探偵ってほんとにいるんだな。 ー潮田大翔ー
「あ、そういえばさ、あれ以来どうなったの?」
麗華が俺に聞く。
たつやと取引を約束した日から、もう1週間は経っていた。あれから1度だけ、たつやから連絡が来たことがあった。まだ全面的な協力はできなかったものの、無事、ノゲムを倒すことはできた。
「うーん……まぁ順調かな」
「そっか、じゃあとりあえずは良かったのかもね。でも、大翔も気を付けてよ? 誰かを守りながら戦って、自分が危ない目に逢うんじゃ意味がないもん」
麗華が忠告する。
「はいはい、分かってるよ」
「ほんとに~?」
俺はその忠告を上手くはぐらかしながらも歩みを進め、俺が住むアパートの前まで来た。
「あ、じゃあまたね」
「ちょっと大翔! 私の言ってることちゃんと分かってるー? 自分の身も大切にしてよねー」
「おぉう、分かったって。フフッ、じゃあね」
タタッ……
俺たちが別れようとしていたとき、突然トレンチコートに、ハットをかぶった、40代ぐらいの小太りの男性が俺たちに近づいてきた。
こんな真夏にコートなんて着て、明らかにおかしい人だ。俺は少し身構える。
「こんにちは。おたく、潮田大翔さん? そんでおたくは、その彼女さんの……安城麗華さんかな?」
男は俺たちそれぞれに目を合わせながらまるで世間話をするようなテンションで聞いてきた。
「あのー失礼ですが、あなた誰ですか? 記者の方ですか? 大翔なら直接の取材は受けてないんですけど……」
麗華もこの男を警戒しているのか、眉をひそめながら聞く。
「あ、いや、わたくし怪しいものではなくてですね……ぇえーと……あっ、こういうものです」
男はコート裏のポケットから名刺を2枚出し、俺たちに渡した。
「『探偵事務所サンビレッジ所長 金房佑樹』……」
「はい、そうです! わたくし、とある青年を探してほしいという依頼を受けておりましてね。あなたたちにお話を伺いに来たということです」
まだ怪しんでいる俺たちをよそに、金房と名乗る男はスラスラと調子よくしゃべりながら、ジャケットの右ポケットから写真を1枚、俺たちの目の前に出した。
「横常礼人さん、知ってますよね? こちらの男性について、詳しいお話を聞かせていただきたいのですがー……」
その男の手には横常さんの写真があった。久しく見ていない、あのキリッとした顔が俺と麗華を見つめている。
「え……」
俺たちが驚く中、金房は目を大きくしながら、俺と麗華を交互に何度も見続けた。
3話完結!! 心助、竜也とどんどん仲間(?)を増やしていく大翔であるが、そこに謎の男が近づく。男が探る横常礼人の行方とは……
次回、大翔に衝撃の真実が襲いかかる!




