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ゲットリッダーズ  作者: 早尾アスカ
第3話 [子どもってまじなに考えてんのか分かんないよね。]
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たつやくんの両親のこと ー渡辺陽子ー

 私は1時間前に終わったふれあい会の後片付けをしていた。園庭には他の先生たちもいる。

 ふれあい会の途中ではノゲムが出現した。一時は大変なことになったけど、その問題も無事解決し、園児たちもさっき家に帰したばかりだった。


 お越しいただいたゲットリッダーの潮田さんやそのマネージャーさんは、精一杯子どもたちを元気にしてくれたし、子どもたちの笑顔もいっぱい見れて、今日はとても良い会になった。

 しかし、それでもまだ私には心配なことがあった。

 たつやくんのことだ。いつも周りの子たちと関わらない様子は変わらずだけども、ノゲムが出てきてからはなにかがおかしかった。上手くは言えないけど、人とケンカした後みたいな、いつもとは違って感情が出ている感じ。

 あの焦げ茶色のゲットリッダー(?)に何か関係しているのかもしれない。いやいや、そんなわけはない。もしかしたら昇降口前で潮田さんたちとなんかあったのかも。迷惑かけてないといいけど……


 私は色々考え込んでしまう性格だ。今も頭の中はたつやくんのことでいっぱいで、作業の手は止まっている。


 そんな中、徐々に園長先生の声が近づいてくるのが分かった。


「ごめん渡辺先生、ちょっといい? 安城さんがあなたに聞きたいことがあるって」


 園舎の方を見ると、マネージャーの安城さんが立っていた。目を合わせると、彼女はそっと会釈をしてくれた。







「え、たつやくんのことについて?」


「あ、いや、別に深い意味はないんですけど……今日のたつやくんの様子を見て、少し気になることがあって」


「もしかして、何かご迷惑をおかけしてしまいましたかね……?」


 私は申し訳なさそうに聞いた。


「いやいや! そういうわけじゃないんです。ただ……たつやくんが心配で……今日の会もあまり楽しめてないのかなぁーって思いまして……」


「あー、いや、あの子いつもあんな感じで……ほんとはみんなと遊びたいんだと思うんですけどねー……」


「そうなんですか……」


 安城さんはまるで自分のことのようにたつやくんを気遣っている様子だった。


「あの、ご両親は……?」

 

 安城さんは私の顔色を伺うように聞く。


「それがー……たつやくんのお父さん、1年前までゲットリッダーやってたらしいんですけど、ノゲムとの戦いで亡くなってしまったらしくて。お母さんもほどなく体調を崩して亡くなってしまったそうなんです……あ、すみません。不吉な話をしてしまって」


 私はついご両親のことを話してしまう。よりによって安城さんにゲットリッダーの死亡事件について話してしまうなんて。

 安城さんと潮田さんは恋人関係だろうと思ってた私は急に申し訳ない気持ちになった。


「あ、いえ、こちらこそ深いところまで聞いてしまってすいません。じゃあたつやくんは今ご親戚の方に?」


「それが頼れるご親戚もいなかったらしく、今は近くのー、たしか『蝶のいえ』? だったかな、そこの養護施設で生活しているらしいです。たつやくん、両親を亡くして心から頼れる存在がいないのかも……だからみんなとあまり馴染めずに……」


「はい……」


 私たちはすっかり悩みこんでしまい、周りには重い空気が流れた。




「あ、ごめんなさい。すっかり夜ですね。作業を中断させてしまってすみません」


 ふと時計をみると、夜6時、さっきまでのオレンジ色の空が、すっかり見えなくなり、暗い中、園舎の方からの明かりだけが私たちを照らしていた。


「いえいえ、こちらこそ暗い空気にしてしまって申し訳ないです」




 私たちは話を終わらせた。帰り際に安城さんは、また来るとおっしゃっていた。


 私は安城さんや潮田さんが、たつやくんの頼れる存在になったらいいなと思った。

 いや、それはお二人に申し訳ない。担任である私こそが、たつやくんの心の支えになれるよう頑張らないといけない。


 私は心に決めながらも、また作業に戻った。

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