教官 ー大空心助ー
俺は多幾のいる教官室のドアを開けた。
「おおう、大空。すまんなさっきは。あれは全部、いや、8割方俺の責任だ。あいつらは悪くない。あまりあいつらを責めないでくれないか?」
多幾は突然来た俺に驚きながらも、教え子のことを謝ってきた。
多幾の、教え子を守ろうとする姿を見ると、嫌でもあのときの記憶が甦る。こいつと違って俺は……
「で、なんの話だ?」
「ああ、そう……そうだ、お前の責任だ。だからお前に頼みがある」
多幾は少し目を大きくする。
「あの3匹のギアノゲムはいずれ体力を回復し、ここに戻ってくるだろう。おそらくやつらの習性からして、来るのは明日の朝だ。合体して形態進化する可能性もある。そこで……俺の邪魔をしたあの見習いを囮に使いたい」
多幾は慌てているのか、目をパチパチさせる。
「おい……いくらお前の頼みでも、教え子を囮にするつもりはないぞ……」
「もちろん、あいつには傷一つつけさせない。しかし、ノゲムは一度標的を決めてしまえば、それを殺すまで、執着して諦めない。あいつを囮にする方が話が早いんだ。頼む」
「いや……そうは言ってもな……」
バタン!
突然ドアがうるさく開いた。
「教官! 大空さん! 俺たち! とある作戦を立てましたぁぁ!!」
「多田! ノックぐらいしろ!!」
「すいませんっ!」
ノゲムを興奮させたバカと、逃がしたバカが入ってきた。
「ちょうどいいところに来た。俺もお前たちに話がある」
「「へ?」」
「おい大空……」
俺がゲットリッダーになって10年、誰かと協力してノゲムを倒したことはなかった。誰かを巻き込みたくなかった。
しかし、今回は誰も傷つけさせない自信がある。なぜかは分からない。
潮田大翔と言ったか、こいつはノゲムを逃がしたバカなのに……なのに、なんとなくだが……この男は弱くない気がする。こいつらが立てた作戦とやらをやるのも、悪くないかもしれない。
俺は、そんな漠然とした何かが湧き上がってくるのを感じた。
「その前にお前たちの話からだ。その作戦とやらはなんだ。聞くだけ聞いてやる」




