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ゲットリッダーズ  作者: 早尾アスカ
第4話 [知らなくていい真実もあるよね。]
28/76

ヒーローとしては見過ごせない事件だな。 ー潮田大翔ー

●あらすじ

 ゲットリッダーとして活躍(?)している大翔は、幼いながらもゲットリッダーをしている幼稚園児、赤西竜也と出会った。大翔は、子どもが危険な戦いの場にいることを危険視していたが、ある契約により2人の間には協力関係が出来上がった。

 順調なゲットリッダー生活に戻ったのも束の間、探偵を名乗る怪しい男が、大翔たちの接触を開始した……


●登場人物

潮田(しおた) 大翔(ひろと) ♂

 ゲットリッダー・ノーマの変身者。一応本作の主人公。大学3年生で、いたって普通のどこにでもいる二十歳の男性。毎日退屈な日々を過ごしていたが、ある日を境に偶然ゲットリッダーになった。


安城(あんじょう) 麗華(れいか) ♀️

 大翔と同じく大学3年生で20歳、大翔の恋人。基本的に気の強い性格ではあるが、大翔の前では変わった一面を見せる。


金房(かなぶさ) 佑樹(ゆうき) ♂

 探偵事務所サンビレッジの所長で探偵。40代、小太りでいつもトレンチコートにハットを着用している。横常礼人の行方を追っている。


炭岡(すみおか) (しゅん) ♂

 中学3年生。成績優秀でほぼ毎日、幼馴染みの愛生の勉強を手伝っている。


横常(よこづね) 礼人(らいと) ♂

 ゲットリッダー・シーシャインの変身者。帝頂辺天大学4年。運動神経抜群、成績トップで容姿端麗。いつもそばには女性が複数人いた。夏にゲットリッダーを始め、人気が前以上に上がっていたが、ある公園でノゲムを倒しに行ったきり、行方不明である。


灰東(はいとう) 愛生(まき) ♀️

 2016年7月7日生まれの14歳で中学2年生。2020年クリスマスに当時、正陰コーポレーション次期社長であった父と研究者の母、社長の祖父を火事で亡くしている。しかしそんな過去を感じさせないほど、天真爛漫な性格であり、かなりの天然。


・???

 黒いパーカーを着用し、フードを被り、顔に白く不気味な仮面を着けた謎の人物。正陰コーポレーションと関わりが深い様子だが…?


陽園(ひぞの) 真道(まさみち) ♂

 正陰コーポレーション元社長秘書で現社長。世間では爽やかで優しいイメージであるが…


若美(わかみ) 佑月(ゆづき) ♀️

 陽園の秘書。いつも冷静で、社長の陽園をかなり慕っている。

 俺たちは探偵を名乗る男、金房(かなぶさ)佑樹(ゆうき)の探偵事務所に連れてかれ、事情聴取を受けていた。

 この事務所は一戸建てで、中は少し広めな、鏡とイスのない美容室のような感じ。間取りの説明は上手くできないが、なんというか、上下逆の太いL字みたいな、そんな感じで、俺たちは入り口からは見えない角スペースに位置しているソファに座っていた。俺たちの前には少し低いテーブルがあり、そのテーブルには俺と麗華(れいか)に用意されたカップにコーヒーが入れてある。中央には小分けの袋に入った小さい煎餅が5、6枚、木製の器に入っている。テーブルを挟んだ向かいにもソファがあり、そこに座った金房はコーヒーをすすっている。黒や茶色の壁紙で覆われたこの建物の中は、この金房という小太りの男にはとても似合わないぐらいの、とても大人のような……とにかく良い匂いが漂っていた。

 金房は依然として呑気な顔でコーヒーを飲んでいるが、その顔は、まるで俺と麗華を捕まえて食べようとしているかのような、なにか恐ろしいものを感じさせるような顔である。


「さて君たち、横常(よこづね)さんについて、詳しく話を聞こうじゃないか。」


 金房はカップを置くと、急に口を開き、流暢に話し始めた。


「だからぁー、俺たちと横常さんとの間に特別な関係はなくて……」


「いやいやいや~、とぼけてもムダだよぉ~? 僕は君たちにたどり着くまでにも色々調査をしてるんだから~。君が今持ってるキーがもともと彼のものであったこと。君が初めて戦った公園が、彼が失踪したとされる場所であること。それとそちらのー……安城(あんじょう)さんが、彼にしつこく付きまとわれていたこともね」


 金房は麗華にも目を向ける。


「ちょっと待ってくださいよ! 私はあいつ……じゃなくて、横常とはそれ以上は何もないです! 確かにしつこくて困ってたけど……だからといって何かしようだなんて……」


 麗華が必死に弁明する。


「そうです! このキーのことだって偶然見つけたもので、そこから正陰(しょういん)コーポレーションの社長秘書の人にチェンジャーをもらってゲットリッダーになったんです。全部偶然なんですって!」


