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ゲットリッダーズ  作者: 早尾アスカ
第4話 [知らなくていい真実もあるよね。]
32/76

悩みはなかなか消えないな。 ー潮田大翔ー

「愛生ちゃんすごいいい子だったね~!」


 麗華が機嫌よく、俺に話しかける。

 だが俺には、そんな他愛もない話をする余裕はない。


 俺は病院に行く前に起こったことをまだ引きずっていた。

 あのノゲムは確実に俺たちを狙っていた。なぜだ? 俺がゲットリッダーだから? 違う。いやそれもあるのかもしれないけど、そんな理由だけじゃないだろう。

 そしてさっき、愛生ちゃんの話を聞いて、その疑惑が確信に変わりつつある。

 あの公園であの日、俺たちが襲われたのは二足歩行のノゲム。いや、それだけじゃない。この前大空さんやたつやと戦ったノゲムも、今日のノゲムも、そして愛生ちゃんを襲ったノゲムも、全部二足歩行で、ある程度の知能があった。俺が初めて戦ったノゲムは無差別に人を襲っていたが、今日出会ったノゲムは俺たちにしか興味がなかった。

 失踪事件を調べている俺たちを、ノゲムを使って襲わせているのか? 警察が捜査してないのもそれに関係しているのか? それなら犯人はどうやってノゲムを使役しているのか? 知能が高いノゲムを選んでいる?


 何も分からない。


 とにかく危険なのは俺だけじゃない。麗華も、金房さんも、旬くんも、もしかしたらまだ愛生ちゃんも……


「ねぇちょっと! 聞いてる!?」


 麗華が俺に向けて大声で言った。


「病院でもそんな感じだったよね? なんかあったの? もしかして今日のノゲムのこと? なにか分からないことがあるなら私にも言ってよ」


 麗華が少し怒りながら、矢継ぎ早に言った。眉間にしわが寄っている。


「いや、大したことじゃないんだけどさ……」


 考えていることを正直に言おうとしたとき、スマホから着信音が鳴った。金房さんからだ。


「はい」


『どうだい、調子は? こちらは正陰コーポレーションから出て、たった今炭岡くんと解散したところだ。

 君たちはどのくらい進んでいるのかな?』


「はい、先ほど病院で愛生ちゃんから話を聞いたばかりです。どうします? 一度金房さんの事務所に集合しますか?」


『うんそうだね、そうしよう! 情報共有はそれからでも問題はないね! じゃあまた!』


「はい、ではまt…… って、切れちゃったよ」


 俺はスマホの画面を消して、ポケットにしまった。


「金房さんの事務所に行くの?」


「うん。あ、そうだ。そこでさっき考えていたこと話すよ。金房さんがいた方が都合がいいんだ」


「うん……分かった。あまり1人で抱え込まないでよね」


「もう、分かったって~ ごめんごめん」


 俺は顔の前で手を合わせた。


「はいはい。じゃあ、行こっか」


 俺たちは駅の方へと歩き出した。


 俺の中にある不安はまだ確証がない。今麗華に話しても、混乱させるだけだし、大人である金房さんがいるところで話せば今後の指針についてより合理的な判断ができる。


 俺たちは狭い路地を抜け、大通りに出た。ビルが立ち並び、商業施設やゲームセンターが見える道だ。

 大通りを数分間歩き続けたそのとき、前方の遠くから徐々に通行人がこちらに向かって走ってくるのが見えた。


 ただならぬ空気にまた恐怖感を感じる。


「なに……? まさか……」


 麗華が言う、そのまさかが当たった。

 逃げていく大衆のわずかな隙間から白い体毛に赤い角が数本生えたノゲムがゆっくりと姿を表した。やはりノゲムは2本の足で歩いてくる。俺たちをまっすぐに見つめながら、ゆっくりと揺れている。


「また人型かよ……!」


 俺は震えながら、チェンジャーを装着し、キーを挿した。


change(チェンジ) Getrider(ゲットリッダー) Norma(ノーマ) Union(ユニオン) Scallopsracco(スカロプスラッコ)


 2時間前に戦ったばかりで、活動時間が限られる。なるべく技は使わずに、素手でなんとかしよう。


「はぁぁぁぁぁ!!」


 俺はノゲムに向かって気合いを入れながら走る。ノゲムは依然としてゆっくり歩いてくる。


 一体こいつらは何なのか。誰がこんなことをしてるのか。


 俺は得体の知れない怪物に立ち向かった。

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