ペット連続放火事件 ー中野和之ー
●あらすじ
詩日都公園で起こる連続失踪事件の真相を知り、どうにか事件を解決した大翔たち。イージスの正体、正陰コーポレーションの秘密など、まだ分からないこともある中、また新たな事件が起こる……
●登場人物
・潮田 大翔 ♂
ゲットリッダー・ノーマの変身者。20歳。大学3年生。才色兼備の彼女はいるが、本人はいたって普通のどこにでもいる大学生。
・安城 麗華 ♀️
大翔の恋人。20歳。大翔と同じく大学3年生で、かなりの美人。基本的に気の強い性格ではあるが、大翔の前ではたまに女性らしい一面を見せる。
・大空 心助 ♂
ゲットリッダー・ロウルフの変身者。35歳。寡黙で、ゲットリッダー同士のつながりを好まない。ゲットリッダー歴は長く、実力者であることでも有名。
・赤西 竜也 ♂
ゲットリッダー・ティラノの変身者。志治乃木幼稚園ばら組の園児、6才。生意気な性格で周りの園児とはあまり遊ばない。フィールドを縦横無尽に駆け回り、身軽な体を駆使した素早い攻撃が得意。
・イージス
ゲットリッダー・イージスの変身者。黒いパーカーのフードを被り、顔に白く不気味な仮面を着けた謎の人物。誰も知らなかった詩日都公園連続失踪事件の真相を知っていたりなど、底知れない謎で包まれている。
・炭岡 旬 ♂
小柄な中学3年生。15歳。成績優秀で礼儀正しい好青年。現在、探偵事務所サンビレッジに居候している。
・灰東 愛生 ♀️
14歳、中学2年生。旬の幼馴染みであり、現在、旬とともに探偵事務所サンビレッジに住んでいる。
・金房 佑樹 ♂
探偵事務所サンビレッジの私立探偵。40代、小太り。誰にでも気さくな性格。
・陽園 真道 ♂
正陰コーポレーション元社長秘書で現社長。世間では爽やかで優しいイメージであるが…
・若美 佑月 ♀️
陽園の秘書。いつも冷静で、社長の陽園をかなり慕っている一方で、社長に生意気な態度をとるイージスを嫌っている。
・隼瀬 慎也 ♂
帝頂辺天大学生命科の教授。詩日都公園連続失踪事件の犯人であるが、大翔らにその計画を阻止され、警察に確保された。
・田上 健一郎 ♂
警視庁捜査一課のベテラン刑事、44歳。キレやすく、上司の命令にはなかなか従わない。
・中野 和之 ♂
田上と同じく捜査一課の若手刑事。26歳。ひ弱で苦労人。いつも田上に振り回されている。
・二階堂 剣人 ♂
警視庁、ノゲムの死体処理や被害の処理を行う部署、ノゲム対策課の課長。30歳、警部。冷酷な性格で、誰に対しても敬語を使う。
「いやぁー、こいつぁひでぇな」
顔をしかめながら、田上 先輩が呟く。
全焼した民家。そこら中のありとあらゆるものが黒く、焦げ臭い。もちろん天井も焼けており、強く熱い陽光がこの真っ黒な焼け跡を照らしている。
「これで4件目っすよ? やばくないっすかこれ……」
俺は地面に落ちている黒焦げの物体を指差す。
物体と言っても、これはこの家の飼い犬の成れの果てである。今までの3件と同じく、生きていたものとは思えないほどひどい状態、とても見ていられない。
「もしかしたら12件目かもしれないがな」
田上先輩が辺りを見回しながら言う。
「いやぁ、同じ動物の殺害でもあっちは野良で斬首死体っすからねー」
黒焦げの遺留品を踏まないようにしながら話していると、右肩に何やら人の気配を感じた。
「ほぉー……となると、今まで8件の野生動物斬首事件があったと」
「うぉ! って、金房さん……ご無沙汰しております」
振り向くとそこには、昔俺たちと同じ捜査一課の刑事で、田上先輩とは同期だった金房さんがいた。確か、今は私立探偵をしているらしい。
俺はすぐに姿勢を正して、敬礼する。
「金房、勝手に現場入ってんじゃねぇよ」
「おいおい田上~、まずは『ひ・さ・し・ぶ・り』じゃないのかぁ~?」
金房さんは、目を細めていかつい顔をする田上先輩にも臆することなく、軽い調子で田上先輩の肩に手を置く。
「ここは俺たち、警察のテリトリーだ。私立探偵の出番じゃねぇ。中野、こいつを追い出せ」
「あ、はい!」
俺は急いで金房さんの両肩を抑え、その巨体を外に出そうとする。
