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ゲットリッダーズ  作者: 早尾アスカ
第5話 [前だけ見て進むのも難しいよね。]
38/76

潮田大翔くんの行方捜索 ー金房佑樹ー

「はぁー……まだ来ないねぇ……」


「はい……ほんと、どうしちゃったんだろう……」


 私と安城(あんじょう)くんは、事務所にて潮田大翔くんの帰りを待っていた。こうして待ち続けて、早2時間は経っている。


「はぁ……」


 彼女は先程からずっと涙目である。愛する人の生死が分かっていない状況だ、本気で潮田くんを心配しているのだろうことはこちらにも痛いほど分かる。


「私……やっぱり現場に戻ります! もしかしたら大変なことになってるかも……!」


「待ちなさい。それは止めた方が良い。まだノゲムとの戦闘が続いていたらどうするんだ?」


「でも……!」


「安心しなさい。今ニュースを見ているが、ゲットリッダーの死亡報道はない。たとえ戦闘が終わっていても、後処理というものがあるからね。周辺の交通状況の報道がされていなくてもおかしくない…… まあ、怪我をして病院にいる可能性はあるが……」


「え……!? だったら病院に行かないと!! 周りの病院片っ端から行ってきます!」


 彼女は焦った様子で立ち上がり、出入り口の方へと向かった。


「ちょっと待ちたまえ!!」


 私が彼女の腕を掴もうとしたとき、突然事務所のドアが開いた。


「すみません!! 遅れました! ……って、あれ?」


 炭岡(すみおか)(しゅん)くんだ。


「おぉ、炭岡くん……遅かったじゃないか……」


「すみません。家の近くでゲットリッダーとノゲムの戦いがあったらしくて、どうしても遠回りしないといけなくて……」


「そこってどんな感じだった!?」


 安城くんが食い入るように聞く。


「え……いや、ちゃんとは見てないですけど……後処理みたいなことはしてました。ノゲム逃亡の報道もありませんし、おそらくノゲムの駆除は終わってますね」


「じゃあ、大翔は病院に……?」


 安城くんが不安そうに呟く。


「大翔さん何かあったんですか?」


「彼がノゲムとの戦いに行ったきり、連絡がとれないんだ。何か知ってることはないか?」


「えーっと……近くで救急車のサイレンも聞こえませんでしたしー、見物客の話だとノゲムと戦っていたゲットリッダーは誰だか不明らしいので、恐らく無事だと思いますけどね……もし怪我をして病院に運ばれてるなら『不明』なわけがありません」


「そうか……」


「怪我をしていないなら、なんで連絡がつかないの? もしかして今回の事件の犯人に連れ去られてる……? だとしたら尚更今行かないと……!」


 今の安城くんは冷静に物事を判断することができていない。


「そうは言っても彼の居場所は……」


 安城くんが再度ドアをに手をかけた瞬間、彼女のケータイからピロリンと音が鳴った。


「大翔からだっ!」


 彼女が画面を見て目を見開く。

 我々も画面を見る。


『返信遅れてごめん。突然だけど、事件の調査はすぐにやめてくれ。じゃないとノゲムに襲われる。金房(かなぶさ)さんと旬くんにも伝えてほしい。それと、もうしばらくは会えない。ごめん』


 それはどこか悲しみのある文面であった。


「これって……どういうことでしょうか……?」


 炭岡くんが顎に手を当てて考えこむ。


「もしかして、大翔は今回の事件の真相が分かったのかも……悩んでたのもそのせい……?」


 彼女の顔がだんだんと青ざめていく。


「どちらにせよ、今は大翔さんを探した方が良いかもしれませんね」


「いや、この文面からして探さない方がいいんじゃないか?」


 この文を潮田くん本人が打ったと考えると、やはり潮田くんが事件についての何かを知っているのは間違いないだろう。しかし会えないと言っている以上、探すのは彼のためになるのだろうか……やはり思い悩んでしまうところはある。


「ここではあくまで、事件の調査をやめるように言ってます。探さないでくれとは言ってません」


「炭岡くん、それは少しひねくれた発想では……」


「そうだよね! やっぱり今から大翔を探しに……」


「ですが、やはり探すのは明日にしましょう。外も暗いことですし、明日からでも遅くはないです」


「そ、そう……? でも……」


「心配なのは分かりますが、明るい方が探しやすいですし、夜は何かと危険です。それこそ犯人が狙ってくるかもしれません。やっばり明日の朝ここに集合して、僕たちみんなで探しましょう」


 私をよそに、勝手に話が進んでいる。


「……分かった。じゃあ朝5時にここ集合で」


「はい、そうしましょう。金房さんもお手伝いお願いします」


「え、いや、ちょ……」


「助手になります。いいですよね?」


 炭岡くんは私の手を握る。

 突然のことに、私の頭は追いつかなかった。


「お、おぉ! そうか! うん、ならそうしよう!」

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