で磨き続けた私たちの笑顔と演技は十分に発揮できたと思う。


 今日は学生チアリーディング東京都大会だ。この大会で上位に入れば関東大会へと進むことができるが、全国を狙っている私たちからしたら、この大会はいわば練習のようなもの。通過点にしかすぎない。

 そしておそらくさっきの手応えからして、私たちのチームは1位か、もしくは悪くて2位には入れるのではないかと思う。私含め、みんなの調子も良い。このままの調子で全国まで進出し、大翔(ひろと)をあっと驚かせたいな。


「ほーらっ! 疲れてるのは分かるけども、この後の日潘(にちばん)のパフォーマンス、観にいくよ!!」


 明るく白く、広い更衣室でだらだらする部員たちに、4年生の村上(むらかみ) 先輩が呼びかけた。日潘大学は私たち帝頂辺天(ていちょうへんてん)のライバルだ。


「「はぁい!」」


 くたびれた布のようになっていた部員たちは、突然シャキッと立った。私はロッカーを整理していたので、すぐに先輩のほうを向くことができる。

 関東、全国と進んで勝つためには相手の研究をすることが大切だ。「自分たちの番が終わっても、油断して良い理由にはならないんだよ」と村上先輩はいつも言っていて、もちろん私も概ね同意見だ。


 先輩は出口に向かって走っていった、私たちも後を追う。


「はぁ……村上先輩まじ鬼畜だわ~ 麗華(れいか)はあんなスパルタ部長にはならないでねっ?」


 後ろのほうで小走りする私に、同級生の久美(くみ)がひそひそと話しかける。

 久美の言うとおり、私は次期部長の予定だ。つまり夏の大会が終われば、私は村上先輩のように、このチアリーディング部をまとめ、指揮しなければいけなくなるということ。正直私には荷が重いとは思いつつも、お気楽な子が多い今のチームは、誰かがまとめ役を担わないと上手くいかないのも確かなのだとも思う。我ながら自惚れかもしれないけど、明るくもないし気楽でもない私だからこそ、村上先輩は選んでくれたんだと思う。


「分かった。私が部長になったら久美だけ練習量2倍にしてあげる」


「えぇぇー! ちょっと~!」


 大きいリアクションをする久美をおちょくりながらも、そんな久美の元気な姿を見て笑っている自分に、私は少し驚いた。

 大学に入学し、チアリーディング部に入部した当初、私はこんな冗談を言えるような人間じゃなかった。というより、冗談を言うという発想すら頭に思い浮かんでいなかった。今、こうして冗談で笑える私があるのは、久美を初めとした明るい部員たちと、私の大好きな人、大翔のおかげだ。私の周りは優しくて楽しい人ばかりで、今ある幸せが夢のようにも思える。




「……あれ? 麗華ちゃん!? 麗華ちゃんだよね!?」


 考えごとをしながら走っていると、突然左後ろから私を呼ぶ声がした。

 私は驚きながらも、声のする方を振り向いた。そこには、私たちと同じように髪を一つに纏めた女の子がいた。水色の衣装は、この大会に参加している大学の一つ、長谷川(はせがわ)大学の衣装だ。その彼女が誰なのか、化粧をしたままなので一瞬分からなかったが、それでも私はすぐに気づくことができた。

 埼玉にいたときの、3人で遊んだ記憶が甦ってくる。


史織(しおり)ちゃん!? え、すごい! 久しぶりだね!」


「うわぁ~! 久しぶりだねっ! 元気!?」


 幼稚園のころから変わらない、キラキラした目と、少し太い眉毛。もう14年前なのに、史織ちゃんはあのときと変わらない笑顔で私を見た。


「うん! 元気だよぉ! 史織ちゃん変わらないね!」


「麗華ちゃんも相変わらずかわいいね! 帝頂辺天で活躍してるっていうから探してみたら、後ろ姿ですぐに気づいちゃったよ~!」


「かわいいってそんな! またお世辞が得意なん……」


「麗華なにしてんのっ! 早く行くよ!」


 遠くにいる村上先輩が、私に向かって叫んだ。一番距離が遠かったはずなのに、いつ私が旧友と話していることに気づいたのだろうか。さすが「地獄耳の村上」と呼ばれているだけのことはある。


「分かりました!」


 影で恐れられてる異名を頭で思いながらも、私は大きく返事をした。


「ごめん! 私いかなくちゃ……」


「あ、ごめんね! つい嬉しくて声かけちゃった」


「全然! これ終わったらそっちの席行くから待ってて!」


 私は史織ちゃんに手を振り、部員たちのもとへと走った。


「もう、次期部長しっかりして!」


「は、はい! すみません!」


 村上先輩は私を叱るとすぐに前を向き、また走りだした。

 麗華とその旧友、史織の再会を機に、心助の過去が明らかに……?

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