 俺も必死に反論した。ゲットリッダーになった経緯について話す。何もしていないのに目の前の男が詰め寄るもんだから、すごく焦ってしまう。

 反論を終えると、目の前にいる()()()の、胡散臭い表情は、どういったわけかだんだんと朗らかになっていった。


「ほーーーん、なるほどねぇー……うん……分かったっ! 君たちの言うことは信じるよ! 表情からして、嘘をついているとは思えないからねっ!」


 金房は意外にもあっさりと引き下がった。俺たちはそんな金房の様子に、逆に戸惑い、何も言えなくなってしまった。

 少しの間があり、すっかり優しい顔になった金房の顔に、俺たちはやっと安心し、思わず安堵のため息が出る。


「はぁ~……よく分かんないすけど、分かっていただけたみたいで良かったです」


「まぁー、君が公園で戦ったことも、横常さんと同じキーを持っている理由も、既に調べてたんだけどねー」


 金房はヘラヘラしながらそう言うと、テーブルの上にある煎餅を手に取りぱくぱくと食べ始めた。


「はぁ!? ま、まさか、わざと!?」


 どうやら俺たちに鎌をかけていたらしい。

 ほんと、心臓に悪い人だ。麗華なんて、緊張の急降下で、金房が“ネタバラシ”して以降何もしゃべっていない。


「あはは……ごめんね~、君たちには悪いことをしてしまったようだ……えへへ、ほんとすまない(笑)……」


 金房さんはニコニコしながら両手を自分の顔の前に合わせ、謝ってみせる。


「僕は彼の……横常礼人(よこづねらいと)くんのお母さんからご依頼を受けて調査をしているんだ。どうやら警察はまともに捜査をしていないらしくてねー……僕はこの事件には何か裏があると思っている」


 金房さんの顔は優しい表情から一転、キリッとした真面目な表情に変わる


「だからって、私たちをからかっていい理由にはならないですよ……」


 やっと口を開けた麗華は少し怒っている様子で、キレイな目で金房さんを睨み付ける。


「だから申し訳ないと言ってるじゃないか~、あはは~……」


 金房さんはまたニヤニヤする。


「裏があるって、どういうことですか?」


 麗華には悪いが、話を戻させてもらう。もちろん怒りもあるが、今は横常さんの件の方が気になってしまう。


「それはまだ分からない。もしかしたらただの“夜逃げ”なのか、何か事件に巻き込まれてしまったのか、あるいは……」


 再び真剣な顔になった金房さんから少し恐ろしい話が出てくる。

 いや、この件の不審さには俺も気になっていた。合宿試験やたつやとの件もあって、すっかり忘れてしまっていたが、横常さんの行方を捜査する警察の姿は大学構内ではこれまで見たこともなく、それどころかこれだけ横常さんと接点のある俺のもとにも警察は一切来ていない。本来なら探偵なんかよりも先に警察の方が俺のもとへ来ているはずだ。

 金房さんの言うように、この件には裏があるかもしれない。


「正直に言うと、今現在私の調査は行き詰まっている。大学や近所の人も私立探偵なんて怪しんで受け付けてくれないし、僕の情報屋ですら何も知りえないぐらいで、何かしらの圧がかかっているとしか思えないのだが、その決め手もなかなか見つからない。最後の望みをかけて、君たちに鎌をかけてみたのだが……」


 金房さんはそのたぷんたぷんの顎に手を添えながら深く黙ってしまう。

 ヘラヘラしていて、少し信頼できない人だと思ってはいたが、こんなに真剣に考えている様子を見てしまうと、ほんの少しだけ同情をしてしまう。

 しかし、俺たちもこの件に関しての情報を持っていない。正直もう用事は終わっているし、今すぐ帰りたいところでもあるが、目の前で真剣に考え込む金房さんに気を遣い、俺はただただ深刻な顔をするしかない。


 壁にかけてある時計は午後9時を指していた。


「あぁ、すみません。もう遅い時間になってしまいましたね。ご協力ありがとうございます。今日は本当に失礼致しました」


 金房さんは今までの態度とはすっかり変わって、礼儀正しく俺たちに礼をした。


「いや、大丈夫ですよ。俺たちもムキになってしまいすみませんでした」


「すいませんでした」




 俺たちは互いに謙遜しあいながら腰を上げ、少しばかりテキトーな世間話をしながら出入り口へと向かう。

 



