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ゲットリッダーズ  作者: 早尾アスカ
第4話 [知らなくていい真実もあるよね。]
33/76

醜悪人間 ー若美佑月ー

コンコンコン……


「失礼します」


 私はドアをノックし、社長室に入った。

 社長は椅子に座りながら、私が今この世でもっとも嫌いな人間、“イージス”とお話をなさっていた。


「社長、只今戻りました」


 私はイージスに目を向けず、社長だけをまっすぐに見た。


「おお、若美くん、わざわざご苦労だったね。そうそう、たった今彼が来てくれてね。先程の探偵について話をしていたんだ。せっかくだから君もお話したらどうだい?」


「いいえ、お言葉ですが、私はこのようなものを認めておりません。それに社長、彼はあなたを利用しようとしています。彼との手は引いた方がよいかと」

 

 私はイージスの方を手のひらで指しながら、その一方でやはり彼の顔は見ず、社長へ訴えた。


「そのとおり! 僕は、こいつとあんたを利用してお金を稼いでるだけ。ただそれはー、この“社長さん”も同じでしょ?」


 イージスは片方の眉を上げ、不気味な表情を浮かべる。


「社長に向かってこいつって……!」


「まあまあまあ、2人とも、そう喧嘩しないでくれよ。我が子どもたちの喧嘩は見ていられないんだ」


「はい、失礼いたしました」


 私は頭を下げる。


「いやいや~ あんたの子どもになんてなった覚えないんだけど?」


 イージスが社長のイスに軽々しく手を置く。


「いい加減にしなさい!!」


 私が彼の手を掴み、取り押さえようとするも、彼はするりとかわし、距離をとった。


「ちょっと2人ともやめてくれよ、誰か来たらどうするんだぁ?」


 社長は依然として椅子に座りながらも笑みをこぼして言う。


「失礼いたしました」


 私は再度社長に頭を下げた。


ピーピー……


 そのとき、突然イージスの持つ端末が鳴った。


「はあ~……また『ヒューマンノゲム』かぁ~ あ、しかもノーマが戦ってる」


「お、いい機会だ! イージス君、直ちに現場へ向かい、どうにかして彼の事件に対する調査意欲を消してくれないか?」


 社長が椅子から身を乗り出し、イージスに言う。


「あんたに言われなくても行くよ。どのみちノーマにこのノゲムは倒せない」


 イージスが無礼にもため口をきく。

 彼は出口に向かい、退室の挨拶もせずに社長室を出た。


「社長、彼は危険人物です。早急に追放すべきです」


 私は社長の方を向き、静かに忠告する。


「まあまあまあ、少し放っておこうじゃないか。私はこれからの展開が楽しみなんだ」

 

 社長は高らかに笑った。


 私は浅く頭を下げながらも、平静を保つよう努める。ふつふつと込み上げてくるイージスへの怒りを抑え続けながら。

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