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閑話6・ミルカは好感度を察知する(ミルカ視点)

私ミルカ。パラディスコ王国の王女をしてるの。

私は昔から何故か勘が鋭くて、それは恋愛関係の事だとより一層正確に働いた。

『フットマンのユーリはメイドのアリサの事が好きなのね。だけどアリサは……。もうちょっと頑張りましょうね、ユーリ!』なんて。

人を見ていると頭にそんな考えが自然と浮かび上がってくる。

それは知り合いに限定され、常時ではなくたま~にふっと思い浮かぶ感じだ。

常時でしかも無差別だったりしたら多分私は狂ってるか、引きこもりになってたわね。

そしてその思い浮かぶ考えは……何故か全て的中する。

まぁ、ただのちょっと鋭いだけの勘だ。


……なんて今は軽く思えるけど。

酷く悩んでいた時期も当然あって、今考えると気鬱の病に罹りかけていたのだと思う。

でもハウンドがいつも一緒に居て、眉間に寄った私の皺を能天気に笑いながら指でほぐしてくれたから。

『ミルカ、元気出せよ』なんて優しい声音で言いながら頭を撫でてくれたから。

彼が居たから私は『ちょっと鋭いだけの勘だ』なんて今平気な顔を今していられるのだ。

ハウンドの気持ちは、何故か一度も頭に浮かび上がってこない。

……彼は私の事、多分好きだと思うんだけど。自惚れだったら恥ずかしい。

本当のところ、どうなのかしら?彼の気持ちはいつ浮かび上がるんだろう。


兄のメイカ、あいつはほんとにダメな男。

メイカを見てると『ルイーズ嬢とジュディ嬢とマリアベル嬢と付き合ってるのね。でも貴方の気持ちはそこにないわ。最低ね!』なんて考えが頭によく浮かぶ。

……メイカの分だけ情報を全て遮断したいわ、ほんとに。

でも最近は思い浮かぶ言葉が『ビアンカ嬢の事が気になっているみたい。だけどビアンカ嬢に、その気はないわね。ビアンカ嬢はパリピはお嫌みたい』に変わったから、ざまーみろって思ってる。

……パリピって何かしら??知らない言葉が混じる事なんて今までなくて困惑したけれど……。

まぁ、そんなに重要な事じゃないだろう。

しかしメイカが……最近ちょっかいをかけられている、シュミナとかいう女に惹かれていない事には内心ほっとした。

釘を刺す必要は……今のところ無さそうね。

シュミナ・パピヨン、あれはやばい。

何がやばいって……侯爵令嬢に絡んだり素行がやばいのは勿論なのだけれど。

『皆は私の事を好きになるの!!フィリップ王子、ノエル様、マクシミリアン、メイカ王子、――――!皆私を早く好きになって!』

彼女を見ていても、それしか思い浮かばないの。

皆は私の事を好きになるの……ってなんなのよ、それ。

自信過剰にもほどがあるわ。

しかも相手からは一切……欠片も気持ちが向いていないのにどうしてそう思い込めるのかしら……。

顔は折角可愛いのに……頭の作りが彼女は残念なようね。


実は私は、この力の原因を知りたくてルミナティ魔法学園への留学を決めた。

だけど教師に相談をしてみたら、恐らく魔法関係ではないと言われたのだ。

『この世には時折人の知らない何かを知る人物が生まれるんだ。どこで何が起きるとか、誰がいつ死ぬ、とか……そんな事が何故か理由も分からず知覚出来る。それは預言者等と言われ尊ばれる存在になる。王女の力はその力の一種なんじゃないかな』

彼は首を傾げながらそんな事を言った。

……なんてはた迷惑な話なの……。

一方的に何者かに受信させられるこっちはたまったもんじゃないわ。

まぁ、どうしようもないのなら受け入れるしかないと……私はそう覚悟を決めた。


ところで、私の友人のビアンカ嬢はとてもモテる。

彼女と出会ってすぐ……色々な考えが頭に浮かんだので本当に驚いた。

『フィリップ王子はビアンカ嬢と恋愛関係になりたいのね。でもビアンカ嬢は彼をいい友人と思っているわ。関係性を変える為に彼は頑張っているみたい』

『ノエルは自分の気持ちに気付いていないのね。彼女の事を守る、その思いが恋心よりも強いようね。ビアンカ嬢は彼を友人だと思っているわ』

マックスに関しての情報は、濃度が濃すぎて一旦脳が情報を遮断してしまう程だった。

遮断するなんて初めてなんだけど……なんなのあの執着は、本当に怖いわ。

彼女は他にも教師やら、クラスメイトの男子やら、うわぁご令嬢まで……このカフェテリアに居る私の知人という範囲だけでも……とにかく色々な人から想いを寄せられているようだった。

……これだけモテると大変なんだろうなぁって同情的な視線を思わずビアンカ嬢に向けてしまったけれど。

彼女は驚く程に、自分に向けられる好意に無頓着というか……気付いていなかった。全く。

というか周囲から嫌われていると本気で思っているようだった……なんて鈍い子なの。可愛いわ。

ビアンカ嬢は、自分に向けられている好意と、そして……自分の気持ちにとても鈍い。

私は彼女に出会った瞬間そう結論付けた。

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