が、金房さんはびくともせず、地面を指差しながら平然と田上先輩に話し続ける。
「この火事、ノゲムの仕業によるものかもしれないんだ」
「あぁ?」
田上先輩が反応し、眉間に皺がよる。
田上先輩は俺に、「一旦金房から離れろ」と言わんばかりに顎で指図し、俺は金房さんから離れる。
「とある依頼で、この『ペット連続焼死事件』を調査していてね。目撃者によると炎の燃え広がり方が異常だったと言うんだ」
「なめるな。そんな証言、とっくの前に調査済みだ。そんな情報だけでこの事件が『ノゲムのせい』によるものだとは言えない。この事件は明らかにペットばかりを狙った意図的なものだ。あんな知性のない化け物が、住人が家を離れた隙をついてペットだけを狙うなんてできるわけねぇだろ」
田上先輩が吐き捨てる。
「そんな、人の言うことを聞くノゲムが最近出たじゃないか」
金房さんは不適な笑みを浮かべる。
そうか。この間発覚した失踪事件。帝頂辺天大学の学生らを誘拐し、人とノゲムの融合実験を繰り返していた隼瀬慎也が逮捕され、その隼瀬によって開発された「ノゲムを操る装置」も押収された。
しかし、隼瀬は警察の保護管理下にあるし、その押収された装置も同様だ。
田上先輩は何か思いついた顔をする。
「まさか、あのくそじじいが作った装置は1つだけじゃねぇってことか?」
「その可能性も考慮に入れたほうがいいだろう。隼瀬の証言では『キーを正陰コーポレーションから盗んだ』とあるらしいが、それもどこまで本当か分からない。あの会社もセキュリティはしっかりしている。そのセキュリティを突破し、なおあの量のキーをいち大学教授が1人で盗む? そんなの不可能に近いだろう。これはあくまで私の推理だが、あの事件には共犯者がいる。あの装置も複製されていて、この一連の事件でもノゲムが使役されている……とな」
「なるほどな」
ただでさえ怖い田上先輩の顔が、更に険しくなる。
確かに金房さんの推理は筋が通っている。というか、すっかりそれしか考えられない頭になってしまっている。
しかし、今までの現場でその推理を確定づける証拠は見つかってない。そもそもノゲムを使っての犯行なんて今までの事件にない。まったくもって未知数だ。どんなものが証拠になるのか、どうやって捜査していけばいいのか、俺たち警察には分かりっこないのだ。
ダッダッダッダッ……
俺たち3人が考えこんでいると、数人の足音が近づいてきた。
「ん?」
振り向くと、そこにはスーツを着た集団がいた。見覚えのある人もいる。
「おい、お前らなんだ……?」
田上先輩が今にも攻撃を加えそうな目で、集団を見る。
先頭にいる短髪のシュっとした男、二階堂警部が口を開く。
「今日からこの事件は、私たち“ノゲム対策課“が捜査をする」
「勝手なことすんじゃねぇ……こっちはなんも聞いてねぇぞ」
田上先輩が静かに怒りながら二階堂さんの胸ぐらを掴む。
「ちょっ……」
俺はそんな先輩の腕を剥がそうとするが、びくともしない。
「上からの命令です。従ってください」
「ふざけるな! てめぇらなんかにこの事件預けられるかよッ!」
「黙って我々に従ってください」
「理由もなしに下がるわけねぇだろうが! てめぇらがこの件捜査するワケはなんだ、もしや上層部がまた揉み消すんじゃねぇだろうなぁ? あァン!?」
「あなたたちこそ、部外者を現場に入れて何を企んでるんですか?」
二階堂さんが右を指差す。
金房さんが全速力で逃げていくのが見える。
「あの失踪事件みたく、ろくに捜査されないよりかは探偵に協力してもらった方がましだ」
「また刑事らしからぬことを……あなたみたいな、組織の輪を乱す人間は嫌いですよ」
「奇遇だなぁ、俺もお前らみてぇな、上からの指図のみで動く機械人形が大嫌いだ」
先輩と二階堂さんが睨み合う。
なんでいつもこうなんだ。上に従わない先輩のとばっちりを受けるのは俺なのに。これじゃあまた刑事部長に怒られる……
俺は先の地獄を予測し、億劫になりながらも田上先輩をどうにか宥め続けた。
連続放火事件発生! 犯人は誰だ!?
ご期待ください!