カランコロンカラーン……


「あのぅ……こちら、まだ営業してますかね?」


 そのとき、突然コンコンと軽いノックのあと、1人の男の子が入ってきた。


 まだ発達しきっていないような少年の声が遠慮がちに聞く。紺のブレザーの制服を着た、少しかわいらしい男の子だ。身長は麗華より低い。おそらく160センチ以下だろう。


「あ、はい! まだ営業しておりますが?」


 金房さんが元気よく返事をした。


「僕、岩本(いわもと)中学校に在籍しております、3年生の炭岡旬(すみおかしゅん)と申します。」


 炭岡旬と名乗るその男の子は、スクールバッグから財布を取り出し、ご丁寧に学生証を見せる。すぐに身分を明らかにするあたり、常識のある、真面目な子であることはすぐに分かった。


「そのー……幼馴染みがノゲムの被害にあいまして……その犯人を明らかにしてほしいんです」


 俺は耳を疑った。

 どういうことだ? ノゲムの被害にも関わらず「犯人」だと?


「ん? ど、どういうことなんだ?」


 金房さんも同じく混乱しているようだ。


「あ、いや、その……犯人というか、まだ完全に人の仕業であるという根拠はないんですけど……」

 

「ちょっと待ってくれ? もしかして君は、そのノゲム被害が人間の仕業だと思っているのか?」


 金房さんが前のめりになって質問をした。


「あ、えっと……はい、そんな感じです。」


「何を根拠に?」


「えっと、まず、僕、自分なりに調べてみたんですけど、僕の幼馴染みが被害にあった場所では数種類のノゲムが数多く目撃されていたり、行方不明者も複数出ているんですけど、その調査を警察は一向にしていないらしくって、被害があった場所も立ち入り禁止にすらなってなくて……」


「も、もしや……」


 金房さんは何かに気づいたような顔をする。俺にも金房さんの言わんとしていることが分かるような気がする。


「その『被害がある場所』って、あそこの詞日都(しひと)公園ってところかい?」


「は、はい! そうです! な、なんで……?」


「僕も、その公園で起きた失踪事件について調べているんだ」


 最後に横常さんの姿が見られた公園、俺が初めてゲットリッダーになった公園が“詞日都公園”だ。


「でもそれだけで、人の仕業だと決めつけるのは早計なんじゃない?」


 麗華がもっともなことを言った。

 確かにそうだ。同じ場所での被害だったらそのノゲムの習性だったり、数種類出現しているのも何かの偶然なのかもしれない。


「それだけじゃないんです。最近、正陰(しょういん)コーポレーションが管理しているキーがいくつか紛失したという噂があって、詞日都公園にはその紛失したキーが残っていた、なんていう話も聞くんです」


 急に旬くんの仮説が真実味を帯びてきた。


「なるほど……正陰コーポレーションは10年前のノゲムショック以降、日本一、いや、世界一の権力を持っている企業だからね。会社が何か警察に圧力をかけている可能性もある。会社に事情を聞くか? いや、でもあそこは簡単にコンタクトがとれないし……」


 金房さんが悩みながらも独り言のように話す。


「そこなんですけど、被害にあった僕の幼馴染みが、正陰コーポレーションの前社長の孫なんです。それを使えば会社に入れると思うんですけど、中学生の僕だけじゃちょっと心配で、それ含めて探偵さんに協力をお願いしたいなと思いまして……」


「な、なにぃ!? それを早く言ってくれよ! よし! それなら今度私とともに行こう! 子どもの君がいてくれれば僕を怪しむ人もいないだろう! スケジュールはいつ空いているかな!?」


 金房が息を荒くしながら急に話を進めた。

 旬くんは戸惑いながらもスマホを取り出し、スケジュールの調整をしている。


「麗華、これ、俺らも協力しないか?」


 俺は麗華に提案した。

 この事件の背後には、とんでもなく大きい何かが潜んでいる気がする。俺にも少なからず関係はあるし、横常さんの行方が分からないまま活動するのも気持ちが悪い。

 それよりなんといっても、ゲットリッダーとしてノゲムの被害を見過ごすわけにはいかない。横常さんの失踪にノゲムが関与しているのなら、首をつっこむのがゲットリッダーの使命だ。


「うん、わかった。ここまで聞いて放っとく訳にもいかないしね」


 麗華は仕方ないと言わんばかりに苦笑いをした。




 結局俺たちは、日付が変わるまで互いに情報を共有しながら、推理や今後の調査の計画の話し合いをした。

 またまた解決すべき問題が出現。大翔たちは真実を見つけることができるのか? 横常礼人の行方は!?

 第4話ご期待ください!!

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― 新着の感想 ―
[良い点]  巻き込まれた主人公がヒーローとしての自覚を抱き、成長していく姿がしっかりと描かれています。  さらに、様々な視点からの心理描写によって、誰がどのように思い行動しているのかが分かりやすいで…
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