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第一章 第五話 聖女様のキスは生涯の伴侶の証らしいです

 〜アリア視点〜




 私ことアリア・クルスは、ダーリンとなったユーゴさんを見ながら、心臓の鼓動が高鳴っているのを感じます。


 はわわ、言ってしまいました。成り行きとはいえ、今日初めてお会いした殿方を伴侶にすることになるなんて。でも、これも私が自分で決めたことです。ですから何も悔いはありません。


 ユーゴさんを見ると、彼はなぜか困惑した表情をしていました。いったいどうしてなのでしょうか? 私が聖女であることを理解して、承諾してくれたはずですのに。


「あのう、ダーリンってどういうこと? 湖まで護衛を頼みたいんじゃ?」


「いえ、湖の浄化は既に終わっているので、湖までの護衛は入りませんよ?」


 どう言うことなのでしょうか? ユーゴさんの口調は、まるで私の言葉を勘違いしているように受け取られます。


「マジ? 因みにダーリンって言うのは?」


「何を言っているのですか? キスをしたからに決まっているじゃないですか? 聖女は清らかな身であるために、唇を許すのは生涯の伴侶と決めた者だけに捧げるのです。そのことを知った上で、私のお願いを引き受けてくれたのですよね?」


 私は事実を告げると、ユーゴさんは急に顔を引き攣らせてしまいました。どうしたのでしょうか? お腹でも痛くなったのでしょうか?


「どうしましたか? お腹でも痛くなりましたか? 宜しければ撫でますよ」


「いや、大丈夫だ。別にお腹を壊してはいない……だけどどうしようか。まさか助けた聖女様に、そんな習わしがあるなんて知らなかった」


 ユーゴさんは右手を前に突き出し、お腹は痛くないと言います。そして腕を組んでぶつぶつと何かを呟いていました。声が小さかったので、内容までは聞き取ることができません。


「よし、こうしよう。なぁ、アリア?」


「何ですか?」


「その、式たりのこと何だけど、なかったことにしないか? 俺たちはキスをしなかった。キスをした事実は俺たちしか知らないんだ。だからお互いがなかったことにすれば、俺と結婚をする必要はない」


 彼の言葉に、わたしは驚きます。なにせ、わたしは身を固める覚悟で、ユーゴさんに唇を捧げました。それなのに、なかったことにするなんてあんまりです。


「だって、アリアも不本意だろう? そんな古臭い習わしで、人生の伴侶が決まってしまうなんて。君だって結婚をするなら、本気で好きになった相手とがいいはずだ」


 な、なな、なんてことを言うのですかこの殿方は! 私だってプライドというものがあるのです。命を助けられたからと言って、乙女の大事なファーストキスを簡単に上げるわけがないのですよ。それはつまり、この私がユーゴさんを生涯の伴侶として相応しいお方だと認めたからこそなのです! それなのに、なかったことにしようなど、あんまりですよ!


 こうなったら、何が何でも責任を取ってもらいますからね。


「いくらなかったことにしても、それはムリです。私の唇が触れた瞬間、一種の呪いのような契約が発動したのです。だから第三者が見ていなかったとしても、私たちは契を結ぶ必要があるのです」


 私は咄嗟に嘘をついてしまいました。


 ああ、神様、女神様ごめんなさい。聖女である身でありながら、嘘をつくなんて大罪を犯してしまいました。罰として、嫌いなキャロットも食べます。ですからどうか、ユーゴさんが納得してくれますようにお導きくださいませ。


 心の中で崇拝する神様たちにお祈りをします。


 どうか、私の願いを聞き入れてください。


「呪いって、一応聖女様なんですから、呪い系は無効化されるのでは?」


 はう! そうでした。聖女である私は、呪いは効かない体質なのでした! どうしましょう? やっぱり嫌いな食べ物を我慢して食べるぐらいでは、私のお願いは聞き入れてもらえないのでしょうか?


 こうなったら一か八かです。ゴリ押しします。


「この呪いは特別なのです! 聖女の力でも、どうしようもないほどの強力なものなのです!」


 私は思わず声を荒げてしまいました。きっと顔の方は赤くなっているでしょう。


「わかった。そこまで一生懸命に言うのであれば、本当なのだろうな」


 どうやらユーゴさんは、私の嘘を信じてくれたようです。やりました!


「ひとまずこの魔の森から出よう。今後のことは森を出てからだ」


 ユーゴさんは森の出口の方に向けて歩き始めました。私は彼の後を追い、逸れないように彼の手を握ります。


「どうして手を握る必要がある?」


「別にいいじゃないですか? これから夫婦になるのですから。それにはぐれるかもしれないですし」


「まぁ、確かにはぐれる件に関しては一理あるな」


 私は彼に笑みを浮かべますが、内心安心することができません。


 嘘はいずれバレる。だけど、私と彼が結ばれるには、どうにかしてこの嘘を貫く必要があります。神様、女神様、どうか彼と結婚できる日が来るまでは、この嘘がバレませんように。



 最後まで読んでいただきありがとうございます。


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