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ゲットリッダーズ  作者: 早尾アスカ
第7話 [クズは死なないと治らないのかな。]
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僕の仕事 ーイージスー

 岩本中学校から数百メートル離れた路地裏。既に日も暮れ、明かり一つもなく、人気(ひとけ)も一切ない暗がり。ここにいると、まるで闇に引き込まれてしまうような感覚になる。

 付近は空き家だらけで、雑音一つない場所。僕は仕事の連絡をするとき、いつもここで電話をする。遠くでパトカーや救急車のサイレンが鳴る中、気にせず僕は電話をかける。


「もしもし」


『やぁ、イージスくん。仕事はそろそろ終わったかな?』


 紳士くさい口調でしゃべるこの男は、正陰コーポレーション社長、陽園真道(ひぞのまさみち)

 僕はこの男の声を聞くと、思わず顔をしかめてしまう。世界で一番嫌いといっても過言ではない。と言っても、僕にはそれほど知り合いもいないし、嫌いになるほど接点のある人もいないから、やっぱり「世界で唯一嫌いな人間」に訂正しておく。


「終わったよ。完璧に殺れた、証拠もぜんぶ消した」


『目撃者は? 誰にも見られずにできたかい?』


「当然、誰にも見られていないよ」


 僕は嘘をついた。


『そうか。では報酬の相談といきたいがー……希望はあるかい?』


 あいつが僕に仕事を頼むとき、報酬はいつも僕が請求する額で決まる。


「うーん、じゃあ今回はー……5000万かな!」


 思いきって今までで一番高い金額を請求してみる。この金も、僕の目的のためには必要不可欠だ。


 そんなことを考えていると、ふと気がついた。

 僕はいまだにゲットリッダーとしての姿のままだった。グレーのアンダースーツに、金と銀のカラーが入り乱れるアーマーを纏った姿。こんな吐き気のする姿のまま、のんきに電話をしていたとは、僕も汚れてしまったのか。


 まあもともと汚れているのだけれども。


 僕はチェンジャーからキーを抜き、変身を解除した。白い仮面を外し、暑苦しいパーカーも脱ぎ、さっきまで着ていた私服に着替える。


『5000万!? ふざけないで! あなたここのところ報酬をどんどん高くしてるじゃない!』


 電話の先では、社長秘書の若美佑月(わかみゆづき)が値段について口を挟む。が、適当にあしらいつつ、僕は鞄からいつも使っている方のスマホを手に取った。スマホの画面にはいくつもの通知がならんでいる。

 愛生からだ。教室から出るときに黙って抜け出したからか、『どうしたの?』、『どこにいるの?』というメッセージとともに、不在着信が100件近くある。


 めんどくさいな。どう言い訳をしようか。


「まあいいじゃん? 今日は結構大変だったんだからさ」


『そうは言っても5000万は……』


『まあまあいいじゃないか。5000万だね? 分かった。今週中に振り込んでおくよ』


「おっけー じゃあ切るね」


 適当に値段交渉をしていたが、どうやら5000万でオッケーらしい。僕は電話を切り、目の前の問題に集中する。


 僕は少しの間考えて、メッセージを送った。


『今イージスを調査してるから、帰るのは遅れる。今日は先に食べてていいよ』


 送信してからまた少し考え、僕は鞄からサバイバルナイフを取り出し、自分の右肩を薄く切った。

 服は破れ、肩からは血が出ている。僕はポケットからハンカチを取り出し、傷痕の部分をきつくしめる。


「あ、と、は……」


 僕は建物に隠れた狭い隙間を見つけ、そこに入りスマホのカメラを起動。斜めに大きく振りながら、シャッターを切る。


「よし、これでいいかな」


 僕は作業を終え、路地裏を抜けた。


 あ、そういえば、あれ聞くの忘れてた…… ま、いっか。後で聞こっと。

 

 僕は一度立ち止まり、また歩き始めた。




 僕の名前は炭岡旬。岩本中学校3年2組、現在は探偵の助手? として、その探偵金房佑樹、幼なじみの愛生とともに暮らしている。

 

 帰った後どんなことを言おうか。金房佑樹、愛生はどのようなことを聞いてくるのか。いくつもの場合を考え、脳内でシミュレーションしながら、ここから5キロほど離れた探偵事務所サンビレッジへと、僕は歩いて向かった。

 第7話、これにて完結です。イージスの……いや炭岡旬の目的はなんなのか。

 次回第8話、明らかとなる赤西竜也の過去とゲットリッダーとして戦う理由。旬の更なる暗躍。

 ご期待ください!!

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